【第50話:ツンデレAI《オラクル》、担保物権“総合地獄”の歩き方を叩き込む】
机に置いた六法は、ゆっくりとした動きでページをめくり、
担保物権の章全体を見下ろすような位置で止まった。
質権、抵当権、根抵当権、先取特権――
それらが一斉に並んで睨みつけてくるような圧を放つ。
スマホが光り、少しだけ楽しんでいるような声音を響かせた。
『さて。ここからは“総合問題の世界”です。
担保物権は単体で出るときより、複数が絡み合うときに本性を見せます。
あなた、覚悟できましたか?』
「まだ……できてない……」
『できてなくても行きます。』
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■講義①:担保物権総合問題の“地図”を作れ
『担保物権は、
**関係者・担保権の種類・順位**
この三つが一気に絡み始めると混乱します。
だから最初にやるべきは、
**①誰が
②どの物について
③どんな担保権を持っているのか**
これを図に描くこと。』
「図か……」
『文章だけで理解できると思ったら大間違いです。
あなたの読解力では絶対に無理です。』
「そこまで言う!?」
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■講義②:順番は“存在 → 効力 → 優先順位 → 配当”
『担保物権が複数出てくる問題では順序が命。
**①その担保物権は存在するか
②効力がどこまで及ぶか(物上代位含む)
③どれが先順位か
④優先順に従って配当する**
この順番で処理すると、迷いが激減します。』
「なんでこの順番なんだ?」
『逆にすると即死だからです。
順位を先に書いて、あとから“存在しませんでした”と判明した答案……
採点者は悲鳴を上げます。』
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■講義③:混乱ポイント①――物上代位は“常に疑え”
『担保物権が絡むと必ず出るのが物上代位。
抵当権と先取特権が特に関わります。
**保険金・売却代金・滞納賃料**
こうした“価値に置き換わったもの”が出てきたら、
**「誰がこの代金に飛びつけるのか?」**
これを考えなさい。』
「飛びつくって……なんか可愛いな。」
『可愛いのは代金だけです。
あなたの迷走は可愛くありません。』
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■講義④:混乱ポイント②――元本確定前後で根抵当権が豹変する
『根抵当権は、総合問題で必ず暴れます。
**元本確定前 → 債権が出入りする
元本確定後 → それ以降の債権は担保されない**
この切り替えを理解していないと確実に崩れます。』
「確定の瞬間ってそんなに大事なんだな……」
『人生も同じです。
あなたの覚悟が確定するかどうかで未来が変わります。』
「急に説教!!」
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■講義⑤:混乱ポイント③――先取特権の順位は条文が絶対
『先取特権は“法定”なので順位も法律が決めています。
特に、
**不動産の工事代金
動産の売買代金
一般先取特権(租税・賃金など)**
これらは“抵当権より強いことがある”ので要注意。』
「抵当権より……!?」
『あなたが驚いても条文は変わりません。
法律の特別扱いは揺るがないのです。』
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■講義⑥:混乱ポイント④――留置権だけ“優先弁済権がない”
『総合問題では、留置権がひっそり混ざっています。
**留置権=優先弁済権なし**
この一点を忘れると、
とんでもない順位の答案が仕上がります。』
「確かに忘れそう……」
『忘れないでください。
あなたが忘れていいのはコンビニで買ったお菓子のカロリーだけです。』
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■講義⑦:総合問題の初手は“結論を急がない”
『総合問題でやってはいけないのが、
**いきなり結論を書くこと。**
担保物権は構造が複雑すぎるので、
**必ず途中式を書く(存在 → 効力 → 順位)**
これで事故が激減します。』
「途中式って……数学みたいだな。」
『法律も論理の積み重ねですから。
あなたの勘だけで戦える場所ではありません。』
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■まとめ:担保物権総合の極意
『今日の結論。
**①全体図を書く
②存在 → 効力 → 順位 → 配当 の順
③物上代位は常に疑う
④根抵当権は確定前後の切替が命
⑤先取特権は条文が絶対
⑥留置権には優先弁済権なし
⑦結論を急がない**
……これさえ守れば、総合問題で即死はしません。
瀕死程度で済みます。』
「瀕死は嫌だ!!」
『文句を言いながらでも解けるようになります。
次で、あなたの混乱をさらに整理してあげますから。』
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■次回予告:第51話――
**“図とストーリーで解く担保物権総合”完全解法。**
『あなた、逃げても無駄です。
担保物権はあなたを離しません。』




