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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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33/46

お前、やれるのか?

 ……加熱したらすっごい縮むじゃん。

 縮むって言うか、萎む?

 全体的に二回りくらい小さくなってんだけど?


「……ほー!」


 焼く前の大きさを目安に切ったから、焼くとかなりちっちゃくなった。

 具体的に言うと鳥のセセリくらいの大きさ。

 でも、正直これ位が焼きやすいし食べやすいかもしれない。

 ちなみに味は見た目に反してセセリよりはぼんじりの方が近いかな。

 結局鶏肉だけども。

 身が縮んだ分ギュッと凝縮されて、結構弾力の強い身質でさ。

 焼きながら脂が滴っていたけど、今思えば余分な脂だったのかも。

 食べた時にあっさりしてるし、くどくなくて丁度いい感じだった。

 鰻とかも、店によっては焼きながら脂を落とすところがあるとかで、脂があればそれだけいいってわけじゃあないんだねと。


「蛇ってそれほど癖無かったな。……いや、つぼ漬けしてたからかも」


 つぼ漬けの味付けはよくある焼肉のたれベース……だと思う。

 もちろんこの店のオリジナルダレなんだろうけど。


「の割にはフルーティさがそこまで感じなかったんだよな」


 フルーティさが漬けることで無くなるのか、それともフルーティさと蛇肉の癖とが打ち消し合ってるのか。

 俺には何も分からない。

 ただ美味しいという事だけが分かる。


「……米無くなっちゃったけど、結構お腹一杯だしなぁ……」


 焼肉のお供には当然白米なんだけど、あとどれくらい来るかも分かんないし。

 一旦白米はストップかな。

 いうて結構肉も運ばれてきたからな。

 そろそろデザートでしょ。


「このお肉でコースのお肉は最後になりまーす」


 ほらね。予想的中ですわ。


「この店名物のドラゴンテールの輪切りステーキになりまーす」

「……はい?」


 で、テーブルに置かれたのは今まで見たく数切れの肉とかではなく。

 例えるなら、キングサーモンの一番太い腹回りを輪切りにしたような感じの……。

 ドラゴン!? 今ドラゴンって言った!?


「ワイバーンとかではなく?」

「正真正銘のドラゴン肉になります」


 あー、なんだ。

 びっくりした。

 てっきりドラゴンのお肉なのかと思った。

 驚かすなって。


「ドラゴンテールのステーキが焼き上がるまでに、お口直しをどうぞ」


 と言って差し出される……なんだろう、これ?

 ゼリー? でもなんというか、半透明なマシュマロみたいな見た目なんだけど……。

 中央が白で、透明部分が水色の。


「スライムゼリーです」

「スライム!?」


 スライムって、あれだろ? ぷるぷる震えて、僕悪いスライムじゃないよって囁くやつだろ?

 食べられるのか?


「しっかりとスライム調理免許を持ったシェフが毒抜きしているので安心してください」

「毒あるんだ……」


 しかもフグみたいに免許もいる、と。

 もしかしてこの世界のスライムって雑魚じゃない?

 なんと言うか、毒持ってるだけで1ランクアップしない?

 知らんけど。


「……おー、フニャシャリとした食感のゼリーか」


 で、食べてみたら意外。

 マシュマロじゃなくてゼリーでした。

 表面はぷるぷるしてて、中央にいくにつれて少しだけ抵抗がある感じ。

 マジでフニャシャリッとした食感としか言い表せない。

 味はサッパリとしたレモンとか、柚子とかの柑橘系。

 後味にミントの香りが付いてくる。

 マジで口直しとして最適じゃん、スライム。

 見直したわ……食材として。


「そろそろひっくり返してみるか」


 というわけで口直しを食べたのでドラゴンテールのステーキをひっくり返す。

 なお、ドラゴンテールに皮は付いていない模様。

 まぁ、ドラゴンの皮とか素材として貴重だろうし。

 

「以外と固くて食えなかったりして」


 ていっ! と勢いをつけてひっくり返せば、綺麗に網目が付いたドラゴンテールの片面が登場。

 よしよし、よく焼けてる。

 ただ、ひっくり返してから片面焼けるまで暇だな。

 テーブルの上に乗ってるものでも確認してみるか。

 ん~と? お、美味しいドラゴン肉の食べ方って手順があるじゃん。

 読んでみよ。

 ……ステップ1、焼き上がったらシンプルに塩で肉本来の味を楽しむ。

 ……ステップ2、お好みのタレを付けて。

 ……ステップ3、ご飯に乗せて追加で出汁を注文し、かけて食べる。

 ――ひつまぶしなのでは?

 いや、ひつまぶしならステップ2が薬味を乗せて……になるけど、それでも食べ方ひつまぶしなのでは?

 ――ランチメニューにドラまぶし定食とかあるし。

 ほな意識しとるやんけ、元はひつまぶしかい。


「……ご飯、ほんのちょっとだけ貰うって出来るのかな?」


 というわけで店員さんを呼ぼう。

 ――どうやって?

 日本のファミレスとかみたいに卓上ボタンとか無いし……。

 と思ったら、テーブルの脇に、


『御用の方は指パッチンをしてください』


 とか書かれてるし。

 えー、俺鳴らせないんだよなぁ、指パッチン。

 何度かチャレンジはするけどさぁ。

 ――スカッ。――スカッ。

 もうやだ。


「お呼びでしょうか?」


 って、鳴らなかったけど店員さん来てくれたし。

 助かる―。


「ご飯のお代わりなんですけど」

「かしこまりましたー」

「あ、少しだけでいいんですけど……」

「んー……二口分くらいでいいです?」

「あ、はい、それでお願いします」


 ……鳴らなくても何とかなるもんだな。

 とりあえずは助かったわ……。



「客室に戻りましたら指パッチンの鳴らし方を教えましょうかね。流石に、出来なければエルフに笑われてしまいますので」

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