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聞くべき声

 1週間後、学校の至るところにカメラが取り付けられた。


「ヤバくね、俺たち監視されてんじゃん」


「体温とか、色々情報抜かれてるらしいよ」


「内申ヤベェよな」


 生徒の反応は概ね警戒するものが多かった。しかし、それはあくまでも「警戒しなければならない理由」のある生徒達が大半だった。


 この制度によって守られることが期待される生徒は歓迎している。しかし、声を大々的に上げていないだけだ。それもAIが既に把握していた。


「生徒たちからは、かなり警戒の声が上がっています…総監視というのはやはり…」


 校長は狼狽している。竹上はモニターを見せて説明する。


「警戒の声を上げている生徒の多くに、問題行動が確認されています。例えばこの子」


 竹上がモニターに映る生徒を指す。村川の前で恐喝していた生徒だ。


「反対に、声を上げていない生徒からは概ね好意的な反応を得ています。これが事実です」


「それはそうですが…」


「上がっている声が総意とは言えません。その声が本当に正しいのか。声を上げていない、上げられない生徒の意見をどう汲むか。それが大事だと私は思います」


 村川がきっぱりと言った。サイレントマジョリティだ。 


 初日はやはり、教師生徒ともに緊張感が溢れていた。学校の中は静まり返り、まるで長期休暇中のようだった。


 1週間経ち、虐め行為や授業の妨害は目に見えて減少した。迷惑行為が発生すれば非常警報が鳴るシステムが設置されているが、今のところ一度も作動していない。


「今のところは成功ですか…」


「これからだよ。人間は必ず慣れる。特に悪巧みを考える人間は、何とか法や人の目を掻い潜ろうとする。そこからが本当の姿だ」


 竹上はオフィスへ戻り、当面の間は村川が学校のモニタールームに常駐する。


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