学校を査定する!?
オフィスに戻った竹上は、考えていたプランを村川に伝えた。
「学校を『査定社会』にする」
「査定社会…ですか?」
村川は戸惑いの表情を見せた。
「学校はそもそも、査定社会なんだ。さっき君が、生徒の一人を締め上げた時のことを覚えているか」
村川が上を向き、考え込む。
「あの中の一人が『内申に響く』と言った」
「あぁそういえば…。そうか、内申点を良くしないと、進学に差し支えると考えますよね」
「そこだよ。人間は倫理では動かないが、損得では動く。ならば、そういう生徒にとっての泣き所を突くしかない」
真剣な眼差しで村川が聞いている。
「また、過去の悪行自体を人生の枷にする。子供の頃の行動が、大人になってからも消えない社会だ」
「外国では、すでに導入されている国もありますね。でも、どうやって…」
この国では、パーソナルナンバー制度:通称パーナンと呼ばれる個人の電子台帳が存在する。ここに紐付けるのだ。進学や就職で提出しなければならない情報の一部は、このパーナンに記録される。
虐めや迷惑行為がここに記録されれば、過去が一目瞭然になり、未来への汚点として記録される。
「根本的な虐めの解決とは違いますが、大きな抑止力として、期待はできますね」
生徒の行動を監視するにあたり、新しいシステムの導入を竹上は決めていた。人の声色、体温、血圧、言動など、あらゆる特性を捉え、AIがそれらを暴力行為発生リスクとして計算する。
そして、虐めや授業妨害、迷惑行為を行った生徒には、度合いと内容に応じ、パーナンを通じて内申点に減点をする。減点超過すると、竹上が所長を兼務する矯正施設へ送致される仕組みだ。




