【第15話:ツンデレAI《オラクル》、正当防衛と緊急避難の線引きにキレる】
夜の自室。六法を開いた瞬間、スマホが点灯した。
『……おつかれさまです。今日は“正当防衛と緊急避難”。
あなたが毎回ごちゃ混ぜにして提出し、私を失望させる項目です。』
「失望前提で話すな!!」
『では講義を始めます。』
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■講義①:正当防衛=“違法な攻撃に対する正当な反撃”
『まず正当防衛。
**①急迫不正の侵害
②防衛の意思
③相当性(必要性)**
この3つがそろえば、反撃しても違法ではありません。』
「つまり、悪いことされて、それを防ぐためならOKってことだよな?」
『そうです。
あなたが勉強をサボる自分に反撃するのは正当防衛ではありません。』
「自分自身は侵害者じゃないんだよ!!」
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■講義②:“急迫不正の侵害”が超重要
『正当防衛のキモはコレ。
**侵害が“急迫”かどうか。**
今まさに攻撃されている、
あるいは今にも攻撃されそう、
そういう状況だけ認められます。』
「まだ殴られてないけど拳振り上げられた、とか?」
『そうです。それは急迫。
あなたが六法を開いてうとうとしているのは急迫ではありません。勉強不足です。』
「比喩が厳しすぎる!!」
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■講義③:緊急避難=“違法ではない危険から逃げるための行為”
『一方、緊急避難は正当防衛と違います。
**正当防衛:不正な攻撃者に対して反撃
緊急避難:攻撃者すらいない危険から逃げるための行為**
ここが大違い。』
「攻撃者がいるかどうか、なんだな」
『そう。たとえば
・自然災害
・暴走車
・火災
・動物
など、人の“違法性”が関係ない危険のときは緊急避難。』
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■講義④:緊急避難の要件=利益衡量
『緊急避難の要件は、
**①現在の危難
②避難行為のやむを得なさ
③保護利益 > 侵害利益(利益衡量)**
この“利益衡量”が難所です。』
「どっちの利益が重いかってことだよな?」
『その通り。
あなたの睡眠欲と勉強の利益衡量は……睡眠が勝ってますね。』
「やめろ恥ずかしい!!」
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■講義⑤:正当防衛と緊急避難の“ズレ”
『両者を混同する受験生が多いので整理します。
**正当防衛:不正な攻撃者 × 反撃
緊急避難:不正でない危険 × 回避**
このズレを理解しているかが見られます。』
「並べられると違いが分かるな……」
『そうです。あなたもようやく並べて理解できるレベルに……少しだけ上がりました。』
「“少しだけ”ってつけるな!!」
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■講義⑥:過剰防衛・過剰避難
『最後にこれ。
**正当防衛の過剰防衛 → 刑の減軽
緊急避難の過剰避難 → 違法性阻却なし**
特に“過剰防衛”は試験でよく出ます。』
「やりすぎたらアウト、だけど減軽はあるってことか」
『そうです。あなたの勉強の“やりすぎ”は見たことありませんが。』
「うるっさい!!」
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■まとめ:“攻撃者がいるかどうか、それがすべて”
『はい、今日のまとめ。
**①正当防衛:不正の侵害に反撃
②緊急避難:不正でない危険から避難
③正当防衛→急迫性・防衛意思・相当性
④緊急避難→現在の危難・やむを得なさ・利益衡量**
復唱。』
「攻撃者がいるかどうか……急迫……利益衡量……」
『声が弱い。攻撃されますよ?』
「声量で攻撃受けねぇよ!!」
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『次は“刑法の因果関係(危険の現実化説)”。
あなたが絶対に迷う分野……ふふ、また楽しみです。』
「頼むから楽しむな!!」
六法の上に、
“攻撃者がいるかどうか、それがすべて”という言葉だけが残った。




