第13話 旅立ち
活動報告を見て日曜日投稿と思った人はいるかな?
残念、金曜日でした。
床に転がった後、旅の準備をする為に借りていた部屋に戻っている。
もっとも旅の準備なんて、ビニール袋の中身をリュックサックへの詰め替え作業と着ていた服入れるだけだから簡単だ、まだリックの中に物を入れる余裕すらある。
「よし、これで全部か」
旅の仕度も終わったので、リビングへ向かう為ドアを開け歩き出す。
リビングにたどり着くとフィーリアが、青柄のフリルが付いたワンピースを着ていて朝餉を食べてる最中だった。
「まぁ、義之さん、仕度はもう大丈夫なんですか」
「元々荷物なんて少なかったので」
「まぁそうですか、いつ頃出発なさるのですか?」
ばあさんが出発はいつ頃かと聞かれると、フィーリアは此方を気にして耳が此方に向いている。
どうやら、まだ出発の準備が済んでいないみたい。
さて、からかって今直ぐに出発すると嘘を付くか、マトモに答えるか悩み所だ。
「急ぎの旅では無いから、日が真上に登った辺りに出発予定だ」
「義之さん、義之さん。 時間までこの椅子に座ったらどうですか」
フィーリアは、直ぐに出発はしないと知るやいなや、隣の席を奨めた。
冷静な顔をしているが、尻尾が大きく動いている。
これはもう、笑顔を隠して尻尾隠さずの状態だな。
これは、これで堪能できるから素直に座るとしよう。
その後、何事もなく朝餉を食べ終えたフィーリアは、旅をする為の荷造りをしている。
荷造りの手伝いをしよう部屋に戻る前に、声をかけたがリビングで待ってるよう言われてしまったので、大人しくリビングで待機している。
じいさんは部屋に戻り、ばあさんは台所で後片付けをしている。
リビングには話し相手すらもいない状況なので、スキル一覧でも眺めて無聊の慰めとしよう。
スキル一覧を眺めて見てみると、またもやスキルポイントが消費しないで取得出来るスキルが現れた。
物理ダメージ減少Lv1
このスキルは単純に考えれば物理ダメージを減らせるスキルなのだろう。
出発前に便利なスキルが現れたのは幸先がいい。
朝日が登った時にはポイントが必要だったが、今は必要無い。
この短期間の出来事は朝餉を食べた後、一撃を貰ってる。
物理ダメージという事は、昨日今日と経験している。
現れたのは、今朝フィーリアから強烈な一撃を貰ったのが原因だろう。
これを考えるに、スキルポイントは熟練度と同じ言う意味でいいと思う。
今後のスキル取得は基本的にポイントの取得ではなく、ポイントの必要無い経験で取得しよう。
緊急時や、ポイントじゃないと取得出来ない時の為に極力使わないようしておこう。
その後、スキル一覧を見るが物理ダメージ減少以外特に無いので、物理ダメージ減少を取得して終える。
スキル一覧を見終わると同時に、ばあさんがリビングにコップを2つ持ってやってきた。
「まぁ、義之さんどうぞ」
「ありがとうございます」
コップを受け取り、中身は水が入っていたので、一口頂く。
ちょっと温いが、喉の潤っていくのを感じる。
「まぁ、義之さん。 旅の最中はフィーリアを宜しくお願いしますね」
「ええ、分かりました。 ですが、逆にお世話になりそうですが」
「まぁ、そうなったらあの子も嬉しいと思いますよ」
何気ない仕草だが、会話中に手を組んで体を震わせて心配する仕草が見える。
やはり、旅に出すのは心配はしているようだ。
此処は、ばあさんの心配を少しでも取り除いておこう。
「ばあさん、絶対と言えないが出来る範囲でフィーリアの助けをしよう、だから少しだけでいいから安心してくれ」
ばあさんの組んだ手を包み込むように両手で握り、婆さんの瞳をジッと見つめる。
「まぁ・・・」
ばあさんの体が次第に震えが収まり、頬が紅潮し始めた。
体の震えが止まったのはいいが、紅潮させる事なんてしていないだけど何故したのだろうか。
ばあさんが紅潮していると、奥の扉が開く音が聞こえた。
フィーリアが荷造りを終えて、駆け足で此方にくるようだ。
「義之さん、お待たせ・・・・何をしてるのですか」
フィーリアがリビングを爽やかな笑顔で来たらと思ったら、鋭い視線と棘のある言い方で此方に訪ねてきた。
動物が逃げ出すような視線を此方を見ないで頂きたい。
視線から逃げるなと圧力をかけてる気がする。
「まぁまぁまぁ、先程義之さんに口説かれました」
