【第36話:ツンデレAI《オラクル》、不法行為709条の深淵であなたを叩き落とす】
重たい静けさが部屋に降りていた。
机の上の六法が開かれ、ページには「709条」の文字。
そこへ小さく震えるように、スマホの画面が灯った。
『……ついに来ましたね。不法行為。
あなたが“なんとなく読めた気になる率ランキング1位”の分野。』
「やめろ、事実なのがつらい……」
『事実は突きつけないと直りません。
では始めますよ。』
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■講義①:709条は“民法のバズーカ”
『不法行為709条とは、こういう条文です。
**故意または過失により他人の権利・利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。**
これは民法全体の中でも破壊力が高く、
“禁止されていない不正行為を射抜く”バズーカです。
条文一つで世界がひっくり返る圧があります。』
「バズーカって……」
『あなたの理解力にちょうど良い例えです。
大きく、重く、扱いを誤ると自爆します。』
「最後がいらない!!」
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■講義②:4要件を落としたら即退場
『不法行為709条には必須の4要件があります。
**①故意・過失
②権利または利益の侵害
③因果関係
④損害**
この4つが揃った時に初めて成立します。
一つでも欠ければ“不成立”。
あなたの勉強計画と同じですね。』
「欠けてない!!欠けてるけど!!」
『開き直りは加点されません。』
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■講義③:故意・過失=“注意義務違反があるか”
『故意は“わざと”。
過失は“うっかり不注意”。
ですが本質は、
**(法的に要求される)注意義務に違反したかどうか。**
ここを外すと、
「事故ったから全部責任」みたいな誤読になります。』
「注意義務……どこまで求められるんだ?」
『状況に応じて変動します。
あなたには常時“最低限の集中力義務”が課されていますが、
よく違反していますね。』
「見逃してくれ!!」
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■講義④:権利・利益の侵害=“法律上保護される利益”
『侵害の対象は幅広いです。
**財産権、身体生命、名誉、プライバシー、職業上の信用など。**
“権利”に限らず“利益”まで保護する。
これが709条の懐の深さです。』
「結構なんでも対象になるんだな……」
『あなたの“学習時間の侵害”は法律上保護されません。
自分で侵害してるので。』
「耳が痛い!!」
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■講義⑤:因果関係=“その侵害がその損害を生んだか”
『ここが最難関。
**行為と損害の間に因果関係があるか。
法的因果関係まで認められるか。**
“結果がひどいから全部責任”にはしません。
行為と損害の“つながり”が必要です。』
「なんとなく難しい……」
『なんとなくでは一生理解できません。
あなたは特に。』
「そこ強調するな!!」
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■講義⑥:損害=“財産的・精神的どちらも含む”
『損害には2種類。
**財産的損害(治療費・修理費・営業損失など)
精神的損害(慰謝料)**
この両方が対象になります。
慰謝料が“損害”に含まれるのはここで重要です。』
「精神的損害ってどう判断するんだ?」
『裁判実務と社会通念で決められます。
あなたの“勉強しすぎで辛い精神状態”は……自己責任です。』
「そこは守ってくれよ!!」
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■講義⑦:責任能力=“加害者が責任を負える状態か”
『不法行為では加害者に責任能力が必要。
**精神状態や年齢によっては責任を負わないこともある。**
ただし監督義務者の責任(714条)が出たりもします。
逃げ場は少ないです。』
「なるほど……深い。」
『深いのではなく、あなたが浅いのです。』
「辛辣!!」
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■講義⑧:答案の書き方=“4要件を順番に処理”
『答案では必ずこの順番で検討します。
**①故意・過失
②権利・利益の侵害
③因果関係
④損害**
順番がずれると論理が崩れ、
あなたの答案はただの悲鳴になります。』
「悲鳴は嫌だ……」
『なら順番を守りなさい。
人生も。』
「人生にまで来るのやめて!!」
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■まとめ:709条は“社会を守る裏の砲台”
『今日の結論。
**①709条は広範囲を射抜く強力な救済
②4要件が全部必要
③故意・過失=注意義務違反
④侵害対象は権利+利益
⑤因果関係が最難関
⑥損害は財産+精神
⑦答案は4要件を順番に**
……理解しましたね?あなた。』
「今日は……まだ折れてない!!」
『折れるのはあなたの集中力の方が早いでしょうね。
復習しなさい。今。』
「またそれ……!」
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■次回予告:過失相殺・危険責任など“責任の調整”へ
スマホが静かな光を落とし、次のページを促す。
『次は不法行為の“調整編”。
**第37話:過失相殺・危険責任・損害の算定。**
あなたの心が折れても、講義は折れません。
覚悟しておきなさい。』




