【第43話:ツンデレAI《オラクル》、即時取得の“善意最強ルール”を叩きつける】
机の上に置かれた六法が、ふと風に押されるように開いた。
現れたのは、民法の中でも特に強烈な力を持つ条文――192条。
スマホが淡く光り、その光はどこか挑発的だった。
『さあ来ました。即時取得。
あなたみたいに“外見だけそれっぽいと信じやすいタイプ”が
民法の側に立てる珍しい制度です。』
「なんか今の説明、褒められてない気がする。」
『褒めてません。では始めます。』
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■講義①:即時取得とは“外観を信じた善意の第三者を保護する制度”
『即時取得の定義はこう。
**善意・無過失の第三者が、
権利者でない者から動産を取得した場合でも、
一定の要件を満たせば所有権を取得できる制度。**
民法192条です。』
「え、権利者じゃない人から買っても、持ち主になれるのか?」
『そうです。あなたの驚きは正しい。
でも民法は“外観を信頼した者”を守るときがあるのです。』
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■講義②:即時取得の要件は5つ
『重要なので絶対落とすな。
**①動産であること
②取引行為による取得
③平穏・公然の占有を取得
④善意・無過失
⑤相手方が占有していたこと**
これらが揃うと即時取得が成立します。』
「五つ……多いけど覚えられそうだ。」
『覚えられなかった時の言い訳は聞いてあげません。』
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■講義③:善意+無過失 → “疑ってはいけなかった状態”
『即時取得の肝は“善意・無過失”。
**善意=知らなかった
無過失=知らないことに落ち度がない**
この二つがセットで必要です。』
「無過失ってけっこう厳しいよな……」
『あなたの勉強不足は“過失”です。
即時取得は成立しません。』
「例えが雑!!」
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■講義④:なぜそんな制度があるのか(外観法理)
『理由は単純。
**取引の安全を守るため。**
世の中、持っているように見える人から買うことが多いでしょう?
その外観を信じた者を保護しなければ、
取引は崩壊します。』
「たしかに……持ってるように見えたら信用する……」
『あなたの完璧そうな勉強スケジュールも外観だけですがね。』
「スケジュールは外観じゃない!!」
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■講義⑤:盗品・遺失物には“即時取得不可”(193条)
『大事な例外。
**盗品と遺失物は即時取得できません(193)。**
ただし、
“質屋・古物商などから買った場合は、
返す代わりに支払った代金を請求できる”。』
「盗品はさすがに守られないのか。」
『当然です。
あなたが他人の参考書を勝手に持ってきたら即時取得など成立しません。』
「しないよ!!」
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■講義⑥:“外観が正義”の世界を理解せよ
『即時取得は、
**外から見える支配状態(占有)に信用力を与える制度。**
だから占有を学んでから即時取得に進むのです。』
「つながってるんだな……」
『はい。あなたの勉強時間が断片的なのと違って。』
「今日刺すね!?」
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■まとめ
『今日の結論。
**①即時取得は外観保護
②要件は5つ
③善意・無過失が核心
④盗品・遺失物は例外
⑤占有の外観を前提にしている**
……理解したと言うなら、今すぐ条文を自分で読んでください。』
「読む……読みます!!」
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■次回予告:第44話 “所有権の本質と限界” へ。




