第18話 街道
活動報告の日が月曜日なのに日曜日と勘違いをして気づいたのが昨日。
第18話を今日上げると報告したので、大慌てで書き上げた第18話です。
前回のあらすじ
フィーリアと話をしました。
本日の朝餉の果実を頂く。
果実だけだが、モモンの果実を1つだけでも食べれば満腹になるので、旅には持ってこいの食材だな。
難点は、果実なので日持ちはしないという点だろうか。
とりあえず、凍気で保温しているが纏っている凍気が無くなれば常温になってしまうので時間になったら定期的に凍気を当てないといけないので、何とか改善策を見出したい。
モモンを噛み締めて、食べていると俺にジッと見つめてるような視線を感じた。
フィーリアかと思ってみて見ると幸せそうにモモンの実を食べている。
妖精の方を見るとジッと此方を見ていた。
正確には、俺ではなくシャムという果実を見ている。
シャムを右側に動かすと妖精も右に向き、左側に動かすと妖精も左に向く。
シャムを上下に上げ下げすると妖精も上下に顔を動かす。
妖精も気になるこの果実は、美味なのだろうか。
一口食べて、リュックサックの中にはまだシャムがあるからそれをあげよう。
シャムを食べる為、口の近くに持っていくと妖精は酷く落ち込み始めた。
口元から離れると、シャムと俺をチラチラと交互に見ている。
このシャムが欲しいのか、妖精に聞いてみよう。
「この果実いるか?」
「コクコク」
シャムを差し出すと豆腐のパックに入ったまま、ふよふよと飛んで此方に来た。
嬉しそうにシャムを受け取ると元の場所に戻り、そのまま豆腐パックの中で食べ出した。
食べてる姿が見たいのにあげた豆腐パックのせいで見れないとは何たる極み。
「義之さん、何か言いましたか?」
「………俺のリュックサックの隣にあるやつは見えるか? 白い箱のような物を」
「義之さんのリュックサックの隣ですか?……いえ何も無いですよ」
「そうか、変なことを聞いて悪かった」
不思議そうにしていたが、気にしないでシャムの果実を味わいながらゆっくり食べ始めた。
やっぱり、フィーリアにはこの妖精が見えていないようだ。
妖精は悪意がないと分かったのか、隠れないでリュックサックの隣に見える位置にいる。
どうやったかは分からないが、豆腐パックも見えないようにしているらしい。
妖精は皆そうなのか、聞きたいがフィーリアの側で聞いたら不振がられてしまう。
聞きたいけど、この妖精に聞くのは諦めよう。
付いてくるとも限らないし、なにしろ聞けるタイミングがない。
この妖精はミネラルウォーターに惹かれてきただけだし、ここを離れると分かればきっと元の場所に帰ると思うしな。
妖精がいて基本的に姿が見えないってのが分かっただけでも十分に此方としても収穫があった。
ちゃんとした挨拶も出来ないが、何とかしてそれとなく伝えよう。
朝餉を終えてキャンプテントを元の状態に戻してから、マドリーに向かう為に出発の準備を終える。
フィーリアは、まだ出発の準備を終えていないみたいだ。
何かの荷物をリュックサックの中に入れている。
何を入れてるか聞いてみたら、終わるまで近付かないでと言われてしまった。
今が妖精にお別れの挨拶を言うチャンスなので妖精の側に近づき、しゃがみ込んで小声で話す。
「君のような妖精と出会えて楽しかったよ。 俺達は、そろそろ出発するからここでお別れだね」
「………………」
妖精は、ただジッと此方を見ている。
何か伝えたいのか知りたかったのが、ジェスチャーもしないので何を言いたいのかも分からないが、とりあえず自己満足でお別れを済ます。
自己満足のお別れの挨拶を済ますと、フィーリアが此方に来るのが見えた。
妖精に小さく手を振って
「フィーリアは、準備は出来た?」
「大丈夫です、準備終わりました」
「じゃあ、出発しよう」
「はい、行きましょう」
マドリーに向かう為に昨日の道を歩き、昨日から変わり映えのしない道を歩き続ける。
しかし、後どれくらいでマドリーに辿りつくのだろう。
同じ風景ばかりだと景色も眺めながら歩くのも飽きてきたし、水と食料が不足気味なので早めに着きたいのだが。
「フィーリア、マドリーは後どれくらいで到着するの?」
「そうですね、休憩する広場まで来ましたから、今日の夕方には到着すると思います」
それは、良かった。
夕方に到着なら、トラブルに巻き込まれなければ食料に関しては十分なはず。
