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御礼の番外編:白菜を求めて

随分と前に完結したにも関わらず、

[日間]ハイファンタジー完結済、[日間]異世界転生/転移完結済の両部門で10位以内にランクインしたようです(;'∀')

これもひとえに皆様のお陰と感謝しております。

くだらない番外編ですがお暇潰しになれば幸いです。

秋が深まりそろそろ雪が降り始めようかという時期の事だった。


「おかん、キムチが食べたい」


「は? 唐突じゃね千秋」


「だって毎年この時期にキムチ漬けよったじゃんおかん」


「まぁそうじゃけど。

 でも白菜って無いよね?」


「大根とかあるのに白菜無いん?」


「そう言えばそうじゃね、見た事無いかも?」


「ダンジョンでポロッと落ちたりせんのん?」


「どうじゃろ、わからん」


「おかん、白菜とは?」


「あー、野菜なんじゃけどね。

 こんな形で黄緑から白にグラデーションになっちょるんよ」


と小枝で地面に絵を描いてアルに説明する。


「なるほど、それっぽい物を町で見かけた様な気がしなくもないな」


などと話していたら、なんだなんだと皆集まって来た。

んで結局もう1回白菜の説明をするハメになる。

そうなると今度はキムチの説明をするようになる訳なんだが・・・


「唐辛子で作る真っ赤な食べ物」

「寒い冬には良さそうだな」

「おかんが作るのだから旨いのだろうな」


などと言い始め、皆の頭がキムチに浸食されていく。

仕方がない、大根はあるからカクテキでも作るか。

他の材料はあっただろうか。

ガサゴソとダンジョン産の調味料や食材置き場を確認してみる。


「 ・・・ 」


なんで韓国唐辛子の粗挽きと細挽きがちゃっかり有んだよ!

ついでに言えば烏賊の塩辛とオキアミの塩辛までありやがる。

これもう作って下さいと言わんばかりだよね?

だったらさぁ、ついでに白菜もダンジョンで出してくんねぇかな。

まぁボヤいてみても仕方がない。


えーっと、漬け込み用の壺ってあったけか。

うん、あったよね。3つも。しかもデカいのが!

こない大量に作らんぞ・・・

カクテキ用の中くらいの壺は無いんかね。

お? このサイズちょうどいいんじゃね?


と、見つけた壺を運び出す。

あれ?皆が居なくなってる。


「ゆっちゃん皆は?」


「んとねぇ、ママが豚キムとかチゲも美味しいんだよってゆうたら

 皆が興味持ってね?

 ママが説明したらなにがなんでも白菜見つけて来るって探しに行ったぁ~」


「へ?・・・」


いやいやいや、何が何でも見つけて来るって。

そう簡単に見つかるもんでもないだろうが。

まぁもう皆おらんから言っても仕方がないんだけどもさ。


やれやれと思いながら儂はカクテキを作り始める事にした。

ダイコンを大き目のサイコロ切りにした後砂糖と少量の塩でもみ込んで置き水抜きをする。

待つ間に具となる野菜を千切りにしていきヤンニョムダレを作って寝かせておく。

ここまで下ごしらえが終わればちょっと休憩。


焚火に当たりながら一服する。

最近になってやっとこさ気に入る味のメンソール煙草を見つける事が出来たのだ。

はぁ~、いいねこういう時間の流れ方も。

ここんとこ特に問題もないし、のんびりまったりなスローライフが送れてるし。

平和が一番だよね、うん。

なんて思ったのに・・・


「マォーーーー!!!」


ドドドドッと砂煙でも上がりそうな勢いでエルフィンがやってきた。

騒がしいなもぉ! せっかくまったりしてるのに。


「なんだよエルフィン。また仕事サボって抜け出してきたのか?」


「ぐっ、いや、まさか、そんな事は。ハハハ・・・」


「抜け出して来たんだな? ハウス!!」


「えぇー、せめて話を聞いてからに・・・」


サボってんじゃねぇよ、まったくよぉ。

んで何事かと聞いてみれば。


「真っ赤で旨辛な物を作ると聞いた。

 それで白菜なる野菜を探しているとも聞いたんだ。

 これどう? 違う?」


猟犬が獲物取ってきましたみたいに目をウルウルさせたエルフィンが差し出して来たのはチコリだった・・・

うん、おしいね。

見た目は似ているけどサイズ感がまったく違うね。

それにチコリは水分が少な目で苦みもある。

キムチに出来るのかと問われれば・・・試した人は居ないんじゃなかろうか。


「違うのか、残念」


ただチコリはサラダにしたり、ディップを付けて食べれば旨いのだと教えておいた。

あまりにもションボリしているので簡単に作れるワサビとツナ(魚の水煮)のディップを持たせてやった。

ほれさっさと帰って仕事しやがれ。

まったく、誰から聞いたんだか。


新しくお茶を入れて一息つきなおす。

ふぅ~、ンマイ!


