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淳を守れ!

「お姉さん!」


 放課後の廊下で声が聞こえた。村川が振り返ると、先日お金をとられた生徒が走って村川のところに来た。 


「お姉さんのおかげで、今落ち着いています」


「良かった。でも、これからも何かあったら必ず言ってね。嫌なことがあっても、我慢したら駄目。それは解決ではないから」


「ありがとう。僕、じゅんっていうんだ。淳」


「私は紀子。村川紀子。淳君、一緒に解決するからね!」


 生徒が走り去る姿を、村川は見ていた。


 校舎を出たところで、たむろしている生徒三人がいた。一人は、先日村川が締め上げた生徒だ。片岡という。


「ここなら『お姉さん』は来ねぇからな」


「ちょっと奢ってくれないかなぁ」


「お金なんて持ってないよ!」


 淳は抵抗した。


「なら来いよ」


 村川の端末が反応した。位置情報を確認すると、校舎を出たすぐ近くだった。モニタールームを出て村川が走る。


「あんた達、何やってんの!」


 村川が怒鳴る。


「や、やべぇ!」


「おい、散るぞ!あのババア、すげぇ強ぇぞ」


 淳が座り込んでいた。教師たちも後から走ってきた。


「淳くん、大丈夫!?怪我してない?」


 淳は村川の顔を見た途端に抱きつき、胸で大泣きした。


 その後、保健室に淳を連れて行き、緊急の職員会議が開かれた。


「学校として、早期に有効な手を打たなかった事が大きな要因ではないでしょうか」


 村川は憤っていた。村川の顔を見た途端、必死に堪えていた涙を一気にあふれさせた淳の顔が、脳裏を離れない。


「誰に寄り添っているんですか!」


「村川さんの仰る事も分かりますが、生徒は公平に扱わないといけない事情もあるので…」


 学年主任が、困惑しながら答えた。


「お聞きしたいのですが、誰を何を守ろうとしているのでしょうか。今回、AIが反応したから淳君を助けられました。竹上が、予め彼らの問題行動を入力していたからです」


「私たちもね、指導はしているんです!何もしていないみたいな言い方は、心外です」


 副校長が気色ばんだ。


 結局会議は平行線のままだったが、暴力行為を行った3名は、当面の間、登校禁止となった。


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