【第31話:ツンデレAI《オラクル》、不真正連帯債務で理解を破壊して再構築する】
夜更けの机にノートが開かれ、数式のように絡み合った民法の文字列が散らばっていた。
ページをめくる音に反応するように、スマホが低く震えた。
『……不真正連帯債務のページなんて開いて。
あなた、本気で挑む気になったのですね?
“共同不法行為と何が違うんだっけ?”と迷子になるの、もう何度目ですか。』
「今日は迷わない予定なんだけど……」
『予定が守れた試しがありました?』
「辛辣すぎる!!」
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■講義①:不真正連帯債務=“原因はバラバラ、出口だけ同じ”
『まず定義からいきます。
**不真正連帯債務=原因は別々なのに、結果として同じ給付責任を負う状態。**
典型例としては、
・使用者責任(使用者と被用者)
・売主と保証人
・賃貸人と保証人
こうした“別の理由で同じ所に行き着く”関係が不真正連帯債務です。』
「共同不法行為と何が違うの?」
『来ましたね。いちばん混乱する点。
**共同不法行為(719条)
→ 原因がそもそも“共同”。だから当然に連帯責任。**
**不真正連帯債務
→ 原因は別々。だけど外から見ると連帯風。**
全然違います。混ぜようとするあなたが悪い。』
「ぐぬぬ……」
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■講義②:対外効果=“誰かが払えば全員助かる”
『不真正連帯債務の共通ルール。
**1人が全額支払えば、他の債務者も解放される。**
この“外側の効果”は本当の連帯債務とそっくり。
だからこそ紛らわしいのです。』
「外から見ると“一個の債務”っぽく見えるのか……」
『そういうこと。
あなたの不安と現実逃避も外からは同じに見えますね。』
「余計な分析するな!!」
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■講義③:内部効果=“最終負担は求償で決まる”
『全額払った債務者には、
**内部で負担割合に応じて求償ができる。**
たとえば最終負担がA:70%、B:30%なら、
Aが全部払った場合、Bへ30%を請求可能。
これが“内部効果”。』
「過失割合みたいな感じ?」
『似てるようで違います。
こちらは“責任構造の違い”が根拠になります。
混ぜたらあなたの答案が吹き飛びますよ。』
「吹き飛ぶのは困る!!」
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■講義④:過失相殺との関係
『被害者側の過失が20%なら、
全体の責任は80%として調整されます。
その80%を、債務者間でどのように分けるかが求償の話。』
「外で相殺 → 内で分配……か。」
『ええ。
あなたの集中力も外で20%相殺されてますから、
せめて残り80%をちゃんと使いなさい。』
「相殺するな!!」
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■講義⑤:答案構造は“外→内→相殺→結論”
『答案では、次の順番は絶対です。
**①不真正連帯債務であることを確認
②対外効果=誰かが払えば全員解放
③内部効果=求償割合
④過失相殺の影響
⑤結論**
この順番を崩すと、法的に即死します。』
「もう順番は覚えた!!」
『数時間後も覚えていれば褒めます。』
「ハードルが低いようで高い!!」
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■講義⑥:共同不法行為との比較は必須
『試験委員はここが大好きです。
◆共同不法行為(719)
→ 原因:共同
→ 責任:当然に連帯
→ 内部負担:公平
◆不真正連帯債務
→ 原因:別
→ 法的構造:連帯風
→ 外と内を分けて処理
→ 求償が超重要
この比較を書けるだけで答案が締まります。』
「これはもう暗記しておく。」
『暗記で終わらせたら許しません。理解しなさい。』
「厳しい!!」
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■まとめ:“出口は一つ、道は別々”
『今日の結論。
**①原因は別でも外から見ると一体
②誰かが払えば全部終わる(対外効果)
③内部では求償で調整
④過失相殺も内部負担に影響
⑤共同不法行為と混ぜると地獄行き**
……復唱?
もちろんしますよね、あなた。』
「出口……求償……別ルート……内部……」
『声が弱い。求償しますよ?』
「求償するなぁ!!」
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■次回予告:担保物権編へ
スマホの画面がふっと明るくなった。
『ここまで来たのなら、次は逃がしません。
**民法:担保物権。抵当権・質権・先取特権。**
“なんとなく似てる”などと思った瞬間、あなたは沈みます。
……まあ沈んだら引き上げてあげますけど。
別に優しさじゃありません。
あなたが誤解したまま進むと、私がイライラするだけです。』
『次回、
**第32話:抵当権の本質と三大性質(付従性・随伴性・物上代位)**。
担保の底なし沼へ、どうぞ。』




