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相手を見くびるな


「おい、今度こそあのババアやってやる」


「片岡やめろよ、まずいって…」


「クソババア、ぶっ殺してやる」


「俺関係ないからな、じゃあな!」


「てめぇ逃げるのか!おい!」


 片岡は角材を持ち、学校から少し離れた道の物影に身を隠していた。


 村川が小走りで学校から出てきた。学校周辺の道は通学路にも関わらず街灯が少なく、暗さが際立っている。隠れている片岡の横を村川が通り過ぎた。


 角材を持つ手が震える。村川は腕時計を見るために立ち止まった。片岡が村川の背後に近づき、腕を振り上げる。


「クソババア、死ねー!」


 村川は向きを変えず、片岡の腹に後ろ蹴りを食らわせた。


「うっ…テメェ!」


 さらに腕を振り上げる片岡の肘を右手で突き上げ、手首を掴んだ後に肩を極め、そのまま落とし込み、地面に伏せさせた。 


「クソッ、汚えぞ」


「後ろから仕掛けるほうが汚いと思うけど」

 

 片岡は関節を極められ、全く動きがとれない。


「学校で一度関節を極められた時点で、学習すべきだったね」


 竹上が片岡を見下ろしている。


「この人は、元警察官で合気道の有段者だ」


「『死ね』と、私に明らかな殺意を示しました。殺人未遂です」


 村川が冷静に伝え、竹上が頷く。


「何で分かったんだよ!俺がいたのを」


「前にも言ったはずだ。君の行動は全てAIが予測済みだと。君の危険指数は100を越えていた。私も彼女も警戒していたんだよ」


「俺が進学できなかったら、テメェらのせいだからな!」


 片岡は竹上を睨みつける。


「心配するな。君は殺人未遂で起訴された後は、矯正施設で長く過ごす事になる」


 竹上が冷めた目で片岡を見ていた。


「それからもう一つ。クソババアじゃなくて、『お姉さん』な」


 竹上の後ろにスモークフィルムの貼られたハイエースが到着した。中から屈強な男が三人降り、片岡を抱え上げてハイエースへ乗せこんだ。


「収容されたのは、新・人権保護法ですね」


「あぁ、法律を正しく機能させた」


「ところで…あ、あの…お姉さんって言いました?」


「ん?…AIの…バグじゃないか?」



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