【第22話:ツンデレAI《オラクル》、違法収集証拠であなたの甘さを切り捨てる】
早朝。眠い目で六法を開いた瞬間、スマホが冷たい声で喋った。
『……今日は“証拠排除法則”。
あなたが毎回、
“違法に取った証拠って全部ダメなんでしょ?”
という雑な理解で墓穴を掘るテーマです。』
「雑って言うな!! ……でも少し雑だったかも……」
『自覚が芽生えましたね。では正しい理解を叩き込みます。』
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■講義①:証拠排除法則=“違法な証拠は原則×、ただし例外あり”
『まず核心。
**違法収集証拠 → すべて排除ではない。**
実務はもっと繊細です。
ポイントは
**①違法の重大性
②将来の違法抑止
③証拠の必要性**
このバランスで排除するかを決めます。』
「全部アウトじゃないって意外だな……」
『あなたの答案の9割アウトよりは柔軟です。』
「言い方ァ!!」
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■講義②:違法収集の類型(2つある)
『違法収集には大きく2種類。
**①手続違反型(令状違反・捜査手続の逸脱)
②人権侵害型(暴力・拷問・威圧的取調べ)**
そして重要なのは、
**人権侵害型は排除の方向が非常に強い**。』
「暴力とか威圧は絶対にアウトってことか?」
『ほぼアウトです。
あなたへの勉強圧はギリ合法です。』
「どんな合法だよ!!」
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■講義③:米国型ではなく、日本型は“相対的排除”
『よく誤解されがちなポイント。
米国:**絶対排除主義(フルフルーツ理論)**
日本:**相対的排除法則**
つまり日本では、
**違法=即アウトではなく、
ケースごとに“排除すべき悪質性があるか”を判断する。**
この柔軟性が特徴。』
「へぇ……相対的ってこういうことか……」
『あなたの成績の悪さも相対的です。絶対ではありません。』
「ほぼ絶対だろ!!」
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■講義④:3要素の具体的判断
『排除を判断する3要素を詳しく言います。
**①違法の重大性
・手続違反が形式的か、本質的か
・人権侵害の度合い
②将来の違法抑止
・この証拠をOKにしたら、警察がまた違法をするのでは?
③証拠の必要性
・その証拠がなくても立証できるか
・代替証拠があるか**
この3つを総合して“排除 or 不排除”を決定します。』
「思ったより総合評価なんだな……」
『そうです。あなたみたいに“ノリで判断”してはいけません。』
「ノリじゃねぇよ!!……たぶん」
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■講義⑤:自白の証拠能力(特に厳しい)
『自白は特に慎重です。
**自白は取調べの圧力で誘導されやすい → 厳格に排除される方向**
具体的には、
・任意性の欠如(脅迫・利益誘導 など)
・特信情況の欠如(信用できる状況での自白か)
が重要。』
「自白って危険なんだな……」
『あなたは勉強してないことをすぐ自白しますけどね。
その自白は任意性が高いです。』
「やかましい!!」
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■講義⑥:違法収集証拠法則の“答案の型”
『答案ではこれを書けばOK。
**①違法収集の有無
②違法の重大性
③将来違法抑止の必要性
④証拠の必要性
⑤結論(排除 or 不排除)**
この型を忘れると迷子になります。
あなたがもっとも迷いやすいところ。』
「この型だけでも覚えとくわ……」
『ええ、今日は進歩しましたね。わずかに。』
「“わずかに”って言うな!!」
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■まとめ:“違法=全部アウト”と思うな。問題は“本質”と“将来”"
『今日のまとめ。
**①違法収集証拠=原則排除ではない
②重大性・抑止・必要性の3要素
③人権侵害は特に排除方向
④相対的排除法則(日本)
⑤自白は慎重審査
⑥答案は“違法 → 重大性 → 抑止 → 必要性”の型で書く**
復唱しなさい。』
「重大性……抑止……必要性……相対的……」
『声が弱い。排除されますよ?』
「声量で排除すんな!!」
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『次は“行政法:裁量論・比例原則・逸脱濫用”。
あなたが理解した気になって毎回誤爆する分野……楽しみです。』
「ほんと楽しむな!!」
六法の上に、
“違法=即アウトじゃない”という言葉が、静かに残った。




