聖女お披露目会
「君は騙されている!そいつらは君の力しか見て居ない!!君を利用することしか考えて居ない!!
さあ、帰ってくるんだ!!みんなが待って居る!!」
華やかな夜会に叫び声が切り裂く様に響く、
今日は帝国の聖女のお披露目会、国賓の前で魔力を奉納して教団の聖女として正式に就任するのだ。
叫んでいるのは王国の王子、今日お披露目する聖女は先日王国から連れて来られたとの事。
彼は壇上に現れた聖女に叫んだ。
聖女に王国の王子は叫んで駆け寄ろうとしたが、聖女の周囲の護衛たちに阻まれて近寄れない、
それでも彼は叫ぶ
「みんな君の帰りを待って居る!」
「帰りません!」と聖女は睨みつけながら答えた
「みんな・・・みんなって誰ですか?」
「みんなはみんなだよ。君の帰りを待って居る!」
と彼はまた近寄ろうとする。
が
「信じられません!学院のあの人たちは私を嫌って居ました!」
聖女の叫びで王子は一歩下がる。
「なんでそう言う!みんな君を気に入って居た!」
と泣きそうな顔で訴えかけて来た。聖女はなんでそんな顔するんだ?
と
「騎士団長の息子さんはいつも『遅い、ノロマ』とか言って急かして腕掴んで来るし、宰相様の息子さんは『こんな問題も解けないのか』とバカにしてくるし、侯爵様の息子さんはここがダメあれがダメ言い方が悪いと文句言うばかり、商会長の息子さんは『マナーがなって居ない』と怒るばかりで私のどこが気に入って居たんですか?」
と尋ねた。
王子は涙を浮かべた顔で
「それはみんな君のために・・・君が学園で過ごせる様に色々教えて居たんだよ。君はいままで市井で暮らして居たから、勉強もマナーも知らないだろうから教えようと思った。そう、愛のムチなんだよ。」
と王子は涙を流しながら言った。歌劇だったら涙を誘っただろう。
しかし
「そうならそうとハッキリ言ってくださった方が良かったですよ!皆さんイヤイヤやって居たんですよね。私みたいな平民の娘と付き合いたく無くて!」
と聖女は冷たく言った。
王子は信じられない面持ちで
「そんな、イヤイヤだなんて君はコロコロと表情が変わって可愛かったし、あどけなくって、すぐ転ぶから、放って置けなくて」
と王子は続ける
「それに君だって僕たちにお菓子とかお弁当とかを出してくれたじゃないか・・・」
「あれは元は、私のお弁当です!でも貴方たちに身分の高い方にお願いされたら、差し出さないわけにはいかないじゃ無いですか!それがだんだん私が皆さんのお弁当とかおやつとか夕食を作る羽目になって、私はやる事が増えて大変で勉強がほとんど出来ませんでした!それに!」
「それに?」
「私が作った料理には霊力が宿るんですよね。体が癒えて、魔力も増える。それが目当てで!貴方達は私に食事を作らせたんですね!」
王子は慌てて
「そ、そんなことは無い!みんな君が作る手作りの温かい食事が好きだった!サンドイッチやクッキー、スープとても美味しかった!」
この動揺ぶりどうやら知って居た様だ。
「貧乏くさい味が薄いとか文句言って居ましたよね!」
「誤解だ!見たことない料理だったからつい照れくさくて・・・」
王子は恥ずかしそうにして頬をかく
「それに君に食事を奢ったり、お菓子を差し入れたりしただろう?」
聖女は
「いきなりお菓子口に突っ込まれて息が止まるかと思いました。結局むせて食べられなかったし!」
「あれは可愛かったなあ」
王子は懐かしむ様に言った。
聖女は睨みながら
「あと!街に連れ出された時!私がお腹空いて屋台で食べ物を買ったら、取り上げて捨てましたよね!『汚いから』と後は私宛の荷物とかも勝手に開けて捨ててましたよね!」
王子は慌てて
「それは君を守るためだ!屋台のものなんて何使って居るか分からないから食べさせられないし、君に届いたものに毒が仕掛けたあったから処分したんだ!」
聖女は引き攣った顔で
「毒?って私生命狙われて居たんですか?」
「ああ、君は狙われて居た!」
「じゃあ!教えてくれても良かったじゃないですか!」
と王子に詰め寄った
「君を怖がらせたく無かったんだ!」
と王子は叫んだ。
聖女は顔を覆って震えて居る。王子はそんな彼女を見て
「確かに、君は特別な力を持って居る。そのせいなのかな?いつも震えて怯えて居たそんな君を僕たちは守りたかったんだ。」
