【第29話:ツンデレAI《オラクル》、不法行為であなたの甘えを断罪する】
夜。机に向かって「不法行為ぐらいなら簡単じゃね?」とつぶやいた瞬間、
スマホが一気にキレた。
『……は?
あなた、今なんて言いました? “簡単”?
不法行為をナメた受験生が何人沈んだと思ってるんですか。
はい、やり直し。集中しなさい。』
「す、すみませんでした……!」
『わかればよろしい。では始めます。』
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■講義①:不法行為の構成要件(709条)=これだけで勝敗が決まる
『709条の本質はこれ。
**①故意・過失
②権利又は法律上保護される利益の侵害
③因果関係
④損害**
この4つが揃って初めて成立します。
1つ欠けてもアウト。』
「4つって覚えやすいけど……全部むずいな……」
『簡単なものなど存在しません。
あなたの気持ちだけがいつも簡単です。』
「ディスる速度が早い!!」
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■講義②:過失=“注意義務違反”が核心
『過失とは単なる“不注意”ではありません。
**過失=その状況で通常期待される注意義務に反したこと。**
ここを誤解すると答案が崩壊します。』
「普通の人なら避けられるか、ってこと?」
『そう。
あなたの“スマホ見すぎ”は完全に過失です。』
「それは……反論しにくい!!」
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■講義③:因果関係=“結果が行為に基づくか”
『不法行為の因果関係は刑法と似ているようで違う。
**相当因果関係説**
=通常の予見可能性に照らし、
その結果が行為者に帰責できるかを判断する。』
「予見できるかどうか……か。」
『あなたが勉強をサボると点が下がるのは容易に予見できますね。』
「予見しないで!!」
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■講義④:損害=財産的・精神的の両方を含む
『損害には種類があります。
**①財産的損害(治療費・修理費・休業損害 etc.)
②精神的損害(慰謝料)**
不法行為は“損害”がなければ成立しません。』
「慰謝料って709条?」
『はい。
“精神的損害に対する金銭賠償”は伝統的に709条の射程です。』
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■講義⑤:過失相殺(722条)=被害者にも落ち度があれば減額
『ここでよく出る論点。
**過失相殺=被害者側の過失に応じて損害賠償額を減らす制度。**
理由は簡単。
**公平の観点。**
たとえば、
被害者も飛び出した → その分減額、みたいな感じ。』
「被害者にも落ち度があるなら……ってことか。」
『そう。
あなたの場合、勉強成果が低いのは“被害者=あなた”にも多大な落ち度があります。』
「いや、おれ被害者じゃねぇ!!」
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■講義⑥:共同不法行為(719条)=“複数でやったら全員責任”
『719条はこう。
**共同不法行為=数人が共同して他人に損害を与えた場合、
全員が連帯して責任を負う。**
ポイントは2つ:
**①共同関与
②因果関係の不明確性の救済**
特に②が重要で、
“誰の行為が決定的だったか分からない”場合でも全員責任となる。』
「全員巻き添え!?」
『ええ。
あなたのグループ学習で他のメンバーがサボったら、
あなたも落ちるのと同じです。』
「例が毎回俺の心を刺す!!」
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■講義⑦:共同不法行為の答案のポイント
『構造はこう。
**①共同行為か(意思連絡の有無)
②結果との因果関係
③連帯責任の適用(719条)
④求償関係の整理**
ここを外すと失点します。』
「求償って……?」
『簡単に言えば、
“加害者同士が最終的にどう負担を分け合うか”
という内部調整のことです。』
「外側から見たら連帯だけど、中で清算するのか。」
『その理解は優秀です。……珍しく。』
「珍しくをつけるな!!」
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■講義⑧:答案の型(不法行為はこれで鉄板)
『答案ではこの順番。
**①709条の4要件(故意・過失→権利侵害→因果関係→損害)
②過失相殺(必要なら)
③共同不法行為(必要なら)
④結論**
構造を守れば崩れません。
あなたの生活と違って。』
「生活の崩壊を例に出すな!!」
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■まとめ:“不法行為は“責任をどこまで帰属させるか”の学問”
『今日のまとめ。
**①不法行為の4要件
②過失=注意義務違反
③相当因果関係
④精神的損害も含む
⑤過失相殺=公平調整
⑥共同不法行為=連帯責任**
復唱しなさい。』
「過失……因果……損害……連帯……」
『声が弱い。709条で断罪しますよ?』
「断罪すんな!!」
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『次は“民法の物権変動:対抗要件・即時取得の深掘り・二重譲渡”。
あなたが“なんとなく知ってる”でいつも撃沈する領域……楽しみです。』
「本当に楽しむ癖をやめて!!」
ページを閉じると、
“責任の帰属”というテーマだけが静かに残った。