野宿は1泊だけで本当に良かった、何日も野宿するつもりでいたから助かる。
そして、もう一つ気になるのは歩いている後ろの存在。
約5メートル後ろをぷかぷかと浮いて白い箱が付いて来ている。
そう、妖精が豆腐パックに入って後ろを付いて来ている。
後ろを向くと豆腐パックの中に隠れてしまう。
豆腐パックの中に隠れても豆腐パックが浮いていたら意味がない気がするのは俺だけだろうか。
とりあえず、指摘はしないで後ろをちょくちょく見ておこう。
「義之さん、さっきから後ろを見ていますが何かあるのですか?」
「いや、何もないよ。 それよりフィーリア前を見てごらん、行く手を妨げるやつがいる」
少し後ろを見すぎてフィーリアに気にしてしまったが、前に魔物だと思うやつが前に現れた。
体格は約50センチくらいでヒヨコみたいな姿をして顔がちょっと厳つい顔をしている。
あんなでかいヒヨコがただの動物なんて認めたくない。
昨夜、襲ってきたのが鶏で今がヒヨコか。
こやつは鶏の下位なのだろう、それだったらまだ倒しやすいのだが。
「あれは、チェッキンですね。 比較的倒しやすいので良かったです」
「あれが、チェッキンなのか・・・」
ヒヨコだから倒しやすいのかもしれないな、だけど油断大敵だな、気を付けて掛からねば逆にコッチがやられてしまう。
「ですが、村の人達は数人で狩りをしていましたので私達だと手強いかもしれません」
「倒しやすくても、大人が苦労して倒しているのか。 フィーリアは、魔物を倒した事はある?」
「一度だけあります。 その時は、たまたまでしたのであまり戦闘に役に立てないかもしれません」
戦闘に役に立てないと尻尾と獣耳が垂れて落ち込んでいる。
実際、俺も昨夜が初めての魔物討伐したから似たもの同士だ。
「なら、これから学べばいいさ。 倒しやすいチェッキンなら2人で何とかなると思うしね。 フィーリアは武器とかはある?」
「いえ、もってないです。 基本的マドリーへ向かう道は魔物は出てこないはずなんですけど」
いるな、目の前にチェッキンが1匹。
昨夜もわらわらと集団で魔物と遭遇したんだが、出てこないならこれもおかしいことになるが今は目の前のチェッキンを何とかしよう。
「じゃあ、俺が囮になるからフィーリアは常に後ろに回り込んでチェッキンを殴って攻撃して、できる?」
「は、はいっ。 やってみます」
「逃げる時は、後ろに振り向かないでチェッキンの方を向いたまま横へ逃げるんだ。 その時は、俺が攻撃して奴の気を引くから」
フィーリアはハイッと答えてから、チェッキンを回り込むように移動する。
此方に注意を向かせる為に落ちている石拾い、少しだけ石に気を纏わしてチェッキンに投げる。
石が当たってご立腹になって、こちらに突進してきた。
昨日の鶏と比べたら格段に遅いので、タイミングを合わせて半歩だけ横にずれて足を引っかけさせる。
足払いをされたヒヨコは盛大に転ける。
転けているヒヨコに向かってもう一度石を拾い同じように投げた。
ヒヨコは起き上がり、再び此方に向かって突進しようとしている。
「フィーリア、次そっちに行くから注意して」
「はっ、はいぃ」
フィーリアに一言いうと、ヒヨコは先程と同じく俺に真っ直ぐ突進してきた。
学習能力が無いのか、あっさりと足払いに引っかかり転ける。
「フィーリア、今だ」
フィーリアに攻撃するタイミングを言うと、転んでいるチェッキンに殴って攻撃する。
殴られたチェッキンは吹っ飛ばされて大きな音を立てて、木にぶつかり倒れ込む。
木はぶつかった辺りはへこむとは、何と言う威力何でしょう。
コッチは気を纏って出来る事を只素手で殴っただけで同じ威力があるなんて落ち込んでしまうじゃないか。
だか、今は落ち込む暇がない。
チェッキンが立ち上がり、フィーリアに気を向いているから恐らく、フィーリアに突進する気でいる。
此方に気をそらさないといけないので、石を投げてチェッキンに近づいて気をそらす。
チェッキンは此方に向き直して突進してくるので、最初のように足払いをかけて転けさせる。
チェッキンは、学習能力は無いみたいなので足払いが簡単に引っかかり転倒する。
同じ事を何度も繰り返して、チェッキンが煙となって消えた。
「義之さん、チェッキン倒しましたよ」
「そうだな、倒したな」
「今回は、たまたまじゃなくちゃんと倒せました」
