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改稿後の作品です。文章の書き方・内容が変わっています。ご注意ください。
最近、繰り返し見る夢がある。
とっても幸福な世界で、私はもうひとりの私と手を取り合って、笑いあいながら暮らしていた。
無限に広がる大草原、咲き誇る花々、碧い湖。
そこで、彼女と私は、彼らと一緒に過ごしていた。
長い長い時間を。
けれど、安寧の日々はある日足元から崩れ落ちたのだ。
あの場所の空が赤黒く染まり、風が吹き荒れた。
私は駆けた。徐々に暗くなってゆく周囲に怯えながら、必死にあの子を呼んだ。
でも、あの子はどこにもいない。
神殿の中を走り、至る所に真っ赤な血が流れているのを目にしながら、無我夢中で叫んでいた。
石床の上に流れる血を踏むたび、真っ白な服に赤い模様ができた。
どんどんと神殿の中を突き進み、一番大きな階段を駆け上がってゆく。
(だめ・・・・)
階段を上り終えると、真っ白な大扉が目前に現われた。
扉についた鮮血に、恐怖が沸く。
(その扉を開けては・・・だめ。)
震える手を扉につけ、力いっぱい押し込んだ。
真っ白な光が合間から漏れ、束の間、目が霞む。
扉をあけ放つと、真っ白な広い空間に、あの子がいた。
血の気を失った顔で、ぐったりとしている。
あの子の首元から顔を上げた、赤い瞳が弧を描いて、私を見つめた。