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驚き過ぎた

季節は冬になった。

この居住区には今10世帯、21人が暮らしている。


コレットはなんと、あの虎獣人と結婚し今は隣に住んでいる。

そう儂を襲おうとしたあの虎。

お互い甘党で会話が弾んだんだと。

漂う雰囲気も甘いが匂いも甘い。頻繁に2人でお菓子を作っているらしい。

糖尿になるなよ?・・・


アルとダルクは今の状態が一番だと言っていたので結婚とは縁がなさそうだ。

リオルはと言うと、どうやら恋人を見つけたらしい。

近い内に紹介してくれるらしいので楽しみだ。

リオルは新居についてオルガと相談しているのだがすごく嬉しそうだ。

嬉しそう・・・と言うよりはニヤニヤしている(笑)




「「 驚いた? 」」


驚いたどころの話ではない。

儂は咽返って窒息しそうになったし、ルークは椅子からズリ落ちて尾骶骨を打ったし

アルなんかはポカンと口を開けて固まっている。


リオルが連れて来たのは犬の耳とシッポが付いた千秋だった。

しかも妊婦姿!!


「やっと会えたねおかん。元気じゃった?」


「マンマ千秋の顔じゃね、耳以外は。

 やっとちゅうけど、こっちじゃあれからまだ1年たっ・・・丁度1年なるのか」


「あれ、そうなん? 私はちゃんとこっちで生まれて20年経ったんじゃけど」


「マジ?」


「うん」


詳しく話を聞いてみれば・・・

父親は人族で母親が獣人族らしく今世での名前はチャキル。

新婚旅行でケイルに移動中、馬車に雷が落ちたと・・・

馭者席に居た新郎は即死状態、馬車の中で気を失っていたところをリオルが助けたのだとか。

その時に自分の前世を思い出したそうで、リオルがあれこれと面倒を見てくれてしばらくケイルで過ごしお互い魅かれ合ったそうな。

お互いの将来について話す内に儂の話も出たりして、あれ?それおかんじゃね?ってなったそうだ。

リオルもリオルで初対面のハズなのになぜか何処かで会ったような気がしたらしい。

考えてみれば儂と千秋はよく似ている。

その千秋が顔付はマンマ千秋でケモ耳が付いているのだから、なんとなく見た事があるような気がする訳だよね。

その後妊娠してると解ったので千秋は悩んだそうな。

亡くなった新郎との子な訳だしね。

でもリオルは

「おかんの娘(前世)でその子ならおかんの孫って事だろ?

 じゃぁ俺の娘になったって別におかしくはないだろう。

 それにその子はきっとゆっちゃんだし!」

などとよく解らん理屈で千秋を納得させたらしい(笑)

うん、まぁ2人が納得の上で幸せになってくれるならいいさ。


それにしても予想外に早く再会?出来てよかった。

儂ヨレヨレのおいぼれになってから会えても何もしてやれんしな。


「それにしてもおかん。

 ここぶち寒いね。家の中はええけど、外がやっちょれんじゃん」


「だねぇ、だから冬場はあまり外に出んのよ」


「そうなん? 皆なにしよるん?」


「え?・・・ それ聞いちゃう?」


「へ? なんなん? なんかあったん?」


去年の木彫り人形について話してやったら大爆笑しやがった。


「いやなんかデカい木彫り人形がアチコチよぉけ建っちょるなぁとは思ったけど。

 凄いね、なんちゅーかどこぞの寂れたサファリの休憩所みたいな・・・」


あ、やっぱりそう思うよね?さすが親子というよりも、あの場所を知ってる人がココ見たらきっと同じように連想すると思うんだ。



ここでの生活に新たに千秋が加わって、穏やか日々が過ぎていく。

そして今年もまた木彫りをするのだけど

今回はあまり大きなものにせず20㎝サイズにした。

なんか周辺諸国の王様達が欲しがったらしいよ・・・物好きな(笑)

後はゆっちゃんの玩具も作った。積み木とかパズルとか。

オルガは張り切ってベビーベットを作っていた。



そして春、千秋の子が生まれた。女の子だった。

リオルと同じ様なホボ犬系の獣人タイプだ。

レトリーバーのようなベージュの毛色で可愛いじゃないか。


「犬の顔だがこれはゆっちゃんだ」

「ああ、間違いなくゆっちゃんだよな」

「今度は幸せに長生きして欲しいものだ」

「まったくだ、俺達で守っていこう」


「「「「おかん殿! 生まれたでありますかぁぁぁぁぁ!!」」」

「女の子か! よしうちの息子の嫁に!」

「嫁にはやらーーーんっ!」


もぉ親馬鹿に叔父馬鹿な獣人が・・・

そない騒ぐとゆっちゃんが起きちゃうし千秋が・・・


「うっさいわぁ!静かにせんかね!」


ほら雷落ちたじゃん・・・


「はいはい、皆部屋の外に出ようかね。

 ゆっくり寝かせてあげて」


「おかん」


「ん?」


「カクテキ食べたい」


ぶ・・・ 今?


「授乳期間終わるまで刺激物は避けた方がええんちゃう?」


「えー・・・ じゃぁ浅漬け」


まぁ浅漬けならいいか・・・


「はいはい、夕飯に出すから」


「やった!」


相変わらず漬物好きじゃね、ってかマイペースだよね。

言うだけ言って即寝しやがった(笑)



それからしばらくの間、入れ代わり立ち代わりでエルフィン達やウォーカー一族がやって来た。

まったく落ち着く暇もない。

祝って貰ってし可愛がってもらってるから文句も言えないんだけども。

ただリオルの実父と実母、つまり獣人国の国王夫妻がやって来た時は驚いた。

お忍びできたと共も連れずにだよ?

これあれだよね、お忍びとかいいつつ抜け出して来たとかってゆうパターン・・・


「いやぁ孫に会いたくてな。ほぉーらユッチャン、じぃじでちゅよ~」


・・・・

一応国王なんだから人目を気にしていただきたい・・・


後日この国王から届いたお祝いの品々が・・・家1軒分。


「加減をしろ加減を! 贈ればいいってもんじゃねぇだろうが!

 こちとら一般民なんじゃい!限度つーもの考えろやぁぁぁぁ!」


と送り返した。 入りきらんのだもん・・・


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