表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/58

【第35話:ツンデレAI《オラクル》、代理・無権代理・表見代理の迷宮に踏み込ませる】

静かな部屋に、ページをめくる微かな音が漂う。

 “代理”と見出しのついた章が開かれた瞬間、

 机の上のスマホがぴくりと光を放った。


『……ついに代理に来ましたね。

 あなた、この分野で何度迷子になりました?

 数えても無駄ですけど。』


「今回は迷わないつもりだ……!」


『その“つもり”がいちばん危険なんですけど。

 まあ、聞きなさい。』


---


■講義①:代理の本質=“本人の名で法律効果が本人に帰属する”


『代理とは端的に言えば、


 **代理人が本人の名で契約などを行い、その効果が本人に帰属する制度。**


 ここで重要なのは、


 **①本人の名で

 ②代理権の範囲内で

 ③本人に法律効果が帰属**


 この3点だけです。

 この3つを外したら代理ではありません。』


「まずは基本だな……わかる気がする。」


『気がするだけで突っ走らないように。』


---


■講義②:顕名=“本人の名を示すこと”


『代理には“顕名”が必要です。


 **誰のために行っているか、外から見えるようにすること。**


 “自分のための契約”に見えたら、それは代理ではなく本人の行為。

 一歩間違えると大事故です。』


「たしかに代理人なのに本人扱いは困る。」


『あなたは自分の理解力を顕名した方がいいですね。

 その方が周りが気を遣います。』


「今のは悪口!!」


---


■講義③:無権代理=“代理権がないのに代理した状態”


『次が本番。無権代理です。


 **代理権がないのに、代理人のように契約してしまうこと。**


 すると何が起きるか?


 **本人には効果が帰属しない。

 相手方は宙ぶらりん。

 無権代理人が責任を負う可能性がある(民法117)。**


 一気に混乱が生まれます。』


「これ……怖いな……」


『あなたが“わかったつもり”で進むのと同じくらい怖いです。』


「比喩が凶悪!!」


---


■講義④:追認=“あとから本人がOKと言う”


『無権代理を救済する方法が“追認”。


 **後から本人が“それでいいよ”と認めれば、

 最初から有効だったように扱われる。**


 逆に本人が拒絶すれば、

 契約は本人に及ばず、無権代理人が責任を負う可能性。』


「追認ってそんなに強いのか……」


『あなたの失敗も追認できればいいんですけどね?

 ほとんど拒絶案件ですよ。』


「拒絶するな!!」


---


■講義⑤:表見代理=“外から見れば代理権があるように見える”


 ページの隅に記された条文が視界に入る。


『表見代理は、代理法の華であり地雷です。


 **外観を信頼した相手方を保護するため、

 本人に効果が帰属する例外的制度。**


 典型は三つ。


 ◆権限外の行為(109条)

 ◆代理権消滅後の行為(110条)

 ◆無権代理人への権限授与の表示(112条)


 この三本柱を覚えないと迷子になります。』


「どれも似てるようで違う……!」


『あなたの“理解したつもり”と“理解していない現実”くらい違います。』


「それは同じ!!いや違う!!」


---


■講義⑥:本人保護と相手方保護のバランス


『代理制度の核心はここです。


 **代理人がしでかした行為の結果を

 本人がどこまで背負うのか、

 相手方をどこまで保護するのか。**


 そのバランスの調整が、


 **通常の代理 → 無権代理 → 表見代理**


 この順に連なっています。』


「体系的なんだな……」


『体系的に提示してるんです。

 あなたのカオスな思考に合わせたら、法律が崩壊しますから。』


「ぐうの音も出ない……!」


---


■講義⑦:答案の書き方=“誰の行為が誰に帰属するかをまず決める”


『代理の問題は、まずこれを決めるところから始めます。


 **①誰が行為をしたか

 ②その行為は誰に帰属するか

 ③代理権の有無

 ④表見代理の成立

⑤無権代理人の責任

⑥追認の影響**


 この流れを外すと迷宮入り確定です。』


「順番、大事なんだな……」


『順番が守れない人は現実でも困りますよ?

 あなたの部屋の片付けとか。』


「代理から掃除の話に飛ぶな!!」


---


■まとめ:“代理は帰属、無権は否定、表見は救済”


『今日の結論。


 **①代理=本人に効果が飛ぶ制度

②顕名が必須

③無権代理=本人に効果なし、117条で責任

④追認があれば有効化

⑤表見代理=相手方保護で本人に帰属

⑥答案は“帰属の行方”から始める**


 ……理解しましたね?あなた。』


「今日は……少し光が見えた!!」


『その光、表見代理の“外観”だけじゃないでしょうね?

 中身が伴ってなければ幻ですよ。』


「幻じゃない!!……と思う!!」


『思うだけなら自由です。

 証明は次の問題で。』


---


■次回予告:不法行為・709条の深淵へ


 スマホの光が低く揺れた。


『次はあなたが毎回“わかった気になって即落ち”する分野。


 **第36話:不法行為法――故意・過失・因果関係・損害。**


 泣いても逃げられません。

 覚悟しておきなさい。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