【第40話:ツンデレAI《オラクル》、三大返還・救済制度の“境界線”を叩き込む】
机の上の六法が静かに閉じられ、
新たなページが開く前の、わずかな余白の時間が訪れていた。
緩く差し込む光が紙面に落ちると、スマホが小さく震え、声を発した。
『さて。
あなたが毎回ごちゃ混ぜにし、答案をカオスにしてきた
“不法行為・不当利得・事務管理”の境界を、今日こそ明確にします。』
「カオスって言うな……でも否定はできない……」
『できないなら黙って聞きなさい。今日は逃しませんよ。』
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■講義①:まず“軸”を持て――3制度の違いは“どこを基準に判断するか”
『3つの制度は、どれも返還や調整を扱いますが、
**判断の軸**がまったく違います。
◆不法行為(709)……“加害行為の有無”
◆不当利得(703-704)……“原因の有無”
◆事務管理(697-702)……“本人のために動いたか”
この“軸”が見えていないと、答案は確実に破滅します。』
「確かに……今まで全部“返せ系”でくくってた……」
『それがカオスの原因です。自覚あるだけ成長しましたね。微量ですが。』
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■講義②:不法行為=“悪さをしたかどうか”が核心
『不法行為を出すときの合言葉はこれ。
**“悪さした?”**
故意・過失・因果関係・損害。
悪い結果を生んだ“行為”が中心。
ここを忘れた瞬間に、あなたは迷子になります。』
「悪さ……わかりやすいな。」
『あなたの寝坊も社会的にはギリ不法行為です。迷惑なので。』
「やめろ!!」
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■講義③:不当利得=“理由なく得した?”で判断する制度
『不当利得の軸はこれ。
**“正当な理由なく利益を得た?”**
原因がなければ返す。
あるなら返さない。
尋問のようにシンプルです。』
「たしかに……行為より“理由”を見るんだよな?」
『はい。あなたが“勉強した気分だけ得ている状態”に似ています。
実態が伴わなければ返還です。』
「返還したくない!!」
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■講義④:事務管理=“頼まれてないのに本人のために動いたか”
『事務管理の軸はこれ。
**“本人のために動いた?勝手に?”**
善意か悪意か、費用の扱いはどうか。
この方向で判断します。
悪意で勝手に動くと地獄を見る。これは覚えておきなさい。』
「悪意は怖いな……」
『あなたの“深夜の暴走勉強スケジュール作成”も悪意よりです。
翌日のあなたが損害を受けています。』
「やめてくれ!!」
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■講義⑤:答案で迷ったときの究極の一問
『どれか迷ったら、この質問を自分に投げなさい。
**Q:問題の中心は“行為”? “利得”? “管理”?**
◆行為 → 不法行為
◆利得 → 不当利得
◆管理 →事務管理
この判断だけで方向がぐっと定まります。
あなたでも迷いが半減します。半減“は”します。完全には消えません。』
「半減でも十分ありがたい……!」
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■講義⑥:3つの境界線を踏み抜く典型パターン
『あなたがよく踏み抜く地雷を挙げます。
◆①利得があっても不法行為で処理してしまう
→ 行為責任なのか利得返還なのかをまず見分ける。
◆②善意の管理を“好意だから無責任”と誤解
→ 善意管理者にも厳しい義務がある。
◆③原因の有無を調べずに“不当利得成立!”と断言
→ 原因があったら不成立。
この3つは何度言ってもあなたは落ちます。
なので諦めず繰り返します。』
「反論できない……」
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■講義⑦:答案構成の黄金ルール
『答案で最初に判断するべきなのはこれ。
**“当事者間の法律関係をどう整理するか。”**
そのあとに、
**①不法行為
②不当利得
③事務管理**
の順で検討していくと破綻しません。
“加害 → 利得 → 管理”の順です。』
「順番決めるの、こんなに楽なんだな……」
『あなたの部屋も順番に片付ければ楽なのに、
いつもランダムに動くから終わらないんです。』
「法律の話に集中させて!!」
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■講義⑧:この3つがわかれば“民法の山の半分”は越えた
『不法行為・不当利得・事務管理は“民法の裏三強”。
ここが整理できれば、答案の視界が一気に開けます。
あなたが今まで暗闇で泣いていたのは、
ただ道が見えていなかっただけです。』
「……そうだったのかもしれない。」
『はい。泣いていたのは事実です。
声に出してなくても、答案が泣いていました。』
「答案が泣くのは嫌だ……!」
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■まとめ:“行為・利得・管理の三本柱で民法が透ける”
『まとめます。
**①不法行為=行為責任(悪さした?)
②不当利得=原因なき利得(理由ある?)
③事務管理=勝手な管理(本人のため?)
④軸を見失うと答案が崩壊
⑤迷ったら“行為・利得・管理”の三択で判断
⑥答案は“行為→利得→管理”の順で整理**
……これでようやく土台ができましたね、あなた。』
「たしかに……今までより見える世界が広い!」
『広がった景色に溺れないように。
まだ討つべき山はありますから。』
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■次回予告:物権総論――“民法の基礎体力”を試される世界へ
スマホが淡く光を放ち、次の章の始まりを示す。
『次は、民法の中でも逃げ場がない根幹部分。
**第41話:物権総論――物の支配とは何か。**
ここから先、本気で走らないと置いていきますよ。』




