回想:王子の思い出
王子とその仲間達視点さぶいぼ注意
一目で君に魅せられた
午前中の校舎で小走りに走る君がぶつかってきた。
これが「あの少女」だ。
生まれた時と十五歳のときにわが王国で行われる「魔力検定」の際に、高魔力の者は平民だろうが、下民だろうが、貴族だろうが、王族だろうが、学院に入れられる。
その中で過去最大の最高の数値を正したのが彼女であった。
しかも神聖魔法に必要な霊力も「聖女」並みに強力だ。
血統に関しては、王族にしか出ない因子があると言う、虹色の瞳がその証拠だ。
なぜそんな存在が市井にいたのかわからない。
だが、見つかったからには学院に迎える。
それだけだ。正直そんなに期待はしていなかった。
そしてこの事は将来国を担う存在である。王太子である僕と重臣の子息である四人に知らされた。そして陰ながら彼女を守ること、そして必要あればこちらの勢力に取り込むことを国王陛下から任命された。
正直乗り気ではなかった。
そんな淫らなこと。
でも校舎でぶつかった瞬間僕は君に魅せられた。暖かい色の髪、柔らかそうな肌、そして虹色の瞳。
覗いた魔術実習で君は虹色の光を出していた。(その後ちょっと暴発させて居たけど)
君は感情豊かでコロコロ表情が変わって、とても愛らしかった、
他の皆もそうだった。本を読んで微笑む姿や顔をしかめる姿
一生懸命武術の型を繰り返す汗を流す姿
美しい花にうっとりと見て居る姿
夢中で食べ物を口一杯に頬張る姿
ちょっとはしたないので注意はしたけど
その全てが愛らしかった。
令嬢たちには無い隙があって、どこか危なっかしくて、守りたくって、構いたくって、愛らしかった。
君が作る食事も正直(サンドイッチとスープだけだったけど、両方とも具が沢山入って居る主に根菜と鶏肉、たまに豚肉)いつも食べて居る食事より味も食材も落ちるが、それでも何か暖かさを感じ力が湧いた。
なぜかつい食べ過ぎてしまう。
僕たちが食べてしまって、食べ過ぎだと君はいつも頬を膨らませていたね。
そんな君が愛らしかった。
僕たちが食べたいと言ったら、いつも作って持って来てくれた。さらにはクッキーやマフィンも作って来てくれた。
それがとても嬉しかった。
僕たちも都で女性に人気のお菓子を持って来て驚かせようと君の口に入れた瞬間。
君はびっくりしてむせちゃったね。
そんな驚いた顔もとても愛らしかった
皆んなで街に出た時、少し目を話した隙に君は屋台の串焼きを食べようとしたね。慌てて叩き落としたけど、肝が冷えたよ。あんな道端の店何を使って居るか分からないし、腐った肉でも平気でお客に出すから、食べたらお腹を壊すよ。
カフェに行ったときなんて、食器の音を立ててちょっとお行儀悪かったけど、口一杯にフィナンシェやタルト、クリームとジャムをいっぱいつけたスコーンを頬張る君が愛らしかったから許したよ。口についたクリーム取ってあげたときはびっくりした顔がまた愛らしくってときめいた。こっそり舐めたクリームは甘かったよ。
そんな風に全てが危なっかしいから、みんなで君を守り支えて行こうと思ったんだ。
君は勉強も運動も苦手みたいだったから、勉強も教えて、運動もコツを教えてあげた。君は追いつこうと必死だったけど、正直あんまり結果は出なかった。
まあ、僕たちが守るから良いよね。
でも、君は無理をしてしまい、倒れてしまった。
急いで保健室に運んだら、貧血だと言われたよ。おまけに寝不足だって、君は相当無理をして居たみたいだ。
僕たちは心配になって、今まで以上に君に付きっきりになった。でも、だんだん君はやつれて来たね。
君は何も言わない、笑顔も見せなくなった。
僕は気分転換になると思ってダンスパーティーに誘った。君は遠慮して居たけど、僕はパーティー当日の朝に君を別館に連れて行き、メイドに命じてドレスを着せた。もちろんメイクも童話に出てくる妖精になった気分だよ。
ドレスを着た君は美しかったよ。思わず見惚れてしまったよ。
アイツらも見惚れて居た「似合わない」とか言っていたけど、照れて居ただけだ。
妖精の特権としてファーストダンスは君と踊ったよ。足をいっぱい踏まれたけど、夢の中にいる気分だった。 楽しかったよ。
でもその夜君は消えた。
直ぐ捜索させた!草の根も葉も掻き分け国中根こそぎ探させた!でも君は見つからなかった。
僕たちは、君と言う光を失って、僕たちは暗闇に囚われた
それと同時に僕たちが君を虐めて居たと言う噂が出てきた
それで君は自分の意思で姿を眩ましたと。
なんでも食事を取り上げて何も食べさせなかったり、心ない言葉で傷つけて必要以上に付き纏って居たと言うのだ。
あんまりだと思った。全て君のことを思ってやったことなのに。
むしろ虐めて居たのはお前たちでは無いか!知っているんだぞ!
根拠のない悪口や淫らだと言う噂、彼女の教科書を破いたり、ペンやノートを捨てたり、掃除を押し付けたり、階段から突き落とそうとしたり、料理人を巻き込んで、食事に異物を混入させようとしただろ!一部の教師には彼女の出したレポートを捨てたりとか知って居るんだからな!!
もっともひどいのは彼女宛の荷物に毒を盛った者が居るのだ。
コレは即座に国王陛下に報告した。
相手は有ろうことか僕たちの婚約候補達の家だった。・・・嘆かわしい!守るべき存在である少女に毒を守るなんて!不満があれば、然るべき手続きを踏んで、僕たちに抗議すれば良い!卑怯なことをするな!!!
すぐにその家を潰して関係者全員追放した。
これで君が戻って来ても安心だ。
そこで情報が入った。
君は今帝国の「教団」に居る。
君が生きて居たとホッとすると同時にゾッとした。
教団というのは、異能者すなわち術式化できない魔法を使う者達を集めて保護する。という慈善団体なのだが、その実は異能の実験、研究をして、強い魔力を持つ娘達を有力者に嫁入りや養子縁組させて血統を支配するという結社なのだ。
そんな忌まわしい所に君がどんな目に遭わされているのか。考えるだけでも恐ろしい!
一刻も早く彼女の救出を!と僕たちは国王陛下に訴えた!
しかし返事は芳しくなく、僕たち五人はどうやって帝国へ行くのかと悩んだ。
焦りだけが積もり、ただ時間だけが過ぎて行く
そんなとき聖女のお披露目があると耳に入った。
僕は王国の来賓として出席するこの時に聖女が現れたら、大衆の目前で、是非を問い君を連れて帰る。
待って居てくれ。
原因お前らだから
注釈:教団=「デューン砂の惑星」の「ベネ・ゲセリット」と同じような組織だと思ってください。「教女」は教団の正式団員の中で教職員兼枢機卿のような存在