「おかーーーんっ!!」


んだぁ、今度は誰だよ。

ジャックだった。


「おかん、白菜とはこれでありますか?」


お前も探しに行っとったんかーいっ!

半分呆れつつもジャックが持ってきたものを見てみれば・・・

ぶっ、それ冬瓜だね・・・

逆にすげぇよ、時期も違うしよくそんなもんあったな。


「うん違うね。それ冬瓜つってそぼろ餡掛けにしたりスープにすると旨いよ」


「違うでありますか・・・無念」


まぁそれはそれで料理すればいいさと慰める。

ジャックにも茶を煎れてやり2人で飲んでいると。


「「「 おかん殿ーー!! 」」」


集団がやって来る、まぁやって来るというよりは戻って来るか。

もぉこうなればパターンが判るよね。

今度は何持って来たよ・・・


「「「 どうですか! 」」」


それぞれ手にしているのは 青パパイヤ、ロマネスコ、ウチワサボテン。

いやいや待たんかい!

青パパイヤはまだ解かる。ロマネスコもまぁなんとか。

ウチワサボテンてなんだよ!食用なのは解かる、解かるけども!

喰い方なんて知らねぇよ!

ってか、なんでそんなもんあんだよ。どっから持って来たんだよ。


「「「 ダンジョンからっす! 」」」


ダンジョン産かーい!

どうせなら白菜くれぇぇぇ!


ここまでになってくると嫌な予感しかしない。

これさ、他の皆もなんかありえないようなレア野菜持って来て誰1人として白菜見つけられないんじゃないか?・・・


その後次々と皆戻って来る。

其々が持って来たのは・・・

モロヘイヤ・アイスプラント・スイスチャード・エンダイブ・セルバチコ・ルバーブ・アマドコロ・ユキウルイ

なんかもぉ白菜からかけ離れてね?・・・

つーか、こんなにどうすんだよ。

溜息をついているとルークとダルクとリオルが帰って来た。


「 ・・・ 」


3人共が手にキャベツを抱えている。

しかも褒めて!と言わんばかりの表情だ。

あー、うん。まぁキャベツでもキムチになるけどね?・・・


「ニアピン賞!」

「「「 えぇー・・・ 」」」


ボア肉もある事だしこりゃ夕飯はホイコーローか?

後は皆の持って来た野菜でサラダとスープにすりゃいいだろう。

夕飯のメニューも決まったし、カクテキを仕込む事にした。


ヤンニョムダレにダイコンを絡めて壺に詰めているとオルガがやって来た。


「ニギヤカダナ」

「ああ、ちょっとね」


とこれまでの事を話す。


「ハクサイ・・・ ペチェニ似テル」


「ぶっ、ペチェって白菜の韓国語じゃねぇかよ!」


「畑ニアル。 使ウカ?」


「マジか・・・」


「何個欲シイ?」


「そうだな、そのうち鍋もしたいし5玉くらいあると嬉しいかな」


「解ッタ、持ッテクル」


待つ事10分。


ドッスン ドスドスッ


岩でも振って来たかの様な音がして地面が揺れた。

何事だと音のした方へ駆けよれば・・・


直径1mはあろうかという大きな白菜が5玉積み上げられていた。


「足リナケレバ マタ言エ」


親指立ててグッ。

オルガは颯爽と帰って行った。


「これが白菜か」


「デカいな」


「この大きさならダンジョンで出なくて良かったな」


待て待て待て待て。

確かに白菜だ。

そして大きさを確認しなかった儂のミスだ。

と言うかだな、誰がこないデカイ白菜を想像するよ!

どうすんだこれ、どうやって切るんだよ!


「おかん、白菜みつか・・・でかっ!」


「千秋、アンタこれ切るの手伝いさんよ」


「は? マジで?」


「当たり前じゃん、言い出したのアンタじゃけぇね?」


「うぇぇぇぇ」



結局2人では追いつかず総出で切る事になったのだった。

当然壺3つじゃ足りなくて、樽だの桶だのまでに漬け込む事態となった。

お陰でどこもかしこも大蒜臭が漂い、しばらく寝込むおかんであった。

チーン。



「臭いんじゃぁぁぁぁ!」

足を運んで下さりありがとうございます。

この作品は作者自身書いていて楽しくて好きでした。

まさかこんなに多くの人に読んでいただけるとは思っておらず作者本人驚いております。

評価やブックマークにアクションと本当にありがとうございました。

またいつか番外編なり続編なり(未定)でおかんの叫びをお届けできれば良いなと思います。

ここ最近は昼夜の寒暖差も激しくなってきました、皆様ご自愛下さいませ。


                   ~ 感謝を込めて、猫屋敷 ~

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