前回がどうやって偶々倒したのか、分からないが今回はしっかりと素手でトドメを差して倒したから嬉しいのだろう。
魔物を倒したせいなのか耳をピコピコして、尻尾も少し動いている。
あの魔物だったら、恐らく気を纏った拳で何発か攻撃したら倒せたと思う。
それをしなかったのは、フィーリアが魔物を倒した事が一度だけと言う話だったから、手頃の相手を倒して少しでも自信を持ってくれればと思ったが此処まで嬉しがってくれたのなら良かった。
この先、昨夜の虹色鳥のような手強い魔物も出てくるだろう。
そうなった場合、フィーリアを守りながら戦うのは困難になってしまうので、個人的にフィーリアにも戦闘が出来るようになって欲しいところだ。
「義之さん、早く進みましょう」
フィーリアは此方の返事を聞かないで、足取りが軽くドンドン前に進んでしまった。
フィーリアが前に進んでしまったので後ろを振り向き、戦闘中ずっと後ろの方で此方の戦闘を見ていた妖精に話しかける。
「広場の後からずっと付いてきているけど、どうしたの? もしかして、また水が欲しいのかい?」
「フルフル」
妖精は顔を横に振り、水が欲しくて後ろから付いて来たのではないらしい。
妖精が少し考えてた素振りを見せた後、近づいてきて俺の周りをグルグルと回り始め、最後に俺の右手の人差し指を両手で掴み此方をジッと見つめる。
どうやらジェスチャーをして此方に何かを伝えようしている。
とりあえず、後に付いていているから一緒に来るか聞いてみよう。
「見えない人もいるが一緒に来るか?」
「コクコク」
「元の場所に戻れないかもしれないがそれでもかい?」
「コクコク」
「じゃあ、これから宜しくね」
「コクコク」
妖精は、嬉しそうにグルグルと勢い良く回り始めた。
さて、これから一緒に共にする事になった訳だが、何時までも妖精って呼ぶのはどうなのだろう。
まず、仲良くやるには名前を教えて呼びあうのが親密になる秘訣だと思うので教えてよう。
「俺は、高坂義之。 君の名前は教えてくれる?」
名前を聞こうしたら、周りを回るのを止めて少し悄げている。
変な名前何だろうか、例えばチィビとかミウチーとかそんなの…………それは流石に無いな。
他のだと、どんなのだろうか。
名前を教えたらいけない敷きたりがあるから駄目なのか、名前が無いので教えられないとかが考えられるけど、ちょっと聞こう。
「もしかして、妖精の敷きたりで名前を教えられないの?」
「フルフル」
良かった名前を教えられない訳ではないらしい。
もし、そうだったなら仮名前を付ける必要があった。
じゃあ、次を聞いてみよう。
「君の名前が無いとか」
「コクリ」
「君の名前を付けてもいいかい?」
「コクリ」
この妖精は、名前が無いらしいので名前を考えよう。
小さいからチィビは気に入らないと思うしシャムを食べたからシャムじゃ猫っぽいから駄目だな。
うーむ、何て名前を付けよう、この子にぴったりの名前は何がいいかな。
そういえば、この子は水球を作ったっけ。
なら、水に関する名前にしよう。
水、ミーズ、ウォーター、ウォーティー、アクア。
ん?アクア何て名前は良いのではないか?アクアは水って意味もあるし響きも可愛い気がする。
「ねぇ、君の名前アクアってどうかな」
「コクコクコク」
アクアって名前を気に入って貰えて良かった。
嫌だったら、もう一度考えなければいけないし名前を考えるってのは結構大変だ。
アクアは、俺の左肩に豆腐パックごと乗っかった。
「それじゃあ、宜しくな。アクア」
「コクコク」
先に言った、フィーリアの後を少し早足で追いかける。
フィーリアは、かなり進んだ所にいて俺が全く進んでない事にご立腹のようだったが、右手を差し出すと腕を組む事で許して貰えた。
ずっとこのままの状態で歩き続けている、その間は魔物の出現もなかったので、夕方になる頃にはマドリーの町並みが少し見えてきた。
「義之さん。 マドリーの町が見えてきましたよ」
「そうだね、あと少し頑張ろう」
マドリーまで後少しなので足が軽くなり、ほんの少しだけ早足で向かう。
厄介事は勘弁だが、新しい街という事でどんな所か興味がある。
良いところだといいなと思いながら、残りの距離を歩くのだった。
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