去るも去らずもの
到底僕には理解できない
君のような人間が僕を愛していることが
何故そこまで僕に執着するんだい?
この世界に男が僕しかいないと言うのなら分かる
しかしどうだ。そこら中に溢れかえっている
優しくてシゴデキな上司だっているじゃないか
素直で真っ直ぐな後輩だっているじゃないか
君のような何処を切り取っても完璧な女性が
何故僕に愛していると言うんだ
風が吹くと優しく靡くその髪
滑らかで心地よい色白の肌
僕の心を見透かしているであろう黒い瞳
柔らかい薄ピンクの唇
しっかりと食べているのか心配になる華奢な身体
(いつも僕より食べているハズなのだが…)
寝る前には甘えた優しい声
朝起きるとまだ起きたくないと駄々をこねる
こんなにも素敵な君が何故僕なんかに。
僕はたいして立派な人間ではない
器が広い訳でもない。
(君が他の男と話しているとムシャクシャするんだ)
お金を沢山持っている訳でもない。
立端がある訳でもない。
ああ。一つだけ僕に持っているものがあるな。
君を愛する気持ち。
…改めて言うと小っ恥ずかしいな。
ん?何だって?そういうところ?
何を言っているんだい君は
僕には到底理解できないな。