異世界焼肉堪能
……提供された次なるお肉とやらを前に一瞬固まってしまう。
――本当に肉?
「どう見てもスライストマトなんですけど……」
見た目があまりにもトマト過ぎる。
まぁ、肉って事なんで焼きはするんですけれども。
……これも当たり前に焼くと肉汁が溢れるのな。
ちょっと日本の常識と違うなぁ。
「これは焼けたか見た目じゃ分からんな」
焼いてるトマト、焦げ目は付くけど色は変わらない。
まぁ、スライスされてるわけだし、多分火は通ってるでしょ。
いただきます。
「おー……あ、美味い美味い」
なんと言うか、しっかり出汁を吸ったトマト……。
いや、肉って話なのに味はトマトなのかよってのは置いといて。
ちゃんと美味いよ?
噛んだ瞬間に溢れる肉汁がどう考えても鰹出汁とか系の味がしてるとか、そもそも食感があまりにもトマト過ぎるとか気になる所はあるけれど。
それらは混乱はするけど理解出来ないって程じゃないし。
これにも塩だな。
「お次のお肉でーす」
で、丁度トマト肉を食べ終えたタイミングで運ばれてくる次のお肉。
お次は何でしょうね?
「――キュウリ」
いや、確かに夏のバーベキューとかだと定番だけどさぁ!?
冷やしトマトと冷しキュウリはなんぼあってもいいんだけどさぁ!?
ごく当たり前にスライスされて出てくるじゃん、お前。
まぁ、これも肉って事なんで焼きますけれど?
これ大丈夫? 本来は焼かなくてもいいものなのに焼いてるからって、店員さんで裏でコソコソ、
「あの客、これ焼いてたんだよー」
「えー? まじー? 田舎者かー?」
とか言って馬鹿にされてない?
信じてるぞ、リョウジ。
「……お前はキュウリじゃないのか」
で、こっちも念の為にしっかり加熱して食べてみたら、キュウリじゃなかった。
いや、お前は違うのかよ。
さっきのはまぁトマトだったじゃん?
じゃあお前もその流れでキュウリだと思うじゃん?
アゼルバイジャン?
「美味いのが腹立つ」
ちなみにこのキュウリ肉は味はソーセージです。
食感はキュウリです。
カリッ、ポリッと音の出るソーセージです。
美味しいと思いました、まる。
「マスタード欲しい……」
レモンダレ、味噌ダレと試したけど普通にマスタードとケチャップが欲しい今日この頃。
皆さまはどうお過ごしですか?
私はコーラをお代わりしました。
「ふぅ。今更だけどコーラも微妙に違うな」
日本の赤いコーラと海外の赤いコーラは味が違うんだけど、この異世界のコーラは結構日本の赤いコーラに味は似ている。
ただ、香りというか、風味は違うね。
スパイスとか、生姜っぽい香りが強い。
あと、グラスに入れられてるレモンが結構効いてる。
そのレモンの果汁がまたサッパリした酸味で、口の中が全然べとつかないんだ。
普通にこのコーラ、ボトルで売って無いかな?
普段から飲みたいんだけど。
「次のお肉ですー。お漬物のお代わりお持ちしましょうかー?」
「あ、お願いします」
で、肉と米と一緒に食べてた漬物が無くなっている事に気付いた店員さんにそう言って貰い、漬物お代わり。
「今のと同じのでいいです? それとも別のお漬物にします?」
「あ、じゃあ別ので」
「はーい」
漬物にもどうやら種類があるようで、べったら漬け以外もあるならとそっちを注文。
それが来るまでに次のお肉を焼きますか。
「……どう見ても貝なんだが?」
ミル貝とか、ホタテとか、貝殻から外してあるような貝ではなく。
もうまんま、まんま貝殻付きの貝が肉として登場してきた。
そろそろ俺の中の肉って認識にエラーが生じ始める頃だな。
「貝殻……なのかは分からないけど、食べられないよな? うん」
ちなみに貝殻は閉じてはいない。開いた状態で持って来られた。
というわけで火にかけ……これ、もうタレを貝殻に流し込んどいてよくない?
いや、やめておくか。そもそも味的にタレが合うか分からんし。
「そういや、オリジナルタレで食べてないな」
塩かレモンダレとかで食べてたからな。
というわけでオリジナルダレをお皿に出しまして。
指でちょっと掬って舐めてみる。
「お、かなりフルーティ。塩味はあるけどそこまで塩っ辛くは無いな」
フルーツ系の香りと甘さが目立つ、普通の美味しい焼肉のたれでしたね。
あー……これは豚とか鳥よりも、牛肉のが絶対に合うな。
……普通に牛肉焼いて食べたい。
まぁ、普通に出された肉を焼いて食べるけれども。
「そろそろかな?」
加熱した事で貝殻の中の肉が一回り縮んだ気がする。
まぁ、もう食えるでしょ。
いただきます。
――あ、初めは塩で。
「んー……。おー……なるほどなるほど」
というわけでこの謎の貝のお味は……、
「鶏肉っぽいね。味的にはハツかな」
鶏のハツみたいな味わいです。
これがトリ貝ってやつ?
そういう事にしとこう。
「これにはタレをかけたいね」
さっき鶏肉よりも牛肉と言ったけど、ハツみたいな内臓系のお味ならばオリジナルダレが合うはず。
という事でかけまして、食べまして。
白米を掻っ込みまして、コーラで締め。
あー……美味い。
「漬物お持ちしましたー」
「ありがとうございます。ご飯のお代わりもお願いします」
「かしこまりましたー」
ご飯も一杯目はあっさり完食。
さてさて、新しいお漬物は……。
――キムチ!!




