飛ぶ鶏と地中を走る鶏
夜、戻って来たルークから報告を聞く。
結論から言えば、陛下が治める事になる4町と隣にある宰相のウォーカ領とここウォーカー自然保護領は独立区にしてしまったそうで、いずれは小国にするらしい。
すでに周辺国からの同意は取れているというよりもさっさと国にしてしまえと言われたらしい。
ウォールの名前を使って欲しくないと国名もストゥーピドに変更したそうだ。
意味は【愚か者】だそうで・・・うん、あいつ等にはお似合いじゃないだろうか。
城下町に関しても噂はすでに浸透しているそうで。
手の者が流した噂 ⇒ 勝手に広がって行った噂
陛下が隠居する ⇒ 国王一家が病気療養で隠居生活になる
侯爵が第二王子に恩赦をねだる ⇒ 侯爵が第二王子を旗頭にクーデターを企んでいる
王弟殿下が騎士団を退職 ⇒ 王弟を始めとする公爵家一族も体調不良で隠居生活になる
王太子殿下も体調不良で療養生活を送る ⇒ 王太子殿下が暗殺されたらしい
招き人を狙う阿呆が返り討ちになった ⇒ 招き人様が犯罪者を殴り飛ばした
辺境周辺の森には守護者が住んでいる ⇒ 招き人様が魔獣や魔物を従えて森を守っている、森を荒らすと祟られる
これから国が荒れるかもしれない ⇒ 悪党天国になって搾取される前に隣国へ逃げ出そう
などなど、ちょっとした噂を流せば後は勝手に広がっていったそうだ。
あれだよね、伝言ゲームで最後の人に伝わる時はまったくの別物になってるってヤツ。
噂はあくまでも噂だからちょっと考えれば 調べてみようかなと思うよねたぶん。
まぁ後は各自で判断してもらうしかないよね。
もっともスェイキョウ商会のように信頼が置ける店屋人達には正しい情報が伝わっているようだ。
「それでだな。ここに必要な職人や店などがあれば希望を教えてくれとの事だ」
「そう言われてもなぁ・・・
あ、服飾職人と靴職人でドレスとかじゃなく平民向きのが得意な人欲しいかも」
獣人達の伴侶さんや家族、それに今後子供が生まれたら必要になってきそうじゃん。
「確かにな、伝えておこう。
それとだな、エウリケ殿下が来週にはここに来るので宜しく頼む。
と言うかだな、夏が終わるまでに全員の移動を終えるつもりだ」
「うぉっ、早いな」
「余り時間をかけると小細工をしてきそうな古狸がいるからな」
なるほどね、変な小細工されて身動きできなくなっても困るし・・・まてよ?
「城に残って陛下がまだやらないと駄目な事って何が残ってるん?
周辺国への報告と独立区の承認は取れたんだよね?」
「いや来年の予算編成や今後の政策等の話し合いを・・・する必要がもうないな」
「だよね? だったらさっさと必要最低限の物持ってきた方がよくね?
これで暗殺者が現れたり監禁されて実務全部やらされたりとかになったら
やばくね?
今城に残ってる人達も今後について考える時間も必要だろうし」
「確かにそうだな、弟も陛下達に併せて一斉に消える方がいいか。
そこらも陛下と弟で話し合ってもらう必要があるな。
仕方が無い。もう1度行ってくる・・・」
「いや行かずとも伝言鳥でよくね?」
クォクォッケコッ
「え?任せろ? ついでにエウリケ連れて来る?」
クォケッ! バビューンとササミが飛んで行った。
鶏って飛べるんだっけ?・・・
ってそうじゃなくて! まだ手紙書いてないだろ!
ササミ戻ってこぉぉぉーーーーいっ!
つんつんっ クォクォーケゥケッ!(手紙届はよ書け持って行く)
「ルーク、はよ手紙書けとさ・・・モモが届けてくれるって」
「お、おぅ」
ツンツン ツンツクツン
ん? カカオとチョコ どうした?
『 僕達の仲間 城に居るから 王様の警護頼む? 』
『 私達なら気付かれずに影から警護出来るよ? 』
なんでも一見普通の蜘蛛にしか見えないような子達が居るらしい。
じゃぁその事も手紙に書いて貰おう。
「ルーク、蜘蛛を見かけても手出しせずに
そのままにしておくように書いておいて。
カカオ達の仲間が王城内に居るから影から警護してくれるってさ」
「おぉ、それはありがたい。伝えておくよ」
で、そのお仲間はどんな種類なんだろう?
え?アラクネベイビー? アラクネ・・・ それって上半身が人型なんじゃ?
全然普通の蜘蛛じゃないきがするんだけど?
しかも小さいってどのくらいのサイズよ!
『 幼体は普通の蜘蛛だよ? 成体になると半人型になるんだよ? 』
あぁそう、よかった。びっくりしたよ。
でも成体のアラクネ、会ってみたいかも。ゲームとかだと美形が多かったんだよ。
『 呼ぶ? 』
へ? 呼べるの? あ、でも落ち着いてからの方がいいかな。
『 わかった 』
そしてルークが書き上げた手紙を持ってモモちゃんが走って行った、地中を・・・
おかしいな、バジリスクって地中を走れたっけか?・・・
読んで下さりありがとうございます。