と
「さあ、王国に帰ろう。」
と囁いて手を差し伸べた。
が
いきなり突風が王子の手を弾いた。聖女が王子を睨みつけて居る
「なんで・・・」
と王子は信じられないと聖女をみる
「ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!私に何も教えない!何も言わない!貴方達は私をさんざん馬鹿にして!こき使って!私は私は!何も!勉強も!魔法も!ご飯も!遊びも!できなかった!!」
聖女の周りに淡い光が集まる。感情に任せて魔力が放出される。
「そんな・・・」
「自分が『聖女』だって言うのもこの帝国に来て初めて知りました!私の家族のことも何もかも!」
「それは・・・君に精神的な負担をかけたくなくて!」
王子は泣きそうな顔で叫んだ。
「貴方達のほうが負担でした!私に都合の悪いこと隠して居たってことですよね!」
続けて
「私のお母さんが前の王様がメイドに産ませた子で、隠し子だとか!お父さんは帝国の騎士だったとか!」
「そこまで・・・」
と王子は驚愕する
「それで、お母さんが婚約破棄されて!お父さんと出会って!色々あって!それでも結婚反対されて!駆け落ちして生まれたのが私で!」
息を吸って思いっきり叫ぶ様に
「私は王国でも稀な霊力の持ち主で!浄化と癒しの力が滲み出て居て!触れたものには癒しの力が宿って!だから貴方達は私が作ったものを食べたがったんでしょ!」
と聖女は睨みながら叫んだ!
「ごっ誤解だ!」
まだ続く
「私は王国でも、帝国でも、稀に見る高魔力の持ち主で!四属性!召喚魔法!心霊魔法!さらには神聖魔法!の適合者!!この世の全ての魔法が使えるとか!!」
周囲から歓喜の声が響く、類稀な存在がここに帝国に存在するのだ!
「君の君の負担になると思って・・・」
聖女は半泣きで
「みんな何も教えてくれないから、不安不安でたまらなかったしあんた達は付き纏って来るしお腹は空いて、もう最悪でした」
「それは君を守るためだったし、君は平民だったから、ほかの学院生徒と馴染めなかったし。」
「それは貴方達が私に付き纏って居たから!身分違いだって弁えろって!何度言われたか!皆様怒るし嫌味言われるしでもう散々!」
「そ、そんな・・・・君の・・・君のためだったのに・・・・」惨めな顔で消えいく様な声で王子は言った。
「でも・・・楽しかっただろ?」
「楽しかっただあ!!」
聖女の周りを舞って居た光が消えた
そして王子の周りに光が回った。
「それは悪かった!!悪かったから!!!本当に分かった!分かった!だから帰ろう!私たちの王国へ!!!」
王子は手を差し伸べるしかし聖女は睨みながら、
「ふざけるな!!こっちが何も言えないのを良いことに好き勝手して!!すごい迷惑だった!身分的に逆らえないからこっちはいつもいつもハラハラしていました!」
聖女は思いっきり!叫んで魔法を発動させた
「許してくれ!本当は君を君をあい・・・「私は帰りません!帝国で教団で!魔法を学んで!聖女になります!」
と王子の叫びを遮って叫んだ。
王子は光に飲まれて消えた
「王子は何処に?」
「転移魔法で、王国へ帰しました。」
「てっきり消し飛んだのかと」
「あれでも一応王国の王子ですし面倒なことになるなあと」
「・・・転移魔法はまだ教えて居なかった様な」
「はい、申し訳ございません。魔導書をみてやってみました。」
「勝手なことを失敗したらどうするつもりで・・・」
「初めてではありません。ヤギで実験してみましたし、指導官の方も成功だと言って下さいました。」
「何とまあ、無理をするなんて・・・」
「無理では無いです。今、王国領内に届きました。」
「・・・そうでは無くて貴方ですよ。急に高等魔術を使って息が上がって居るではありませんか?」
「はあ、はあ、でも無茶しないとあの人たちは分かってくれないと」
「・・・貴方はまた未熟です。与えられた力を正しい知識で正しく使って行かなければなりません」
「はい、分かって居ます。教女様。」
「だから周囲の者を頼って良いんですよ。」
「!はい教女様!」
「もうお開きにしましょう。就任式はまた後日に」
我が帝国は類稀な才能を持った聖女様を迎えた!我が国は今以上に栄えるだろう!
聖女様に祝福あれ!