「義之さん、どういう事か説明して下さい」
ばあさんが口説かれたと言うとフィーリアは此方を見て鋭い嫉妬の視線を強め尻尾を直立に立てて、毛も逆立てをしている状態で物凄い機嫌が悪そうだ。
ばあさんよ、一体何時口説いたというのだ。
「俺は別に口説いていないけれど」
「じゃあ、その両手で握っているのは何ですか」
「へっ」
フィーリアに指摘された両手は、ばあさんの両手を握っている状態だった。
ばあさんの不安を取り除く為に握ったが、何も知らなければ口説いて両手を握っているようにも見える。
説明しようにも、ばあさんは口説かれたと言っている以上、不安を取り除いてた何て言っても聴いてくれないだろうし困った。
「義之さん何時まで握ってるのですか、そろそろ離したらどうですか」
おっと、手を握っているのが相当ご立腹のようだ。
これ以上、フィーリアを怒ると手に負えなそうなので素直に従おう。
ばあさんに握ってる手を離すと透かさず、フィーリアは抱き付いてきた。
「フィーリア、ちょっと痛いんだけど」
「義之さんが他の女性に靡かない為の処置です」
そう言うと、更に力を込めて抱きついてくる。
肋骨の辺りがメキメキと音が鳴るのは気のせいだろうか。
「フィーリア、痛いから肋骨が折れるから」
「ろっこつが何なのかは分かりませんが、おばあちゃんを口説いた罰です」
罰を受けてると、抱き付かれてる間にじいさんがリビング戻って来て、この状態を見てニヤニヤしてる。
危なかった、じいさんにばあさんを口説いてた何て聴かれたら、初日の状態にまたなる所だったな。
じいさん、ニヤニヤしないでそろそろ助けて欲しい。
その後、フィーリアが十分に満足するまで抱き付かれていた。
フィーリアの力が強いせいなのか、スキルLvが低いせいなのか、はたまた攻撃と認識しないと駄目なのかは分からない。
ただ、コレだけは言える。
スキルの物理ダメージ減少Lv1を取得したのに全く役に立たなかった。
後は、肋骨が折れて無ければいいけど。
抱き付きが満足したのか今度は、腕に抱き付きリュックサックを持って、尻尾を大きく揺らし嬉しそうに微笑む。
腕に抱き付くのはまるで、ばあさんに見せ付けてるような気もするのだが気のせいだろうか。
それと、フィーリアを昨日から観察していたが嬉しくなると尻尾を大きく動かす仕草が見られる。
フィーリアの感情が読み取れやすくなると思うし、今後は尻尾も良く注意して見ておこう。
「もう、出発しても大丈夫か」
「何時でも大丈夫です」
「じゃあ、出発前にちょっといいかな」
「何でしょう」
今朝、折角パーティー設定のスキルを取得したのだから、早速パーティー編成を使ってフィーリアと組んでみたい。
「我が友よ、我らと共に剣と盾になれ、パーティー編成」
「あっ・・・」
フィーリアにパーティーの申請が浮かび上がったのだろうか、驚きの声を上げる。
すぐさま、申請許可したであろうフィーリアの位置が常に分かるようになった。
これなら、離れていても何処にいても直ぐに分かる。
ステータス画面を見ると空きの場所が1つ減り、フィーリアの名前とジョブLvが表示されるようになった。
フィーリアは村人Lv2なのか大体、俺と同じだな。
「義之殿はパーティー編成のスキルを使う事が出来るんじゃな」
「おじいちゃん、パーティー編成のスキルって何?」
フィーリアは、パーティー編成のスキルを知らないらしい。
俺も詳しく知らないので聞いておこう。
「パーティー編成は迷宮討伐に必須スキルじゃ。 パーティー内のメンバーは常にメンバーの位置を把握出来て、魔物を倒すと経験値が共用されて共に強くなると言う話じゃ。 マドリーの町についたら探索者ギルドで初心者講習会があるから、詳しくはそこで聞けばいいじゃろ」
この世界は迷宮なんて存在するのか。
迷宮は危険そうだが、旅をするのに資金が必要だし資金を手に入れられそうだ。
マドリーに迷宮があったら低層階に入ってみよう。
それとマドリーには探索者ギルドで初心者講習会しているのか、それは良い事を聞いた。
初心者講習会ならこの世界の知識が全くない俺でもボロが多くても不審に思わないはず。
この講習会は是非、参加したい。
「フィーリア、マドリーの町に着いたら初心者講習会を一緒に参加しよう」
「はいっ、一緒に学びましょう」
初心者講習会に参加するというと嬉しそうに微笑み、尻尾をブンブン振っている。
