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聖女の不満

 ずっとお腹が空いていた。いつも寝不足だった。

 それでも構わずにあいつらは私を連れ回す。

 断ったら断ったで絡んでくる。

 

 それがとても嫌だった。

 

 全員お金持ちで美形で親が偉い人で地位が高く貴族で高魔力、高学力で恵まれて居る。

 そのせいか遠慮と言うものを知らない私がいくら断っても花やアクセサリーやぬいぐるみなど役に立たないものを押し付けて来る、貴族からの贈り物だから、下手に捨てると面倒なことになる。

 だから部屋はいつもパンパンだった。

 

 私のものは角に追いやられた。


 教会の判定で魔力が出たので、学院への入学を許可すると言われた。

 でもこっちは碌に勉強もしていないので断ったら、ぜひあなたにはこの学園に入ってほしいと言われ、無料で教師をつけて勉強を教えてくれた。それで学園に入ったようなものだ。

 いざ学園に入ってみたら、寮はボロかったし、(古い一軒家で入居者は私一人だった)教科書はちょっと古かった。これは我慢できた。平民で孤児の入学生なんて、こんなものだと思っていた。

 授業は新鮮だったし、護身術も教えてくれると言うことなので楽しみにしていた

 でも、入学式が終わった後、授業の説明を聞きに教室へ行き、途中で男子生徒にぶつかってしまった。謝って先に行こうとしたら、腕をつかまれ

「君が例の女の子だね」と言われた。どういうことかと聞いたら

「君はまだ知らなくても良いんだ」と言われた


 私が行った時はもう説明会終わっていた。

 先生に文句を言われながら教科書を確保した


 次の日、初めて授業を受けてワクワクしながら食堂に行って、初めて見るようなご馳走に目を輝かせながら食べようとしたら、いきなり隣に座って来た男子生徒に、

「君が例の女性か」とまた言われた。

 周りの話からどうやら国一番の商会の跡取りらしい。

 まただ。

 お昼はちょっとしか食べられなかった。


 次に図書館に行って本を見ていたら、本の出し入れがうるさかったらしく、静かにしてくれとメガネをかけた男子生徒に呼び止められたそいつに「君が例の女か」とまた言われた。

 何なのかと聞いたら、君が知る必要はないと言って去っていった。

 周りの話からこいつは現宰相の息子だそうだ。


 平民の私は目をつけられているのかと思った。


 授業が終わり、寮への帰り道の途中に有った花壇の花の美しさに目をとられてボーッと眺めていたらシャツを開けた男子生徒がぶつかってきた。

 今度はこちらは何もしてないのにぶつかってきたので、一体何なんだと文句を言ったら

「うるさい女だなぁ」と言われた。

 ふざけるなと言ったら面白い女だと言われた。やばい奴とも逃げようと思ったら、また

 「お前が例の女か」と言われた。

 周囲に居た女子生徒から侯爵家のご子息だと聞いた。遊び人らしい


 これは何かあると思い、早速寮の管理人とか言う先生に報告した。

 「身分違いなんだから気をつけたほうがいいですよ」と言われた。


 夜、寮に帰って夕食を取りに食堂へ行ったら昼に絡まれた男子生徒がいた。今度はスプーンの持ち方や音を立てすぎだと言われて、すっかり食欲をなくして、寮へ帰って寝た。


 次の日の昼食もあの男に絡まれたら嫌だったので、購買でサンドイッチを買い中庭で食べようとしたら木の上から誰かが降りてきた。

 見ると、入学式で私を呼び止めた男だった。

 「何なんですか?」と言ったら、いきなり髪触れて変なことを言いながら髪に触れて来た

 気持ちが悪かった。

 サンドイッチを落としてしまい。お昼は食べられなかった。

 なんなんだコイツは


 その日の午後、中庭ではじめての護身術の講習で教わった事を何度か練習していたら、

 「変な踊りをしているのか」と笑う声が来たので振り向いたらごつい男がいた。

 そしたらそいつも「例の女だ」と言った。何なんですかそれと聞いたら「まだ教えていけないんだよ」って言われてさって言った。

 周りの話から代々騎士団長を輩出した家の長男らしい。


 寮母や先生に聞いてみると、「全く何も聞いていない」と言われた気持ちが悪かった。


 寮に小さい台所があったので、そこで弁当を作り中庭で食べようとしたら今度は絡んできた男子生徒が5人揃ってやって来てこんな所で何をしてるんだと言われた。

 面白いものを持っているなと言われ見せたら「手作り弁当なんて初めてだ」と言われて、味見と称して全て食べられた。


 その日は空腹で授業を受けた。


 夕飯は購買で野菜(園芸部が作った野菜らしい)と缶詰が売られていたのでそれを材料にして夕食を作って食べようとしたら、「食堂に来ないからどうしたんだ」と言われ、いきなり男子生徒五人が寮に入って来た。何しに来たんですかと聞いたら、一体どういう生活をしているのか見に来たと言われた。

