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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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34/50

エルフコワイ

 さてさてさて?

 そろそろ焼けましたわよドラゴン肉。

 えーっと、これをナイフとフォークで切って食べる訳か。

 とりあえずお皿に移しまして、ナイフを添えると……。


「すげ、ナイフの重さだけで切れてく」


 身が柔らかいのか、それとも焼いたからそうなるのか。

 それでも、高級和牛とかでも無いと起こりえない現象に、自然と胸は高鳴る。


「まずは塩……」


 シンプルにドラゴン肉の味を楽しみたいし、一口目は塩で。

 いただきます。


「…………」


 もはや言葉は不要。

 目を閉じ、ただただゆっくりと肉を噛み締めることに集中。

 ふふ、美味しくて笑えて来るね。

 母が誕生日だからと父に連れられて行った有名な鉄板焼きのお店。

 そこで提供された黒毛和牛のステーキ。

 それを思い起こさせる味ですわ。

 うんまい。

 シンプルな塩だけの味付けなのに、肉自体の臭みは無く、肉汁もバターみたいなコクがある。

 米もいいけど赤ワインやビール、日本酒にも合うだろうな、この味は。

 ま、今はコーラなんですけどね。

 コーラとも相性抜群よ。


「二口目はタレをかけて……」


 タレって言うけど、どれがいいんだろう?

 安パイはオリジナルダレだと思うけど、レモンダレや塩ダレも捨てがたいし、味噌ダレだって美味いだろう。

 辛味タレは……ちょっとイメージ沸かんな。


「ここはオリジナルダレだな」


 ま、結局は無難に舵を取りましたわよっと。

 冒険して折角の美味しいお肉を台無しにはしたくなかったからね。


「あー……最高」


 で、またオリジナルダレとの相性がいいんですわ。

 フルーティさと甘じょっぱいタレが、肉の旨味を引き立てまくってる。

 これ……出てくるのがもっと早かったらこれだけでご飯三杯くらいお代わりしてたかも。

 それくらいに美味い。


「……こうなると出汁も欲しくなるよね」


 その為にわざわざ二口分のご飯をお代わりしただけだし。

 というわけで鳴らない指パッチンを……。

 ――スカッ。


「お呼びでしょうかー?」

「ドラまぶしの出汁をお願いします」

「はーい」


 よし、注文完了。

 その間にっと。

 ドラゴン肉を切って、ご飯に乗せて……。

 ゴマと刻み大葉を乗せて出汁の到着を待つ。

 ――というか、異世界にも大葉があるのね。

 ちょっと感動。


「出汁お待たせしましたー」


 という事で出汁も来たので、そのままご飯とドラゴン肉に注ぎまして……。


「テールスープみたいな匂い」


 出汁って言われたから魚介類からのものだと思ってたけど、匂いの感じは完全にテールスープのソレなんだよな。

 もしかして、ドラゴンから出汁取ったりしてる?

 その真相を探るため、俺はそっと出汁だけをすすった。


「……おー。美味い美味い」


 結論から言うと多分ドラゴンの出汁。

 テールスープってのはあながち間違いじゃ無かったかもね。

 しっかりした肉の旨味と、恐らくはドラゴンの匂いなのだろう独特の香りが同乗してる。

 ドラゴンの匂いはなんと言うか……変な話だけど舞茸とか、キノコ系の香りなんよな。

 肉っぽい匂いじゃない。でも、キノコ程生き物感が無いわけじゃないというか……。

 イノシシみたいなジビエ系の匂いと、舞茸の匂いを足して二で割ったような、そんな匂い。


「普通に美味しいんだけどね」


 ただ、その匂いがあるからって別に不味いなんてことは当然なく。

 むしろちょっとだけでも野性味を感じられて結構好きというか。

 ドラゴン肉の脂が溶け出たスープが米に絡んで滅茶苦茶に美味しい。

 ゴマの風味もバッチリ合うし、大葉の香りで野性味が鼻に残る事も無いしね。

 ドラゴンステーキ……いや、ドラまぶし、大変美味しゅうございました。


「ふぅ……」

「食後にコーヒーはいかがですかー?」

「あ、ください」

「砂糖とミルク、マシマシのマシで大丈夫です?」

「砂糖ミルク両方別で持って来てもらっていいです? コーヒーはブラックで」

「食後のコーヒーはホワイトですがブラックに変更なさいますか?」

「あ、ホワイトのままで」


 面倒くさいなホワイトとブラックがあるコーヒー。

 大体同じ意味なんだからそのままでいいでしょ。

 あと、スルーしたけどデフォルトでマシマシのマシってなんだよ。

 ここの客層的にみんなそれで頼むのか?


「食後のデザートお持ちしましたー」


 で、コーヒーより先に持って来られたデザートは……。

 クレープシュゼット……。

 しかもバニラアイスと、フルーツが乗ってる本格的なやつ。

 ――デザートに命かけ過ぎだろ。

 あと、当たり前に牡蠣バナナが乗ってるの違和感しか無いからやめよう?

 せめてスライスしてくれ、マジで。

 クレープの上にバニラアイスを挟んで牡蠣が二個乗ってる絵面、あまりにも食欲が沸かなさ過ぎる。


「コーヒーお持ちしましたー」

「ありがとうございます」


 で、持って来られたブラック……もといホワイトコーヒーと。

 角砂糖がびっしり詰まった瓶とミルク入りピッチャー……。

 いや、マシマシのマシって言っても限度があるでしょ、これ。


「では、ごゆっくりー」


 店員さんも行ってしまわれたので、改めてナイフとフォークを手に取り、クレープと向き合い。


「……ふぅ」


 満腹の為か、それとも決意の表れか。

 自分でもどちらか分からない短い息を吐き、俺は、そっとクレープにナイフを添えるのだった。

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エルフにとってはここまで前菜、ここからメイン状態の可能性…
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