【第34話:ツンデレAI《オラクル》、危険負担と契約不適合で思考を徹底破壊する】
机に広げられた六法のページが“危険負担”の項目で止まった。
文字を目で追う主人公の表情には、どことなく油断が漂っている。
「危険負担って、結局“壊れたら誰が損するか”って話だよな?」
いつものように軽い調子でつぶやいた瞬間、
スマホが深いため息をついた。
『……あなた、またそんな表層的な理解で済ませる気ですね?
危険負担は“壊れたら誰が損するか”ではなく、
**給付不能になったとき、相手の反対給付義務がどう動くか**の問題です。
一文字目からやり直しますか?』
「一文字目はやめろ!!そこまでじゃない!」
『十分そこまでなんです。始めますよ。』
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■講義①:危険負担=“反対給付が残るかどうか”
スマホの声が、黒板のように整理していく。
『危険負担とは、
**目的物が給付不能になったとき、
相手方の反対給付義務(主に代金支払)が消えるかどうか**。
ここを判断する制度です。
“損をするのは誰か?”ではなく、
**“義務関係がどうなるか”が本質。**』
「損得じゃなくて義務の行方……印象が変わるな……」
『はい。あなたのやる気の行方も毎回変わりますが。』
「すぐ脱線させる!!」
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■講義②:不可抗力なら“買主負担”が原則(ここを落とすと死亡)
『危険負担の最重要ポイントはこれ。
◆売主の責めに帰すべき事由 → 売主が負担
◆買主の責めに帰すべき事由 → 買主が負担
◆不可抗力 → **買主負担(原則)**
不可抗力は“買主負担”。
これを逆に覚えて沈む受験生が多いですね。
あなたも含めて。』
「そこは言わなくていい!」
『事実です。』
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■講義③:なぜ不可抗力なのに“買主負担”なのか
『理由は単純。
**契約は“双務契約”。
利益を受けるのは買主。
だから危険も買主が負担する。**
この“利益と負担の一致”が根底思想。』
「筋は通ってるんだな……」
『理解したあなたも筋が通ってます。
珍しく。』
「珍しくって言うな!!」
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■講義④:契約不適合(旧:瑕疵担保)=“契約内容と違う状態”
ページがめくられ、新しい章へと視線が移る。
『契約不適合とは、
**目的物が契約で予定された内容に適合していない状態。**
昔の“瑕疵があるかどうか”ではなく、
**契約内容と一致しているか**で判断します。』
「つまり、欠陥そのものより“契約と合ってるかどうか”なのか。」
『そういうことです。
あなたの学習計画も契約内容と一致していませんね。』
「やめろ!!」
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■講義⑤:契約不適合の救済メニュー(4つある)
『買主がとれる権利は4つ。
**①履行追完請求
②代金減額請求
③損害賠償請求
④解除**
この全部を状況に応じて使い分けます。』
「多いな……」
『あなたの言い訳よりは整理されています。』
「例えないで!!」
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■講義⑥:買主の通知義務=“黙っていたら救済されない”
『契約不適合では買主に通知義務があります。
**内容不適合を知ったとき、遅滞なく通知すること。**
通知しなければ損害賠償が制限されます。』
「通知ってそんなに重要なのか……」
『あなたも“理解できてない”と私に通知するでしょう?
それがなければ救済できません。』
「急に優しい!!いやツンデレ!!」
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■講義⑦:危険負担と契約不適合は絶対に混ぜるな
『この二つ、試験でしょっちゅうセットで出ます。
しかし、
**危険負担=給付不能と反対給付の行方
契約不適合=不適合時の買主救済**
性質が全く違います。』
「確かに……テーマからして違うな。」
『違うのに混ぜて沈む受験生が多いんですよ。
あなたも以前そこで沈みました。』
「黒歴史を掘るな!!」
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■講義⑧:併存ケースの処理順(最重要)
『危険負担と契約不適合が両方登場した場合、
**①契約不適合の有無
②危険負担の帰趨**
この順番で処理します。
順番を間違えると答案が爆散します。』
「爆散は嫌だ!!」
『なら順番を守りなさい。』
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■まとめ:危険負担=義務、契約不適合=救済
『今日のまとめ。
**①危険負担=反対給付義務の行方
②不可抗力は買主負担(原則)
③契約不適合は“契約内容とのズレ”
④買主の権利は4つ
⑤通知義務に注意
⑥二つは絶対に混ぜるな
⑦併存時は順番で解く**
理解できましたね?あなた。』
「……今日は意外とスッと入った気がする!」
『その“気がする”を信じてはいけません。
復習です。今すぐ。』
「やっぱり鬼……!」
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■次回予告:代理・無権代理・表見代理へ
スマホの画面が鋭い光を返した。
『次回は、あなたが迷子率100%の分野。
**第35話:代理・無権代理・表見代理。**
“誰の行為が誰に帰属するのか”
混乱して当然の構造ですが、逃げたら許しません。』




