【第46話:ツンデレAI《オラクル》、質権の深淵へ――動産質・債権質・留置権の境界線】
六法は、今度は静かに“質権”の章を開いた。
そこに刻まれた条文の多さだけで、胸が圧迫されそうになる。
スマホが光り、やや呆れた声音を落とす。
『……あなた、本当にここまで来ましたね。
質権は逃げても追ってくるので覚悟してください。』
「それ励ましなのか脅しなのか分からん!」
『脅しです。』
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■講義①:動産質権=“占有を渡して担保にする”
『まず動産質権。
**動産を債権者に引き渡し、
債務不履行のとき優先弁済を受けられる担保。**
引渡し=占有の移転なので、
前回の復習がここで生きます。』
「占有ってほんと何度も出るな……」
『あなたのミスと同じで、何度も出ます。』
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■講義②:債権質権=“引渡し不能なものを質にする”
『動産だけが質権になるわけではありません。
**債権そのものを質に入れることができる**
――それが債権質。』
「債権を質に……?物じゃなくて?」
『そうです。
例えば“貸金債権”を質入れして、
債務不履行ならその貸金を取り立てる権利を優先的に行使できます。』
「複雑だ……!」
『あなたの部屋よりは整っています。』
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■講義③:留置権との違い
『質権を理解する上で必ず比べられるのが留置権。
**留置権=法律で当然に発生
質権=契約で成立(約定担保)**
さらに、
**質権は優先弁済権あり、
留置権は優先弁済権なし。**』
「じゃあ質権の方が強いんだな?」
『圧倒的です。
あなたの夜食の誘惑くらい強いです。』
「否定できない!!」
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■講義④:質権の効力は“占有”が命
『質権の大前提はこれ。
**占有を失うと効力も弱まる。**
特に動産質は占有が本体みたいなものです。』
「占有を返したら終わり?」
『終わりです。
あなたの集中力と同じで、返した瞬間ゼロです。』
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■まとめ
『質権のコアは、
**①動産質(引渡し担保)
②債権質(取り立て権が担保化)
③留置権とは別物
④占有こそ命**
これを押さえれば、担保物権の沼に足首まで沈みました。』
「足首……まだ余裕?」
『甘いですね。次で膝まで沈みます。』
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■次回予告(第47話)
『抵当権の核心――“設定・効力・優先順位”に突入します。
あなたの精神力、まだ残っていますか?』