「帰ってください」と言ったが、先生から「生活ぶりが気になるから様子を見て来て欲しいと頼まれた」のでと言われ返せなくなった。

 珍しいからと作った夕飯は全部食べられた。

 その日は空腹で寝た。


 こんな風に毎日、毎日、男子生徒に絡まれるため、他の生徒たちは私に話しかけてこないし、友人もできなかった。先生たちも何もしてくれなかった。


 空腹でとうとう倒れてしまい、気がついたら保健室だった。ベットの横の椅子でうたた寝して居る男子生徒がいた。

 面倒なので起こさない様にあわてて保健室を出て行って寮へ戻った。


 朝起きたら私の部屋に男子生徒達五人が入り込んでいた。朝起こしに来たと言われ、朝食を作ってくれと強請られ作って出した。

 時間がなかったのと私の分も食べられたので私はビスケットしか食べられなかった。それから夕飯時にも現れて食事を食べられ、ずっと男子生徒に授業中以外は絡まれた。


 授業中はお腹が空いて何も覚えられない、何もわからない、だから勉強が出来ていない。初めて受けたテストは最下点だったし、魔術訓練は爆発させてしまい、失敗してしまった。


 最悪だ。


 男子生徒達に「特訓だ!」と引っ張られて、授業の復習や護身術の訓練と言って引っ張り回された。

 1人でできるからいいと言ったが、

 「優秀な平民が出来が悪いと困るからな」と言われて終わりだった。

 毎回腕を引っ張られる。離して離してと訴えても離してくれない、正直怖かった。

 もう最悪だった。私の一日は朝は叩き起こされ、朝食を出し弁当を作り授業は空腹に耐え、訓練はふらふらでろくに何も出来ず、昼はマナーに口を出されながら弁当を食べ、夕方は特訓と称して近場の森やら、下町やらに引っ張り回されて、夜は夕食を出し食べ散らかしたそれを片付けて洗面所で遭遇しない様に注意しながら入浴して寝る。

 私は、そいつらに振り回される日々だった。


 ある日無理矢理パーティーに呼ばれたと言うか連れて行かれた。この前後はよく覚えていない。塗ったくられて、髪をキツく結われ、ドレスを着せされ、靴を履かされた。煌びやかだったが、振り回されて目が回って疲れて何も考えられなかった。

 ただアイツらがにやけて居たことは覚えて居る。

 アイツらが五人で話し込んでいる間に一人でバルコニーで座って休んでいたら

 「疲れて居る様ですね」と見知らぬ人に声をかけられた。

 その人は自分は帝国からの使者だと言い「公子達は貴方のことなんて考えて居ない、自分達の立場の為に貴方を利用する事しか考えて居ない」と言いそして「貴方の力は帝国でこそ発揮出来る。帝国に来ないか?」と


 すぐに連れてってくれと頼んだ。もうアイツらの側には居たくなかったから

 その日のうちに連れて行ってくれた

 その日はぐっすり眠れた。


 帝国に付いて直ぐに病院らしいところに連れて行かれ、健康診断とやらを受けさせられた。高魔力に霊力を持って居ると。


 初めて知った。


 その後はどこかのお屋敷に連れて行かれ、そこで体を整えるようにと言われた。盗られる事のない食事にせっつかれない運動、覗かれる心配のない入浴、無理やり叩き起こされる事のない自然な目覚め


 あいつらがいないだけでこんなに快適だと思わなかった。


 周りの人たちは親切で私に合わせた勉強方法を考えてくれて、そのおかげでどんどん伸びる学力に私はとても嬉しかった。

 魔力循環で魔力がコントロール出来たので、いろんな魔法も使えるし楽しかった。

 

 そしてある時出生の事実を知らされた、王家の血筋を引いているらしい。驚いたとともに納得した。あいつらは私をものにして正当な力と血を手に入れようとしたのだ。


 怒りが湧いた。


 このお披露目会に母国の使者が来るそうだから、キッパリと縁を切ってこの帝国で聖女となろう。


 私がそう決めたのだ。誰にも邪魔はさせない!


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う〜ん、ゲーム補正無しで見るととても気持ち悪い
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