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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
三章:辺境の地
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大荒れ

特に何事も無く、平穏にのんびりした日々を送ってたのに。

嵐は突然やって来た。


ゴォォォォと言う風の唸り声と同時に家がカタカタと揺れる。

地震でも起きたのかと飛び起きた。

そう寝てたんだよ皆。

何事かと窓の外を見れば・・・ 

うわぁ・・・ 猛吹雪。

いきなりこんな猛吹雪になるもんなの?! こっちは最初はチラホラとかないの?!


「おかん、大丈夫か?!」


「アル、冬っていつもこんな感じ?」


「いや、こんな猛吹雪は数年に一度だな」


「なるほど、毎回じゃなくてよかったよ」


いや良くはないんだけども。

取り敢えずは上着を着こんで雨戸を閉めて廻る事にした。飛ばされないように姿勢を低くして重心を落として歩いて行く。

オルガも獣舎や牛舎の雨戸を閉めに来てくれたようだ。助かる。

雨戸を閉め終わったら今度は薪を室内へと運ぶ。雪が積もって出られなくなる可能性があるからね。

せっせと薪を運んでいるとジャックがやってきた。


「マォ殿、大丈夫でありますか」


「こっちは大丈夫。そっちは?皆大丈夫なん?」


「自分達は寝袋を持って大食堂に集まろうかと思っております!

 その方が薪の節約にもなるし暖が取りやすいので!」


「あぁ、確かにそうだね。気を付けてね!」


ジャックは四つ足になって匍匐前進していった。なんか猫が獲物狙ってる時みたいに見えた。可愛い。ってそうじゃない。


このくらいあれば大丈夫じゃね?って量になったので皆で中に戻る。

オルガも自分の家に戻って行ったみたいだった。


「これ何日くらい続くんだろう」


「3~4日くらいかな、恐らく」


意外と長かった。

外に出れないとなると皆して暇になる。

アルとリオルは武器の手入れを始め、儂は皮や毛皮の端材でベルトや髪紐を作る事にした。

ルークとダルクは小刀で木工細工を始めたようだ。

コレットはいい機会だから時間が掛かって普段は作らない料理に挑戦すると調理台の前に居る。

時間はたっぷりとあるし、急ぐ必要も無いので皆でのんびり雑談を交えながら手を動かす。

たまにならこんな時間も悪くはない。


夕食は脛肉と筋肉のワイン煮込みだった。確かにこれは時間がかかる・・・

時間が掛かった分、肉はホロホロとすぐにほぐれて美味しかった。


「「「うまーっ!」」」


大き目の寸胴鍋にいっぱいあったハズなのに空になったよね・・・

あんな量いったいどこに入るのやら。

そしてあんなに食べて何故に太らない。こちとら気を付けないとすぐ太るのに・・・

あれか年齢のせぃか、加齢による代謝の低下のせいか!チクショー。



嵐は4日間で終わり、外に出てみればアラスカ並みの景色が広がっていた。

雪と氷の世界。空にはオーロラまで見える。すげぇな・・・

初めて見る景色に唖然としてしまう。

スマホがあれば写真を撮りたかった。この景色娘やゆっちゃんに見せたかった。

なんてちょっとした感動を味わっていたのに。


「ケイルの町の方角に何か飛んでない?」


ハッキリとは見えないけど何かが飛んでる。

獣人達なら視力良さそうだし何か解るんじゃなかろうか。


「あー・・・マォ殿。聞いてもよいでしょうか?」


「なんか聞きたくない気がするけどなんだろう?」


「自分は初めて見るのでありますが

 マォ殿の世界には空飛ぶ亀って居たりしました?」


は? 空飛ぶ亀って・・・ガ〇ラかっ! いやいやガ〇ラは空想生物だし!


「空飛ぶ亀って・・・なにさ」


「ですよね。 でも手足の部分から火炎噴射しながらクルクル飛んでるんですよ」


いやいや、まんまガ〇ラじゃねぇか!


「それでですね。背中に誰か乗って・・・あ、こっちに向かってきますね」


えぇぇ、来なくていいし来んなし!

わぁ・・・ジェット機エンジンみたいな音が段々近づいてくるし。

近付くにつれ背中に人が乗っているのも確認出来た。

ん? 待って? まさかね? え?


「ばぁば~~~~~~!! ゆっちゃん来たよぉ~!!」


ぶっ、いやいやいやいや。 来たよぉ~!じゃねぇんだわ! 

え?ええ?ゆっちゃんが乗ってるって事はまさか本当にガ〇ラ?いやいや駄目だろう著作権!

いやそうじゃなくて・・・落ち着け儂。

どうやって来たん?! いやゆっちゃんアンタ向こうの世界はどうした!ママが心配しちょるんじゃないん?!


「おかん、もしかしてあれって・・・」


「うん、ゆっちゃんだね・・・」


アルは夢で会った事あるもんね・・・


バフンと着陸したガ〇ラっぽい亀はシュルルンッと小さく手の平サイズになった。


「ばぁばぁぁぁ!会いたかった!ゆっちゃん来たよ?嬉しい? ふへへ」


「いやゆっちゃん来たよじゃなくてね?ママは?」


「ばぁば、ゆっちゃんに会いたくなかったん?嬉しくない?」


「いや会いたかったし嬉しいけども!」


両手を広げてニコニコしてるから取り敢えず抱きしめておいた。

なんだこれ、これも夢か?


「アル、これ夢かな?」


ぎゅぅー、痛い痛い。何故儂の頬をつねる!自分のをつねればいいだろ。

痛いから夢ではなさそうだ。


「んとね、ゆっちゃんね校庭で遊んじょったんじゃけど

 気が付いたら空とんじょったん」 へへへ


へへへじゃないんだわ、なにがどうなって校庭で遊びよったら行き成りこっちに来て亀で空飛ぶことになるん?意味わからーんっ!


えーっと・・・


「マォ、寒いし取り敢えず中に入ろう」


あ、うん。そうだね。

促されて中に入るとコレットがココアを入れてくれた。


「ほれゆっちゃん。寒かったろ。飲みんさい」


「ありがと、ばぁば」


「ばぁばにじゃなくてお姉ちゃんにありがとしんさい」


「お姉ちゃんありがと!」


「か、かわいい・・・」


コレットが呟いた。

そうだろそうだろ、ゆっちゃんは可愛いんだ。

いやそうじゃなくて・・・どうにかして千秋、娘に連絡しないと・・・。



読んで下さりありがとうございます。

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