マドリーについても特に目的がなかったから、目的ができて嬉しいのだろうか、それとも一緒に参加することが嬉しいのか。
どちらかと言えば後者のような気がする。
「じいさん、マドリーの町には探索者ギルドの他に、冒険者ギルドとかないのですか?」
「マドリーには探索者ギルドしかないのう。 迷宮都市クランターレなら冒険者ギルドや魔法使いギルドなどいろいろなギルドがあるが、マドリーはそんなに栄えていないから探索者ギルドしかないの」
マドリーには、探索者ギルドしかないのか。
そして、迷宮都市クランターレか、迷宮都市っていうからには迷宮が有名なのだろうか。
行く機会があったら行ってみよう。
「所でフィーリアよ、スケスケビスチェはちゃんと持ったか」
「なっ・・・」
じいさんが昨日の夜に、没収された下着型装備を持っていくか、フィーリアに聞いていた。
フィーリアは、まさかじいさんにビスチェの事を聞かれるとは思わなかったのか、驚きの余りに声をあげる。
「まぁ、おじいさん、そんな事は聞いては駄目ですよ」
「これは、旦那さんから託された品なのじゃ。 それを装備してくれないと旦那さんにぁぁぁあ、ばあさん耳を引っ張らないで欲しいのじゃ」
「まぁ、おじいさんが失礼な事を言ったからですよ」
確かに、女性に対して下着の事を聞くのは失礼だと俺も思うので、存分に怒られてくれ。
フィーリアが内緒話をしたいのか耳元で囁こうとする。
「義之さん今、スケスケビスチェを装備してるんですよ」
何、あの透けてる下着を着用しているだと。
だとするとフリルのワンピースの下にはスケスケビスチェを着込んでいるというのか。
いかん、ムラムラが増してきてしまった。
「見たいと言ったから着てみました。今日の夜に見せてあげますからね」
昨日の俺を誉めたい、良く言ったと。
今は旅をするから、今夜見れるのを期待しよう。
きっと見た時は、ハッスルするだろうが。
「短い間でしたが、お世話になりました、ありがとうございます」
「まぁ、気にしなくていいのですよ」
「そうじゃな、気にせんでええよ」
じいさんが怒られてるのが終わるのを待ってお別れの挨拶をする。
「まぁ、義之さんフィーリアさんを宜しくお願いしますね。 彼女はかなりの甘えん坊なので」
「分かりました。 存分に甘えて貰います」
「おばあさん義之さん、私甘えん坊じゃないよ」
甘えん坊じゃないと反論するが、昨日や今日の事を考えても甘えん坊だと思う。
聞き入れる事は無いと分かると、頬を膨れる。
「義之殿、コレらを持って行くのじゃ」
頬を膨れるフィーリアを放置してじいさんが折りたたみ傘のような物と濃いめの赤色の結晶をくれた。
「じいさん、コレらは何です?」
「これは、キャンプテントと言って組み立て式のテントじゃよ。 簡単に組み立てる事が出来るじゃ。 もう1つは火炎結晶と言って火を起こす結晶じゃ。 大きさによって火を起こす時間が変わる代物じゃ」
これは、かなり助かる代物だ。
マドリーの町までどれ位の時間がかかるか分からないが、テントを使えばテント内で休む事が出来るし、火炎結晶を使えば簡単に火を起こす事が出来る。
これから旅をするのにかなり便利なアイテムだ。
「ありがとうございます、これは大切に使わせて貰います」
「おじいちゃん、私には無いの?」
反論を諦めたフィーリアは、キャンプテントが欲しいのか、じいさんにおねだりをしている。
「このキャンプテントは3人用だから、一緒に入ればいいじゃろ」
「・・・これで義之さんと寝泊まり」
これは、3人用なら確かに2つもいらないな。
というかフィーリアよ、何故トロンとした目と紅潮しているのだ。
まさかと思うが昨夜の事を考えてたんじゃないよな。
そして、じいさんばあさんよ、そんなニヤニヤと此方を見ないで頂きたい。
せっかくの旅立ちが台無しになるじゃないか。
「それじゃあ、おじいちゃんおばあちゃん行って来ます」
「まぁ、怪我をしないようにね」
「困ったら、義之殿に相談するんじゃよ」
じいさんとばあさんにお見送りをされて、マドリーの町へ出発する。
村人達は、特に何もしなくて只此方を眺めるだけだったので、何事もなく村を後にした。
さぁ、いざ行かんマドリーの町へ。
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