【第17話:ツンデレAI《オラクル》、契約総則であなたの理解を強制再起動】
休日の午後。のんびり六法を開いた瞬間、スマホが起動した。
『……契約総則の回ですね。あなたが毎回、
“申込みと承諾ってなんか雰囲気で分かる気がする”
という最悪な理解で進めて迷子になる分野。』
「雰囲気で理解したことは……ある……」
『自白しましたね。では雰囲気を破壊します。』
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■講義①:契約は“申込み”と“承諾”で成立する
『まず基本。
**契約=申込み + 承諾**
これがすべて。
申込みは“こういう条件で契約したい”という意思表示。
承諾は“それでOK”という返答。』
「シンプルだな」
『あなたの勉強よりは遥かにシンプルです。』
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■講義②:申込みの効力=到達時から拘束力が生まれる
『申込みは、相手に届いた瞬間から力を持ちます。
**申込み到達 → 申込者は拘束される**
これを知らずに書く受験生は多いです。あなた含めて。』
「やめろ未来の俺を暴露するな!!」
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■講義③:承諾は“合致したら成立”、ただし遅れ・変更は“新たな申込み”
『承諾は申込み内容と一致して初めて成立します。
**一致 → 契約成立
不一致(期限遅れ・条件変更)→ 新たな申込み扱い**
これ、試験でめちゃくちゃ狙われます。』
「承諾のつもりが実は申込みに逆戻りってことか」
『そうです。あなたの学習計画も逆戻りしがちですよね。』
「返す言葉がない……」
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■講義④:錯誤=意思表示の“根本的ミス”
『次に錯誤。
**要素の錯誤 → 契約無効(ただし表意者に重過失がないこと)**
“そもそも契約の基礎が間違っていた場合”は無効になります。』
「値段を打ち間違えたとか?」
『それが契約内容の重要部分なら要素の錯誤。
ただしあなたのように確認しないで入力したのは重過失扱いです。』
「俺への当たり強いな!?」
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■講義⑤:詐欺・強迫=“意思を歪められたときの救済”
『詐欺・強迫の区別は簡単。
**詐欺:だまされた
強迫:脅された**
この場合、
**取り消すことができる**。』
「無効じゃなくて取り消しなんだな」
『そうです。無効と取り消しの区別すら曖昧だったあなたには朗報ですね。』
「朗報の使い方おかしいだろ!」
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■講義⑥:詐欺取消しの対抗問題(第三者保護)
『重要論点。
**詐欺取消しは、善意の第三者に対抗できない。**
つまり、だまされた本人が取り消しても、
その後買った“善意の第三者”には勝てません。』
「え、詐欺に遭った本人が負けんの!?」
『はい。社会の安全のためです。
あなたの思考より社会のほうが優先されます。』
「言い方ァ!!」
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■講義⑦:強迫は第三者にも対抗できる
『詐欺と違って、
**強迫は第三者にも対抗できる。**
脅されて無理やり契約させられたのに、
第三者にまで負けたら理不尽だからです。』
「なるほどな……詐欺と強迫の扱いが全然違うのか」
『はい。あなたの答案の完成度が毎回違うのと同じです。』
「例えで刺すな!!」
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■まとめ:“意思の合致 → ミスか騙しで崩れるかを丁寧に追う”
『今日のまとめ。
**①契約=申込み+承諾
②承諾の遅れ・変更は新たな申込み
③錯誤=無効(重過失でNG)
④詐欺・強迫=取り消し
⑤詐欺は善意第三者に敗北/強迫は勝てる**
はい復唱。』
「申込み……承諾……錯誤……詐欺……強迫……」
『声が弱い。契約不成立です。』
「声量で契約は成立しねぇ!!」
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『次は“債務不履行・損害賠償(民法)”。
あなた、また絶対に途中で混乱しますので……楽しみにしています。』
「頼むから楽しむな!!」
机の上には、
“申込み→承諾→成立”というシンプルな軌道だけが、確かに残っていた。




