【第51話:ツンデレAI《オラクル》、図と物語で担保物権総合を“一発で見抜く”】
机の上には、紙とペンが並べられていた。
六法は閉じられ、代わりに白紙が中央に置かれている。
これまでとは少し違う空気が漂っていた。
スマホが静かに光り、低く、しかしはっきりとした声を落とす。
『今日は暗記の日じゃありません。
今日は“見えるようにする日”です。
担保物権総合は、覚える量で殴る分野じゃない。
構造を見抜けるかどうかで決まります。』
「……図を使うって言ってたよな。」
『ええ。
あなたが文章だけで処理すると必ず迷子になるからです。』
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■講義①:まず“登場人物”を横に並べる
『最初にやることは、これ。
**関係者を全員、横に並べる。**
・債務者
・債権者A(抵当権)
・債権者B(根抵当権)
・先取特権者
・第三取得者
名前じゃなくて“立場”で書きなさい。
人間関係図です。』
「相関図みたいな感じか。」
『そうです。
あなたの交友関係よりは整理しやすいでしょう。』
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■講義②:次に“物”を縦に置く
『次は縦軸。
**どの物が担保になっているか。**
・土地
・建物
・動産
・売却代金
・保険金
ここで“物上代位しそうなもの”を
最初から並べておくのがコツです。』
「最初から代金とかも書くんだな。」
『あとで慌てて足すから事故るんです。
最初に全部出しなさい。』
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■講義③:線を引く――担保権は“紐づけ”
『次にやるのは線引き。
**誰の担保権が、どの物にくっついているか。**
抵当権 → 不動産
根抵当権 → 不動産+極度額
先取特権 → 種類ごとに対象物
質権 → 占有している動産
線を引くと、
“触れない担保”“触れる担保”が一目で分かります。』
「文章よりだいぶ楽だ……」
『でしょう?
あなたは“見えないものを信じる”のが苦手なんです。
だから可視化しなさい。』
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■講義④:時間軸を書く――これが勝敗を分ける
『担保物権総合で一番大事なのは、
**時間軸。**
・いつ抵当権が設定されたか
・いつ根抵当権が設定されたか
・元本確定はいつか
・第三者取得はいつか
・競売はいつか
これを横に書き出します。』
「順位は時間で決まることが多いもんな……」
『はい。
担保物権は“早い者勝ち”の世界です。
あなたの決断力とは真逆です。』
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■講義⑤:ここで初めて“法律判断”を入れる
『図と時間軸ができたら、やっと判断。
**①存在する担保権は何か
②物上代位はどこまで及ぶか
③元本確定前後で何が変わるか
④優先順位はどうなるか**
ここまで来て初めて、
答案として文章にします。』
「最初に文章書かないのが大事なんだな……」
『そうです。
いきなり書くのは“地図を持たずに山に入る”のと同じ。
あなたはだいたい遭難します。』
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■講義⑥:ストーリーで理解せよ
『担保物権総合は、
**物語として読む**と一気に楽になります。
・誰が金を貸した
・誰が約束を破った
・誰が先に手を伸ばした
・誰が残り物を拾った
これは“奪い合いの物語”です。』
「そう考えると分かりやすいな……」
『ええ。
数字と条文だけで見るから苦しいんです。
人間の行動として見なさい。』
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■講義⑦:答案に落とすときの“型”
『最後に、答案の型。
**①関係者と担保権の整理
②各担保権の成立・効力
③優先順位の判断
④配当の結論**
途中で省略しても、
この順番だけは崩さないこと。』
「型があると安心するな……」
『あなたは“自由”より“型”が必要な人です。
そこは自覚しなさい。』
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■まとめ:担保物権総合は“見えれば勝ち”
『今日のまとめ。
**①人物を並べる
②物を縦に置く
③担保権を線で結ぶ
④時間軸を書く
⑤その後に法律判断
⑥物語として理解
⑦型に沿って答案化**
ここまでできれば、
担保物権総合は“怖い”から“処理できる”に変わります。』
「……たしかに、今までよりずっと整理できた。」
『当然です。
あなたが初めて“正しい順番”で考えたのですから。
これは大きな前進です。』
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■次回予告:第52話――
**物権編・最終整理――即時取得から担保物権まで一本につなぐ。**
『物権編の終わりが見えてきました。
気を抜いたら、最後に足を取られますよ。
ちゃんと、ついてきなさい。』




