表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
二章:道中
37/80

遠いお山

ゴッキョグウグウゴーコォォォォ


なんだかこの鳴き声にも慣れた気がする。


「おはようモモちゃん。目覚ましありがとう?

 もっちゃんももふりんも・・・ルークの子も見張りありがとね。

 出発まで仮眠しときなよ?」


そうだよ、ルークのモファームだけ名前聞いてないや。後で聞いておこう。

さて、今日からはモファームでの移動だから朝はしっかり食べても大丈夫だろうか。いややっぱ腹八分目がいいよなぁ。

なので昨夜の残りのスープとバケットサンドにした。


「ここからは河を離れてまっすぐ北に進みます。

 で、ですね。

 ここから半日くらいの場所に温泉があるのですよ。

 温泉といってもまぁ秘境とも言える場所にあるので人はまず来ませんね。

 そこで野営を兼ねて少しゆっくりしましょうか。

 モファームのお陰で少し余裕も持てますしね」


「ダルクくん・・・口調が戻ってる」


「あ・・・」


慣れるまではしゃーないのかな。

でも温泉で少しのんびりできるのはいいよね。さすがに疲れも溜まってくるだろうし何より気持ちのゆとりが持てるのはいい事だ。ずっと気張りつめてると疲れるし集中力も低下するしね。

というかこの世界にも温泉ってあるんだ、そして周知されてるんだ。ちょっと嬉しい。


片付けを終えて移動を再開する。

もっちゃんは小柄なので儂だけで乗る。もふりんにはアルとコレット。もっふる(ルークの名づけセンス・・・)にはルークとダルクくん。

ちなみにモファームの大きさはもっちゃんでワンボックスカーくらい。もふりん達だとバスくらいある。

いやね?他にも豪商とか貴族とかモファームに乗ってる人も居るんだけどね?

この子達クリーム色の綺麗な毛並みな訳よ、皆こんな感じかと思ったら斑とか茶が多かったんだよね。

猫で例えるならサビやチャトラ。ね? そんな中でクリーム色ってそりゃ目立つわなぁ、ハハハ・・・

そんな訳で儂等は相変わらず森の中を移動している。


カサカサと枯葉や枝を踏む音が聞こえる。

視線が高くなったので樹に生っている果実も見つけやすい。あ、マンゴーがある。けど儂好きじゃないんだよなぁ。見なかった事にしよう・・・

スモモやモモ、杏にプルーンとバラ科の果物が多いな、全種採っておくけども。

勿論取り過ぎないように気を付けている、森の住人達の食べ物だからね。こっちとしてはお裾分けして貰う気持ちでいないとね。にしても初夏とか夏の果物な気がするけど、こっちでは違うんだろうか。


2時間くらいして小休憩を取る事にした。何故かって?

ふふふ・・・高速で移動するモファームにずっと乗っているとね?尻がだね、痛くなるのだよ・・・

馬車とか馬でもそうだと思うんだけどさ、ずっと上下にポスポス揺られててみ?痔になるぞ・・・

と言ったら2時間ごとに小休憩を挟む事になった。そりゃねぇ皆痔にはなりたくないよなぁ。


「んぁ~、尻いてぇー」


「これは鞍の改良を考える必要があるかもだなぁ」


「そもそもモファームで長距離移動はしないのでは?」


「普通は整備された街道を通るしな」


皆思い思いに体をほぐす。儂は尻を揉み解したかったが人前なので思いとどまった、偉いぞ儂よく我慢した。

あれ?これってヒールじゃ治らんのかな?・・・怪我じゃないから駄目かな?


「アル、ちょっと試したい事があるんだけど尻貸して?」


「え?! おかん・・・ここだと人目があるからさすがに恥ずかしいんだが」


「いやすまん、言い方が悪かった? ちょっとこっちに尻むけるだけでいい」


たぶん儂全属性だからランクⅠでもヒールなら使えるよね?


「痛いの痛いの 遠いお山に飛んでいけ~♪」


そう、小さな子供にやるアレをイメージした。


「「「 ぶっ 」」」


「おかん!吹いただろ!」


「えー・・・

 で、尻はどうよ?痛み無くなった?」


「お? そう言えば痛くないな」


おぉ、効果はあったらしい!やったぜ。


てことで皆の尻に順番に掛けていく。

どこかの遠いお山の何かの生き物に痛いのが当たってませんように・・・

あ、そうか次は城の古狸に飛んでいけ~にしてみようかな(ニヤリ)


「マォ今の呪文はなんだ?」


「なんだと言われても・・・子供をあやすときのおまじないみたいなもの?」


「マォの世界に魔法は無いのでは?」


「無いよ。気休めみたいなもんだよ」笑


まぁこっちの世界だとちゃんと呪文になってたっぽいけどね?


「今の文言だと痛みを転移させた感じになるのか」


ん?・・・

痛みを転移?・・・いやいや転移魔法とか使えんだろ。使えんよね? え?


「ヒールの応用のつもりだったんだけど転移になるん?」


「ヒールは主に外傷の治癒だからなぁ。恐らくは転移になるのではないか」


「えー・・・」


そっかぁ、転移魔法の部類になるのかぁ儂転移魔法も使えるのかぁランクⅠだけど。そして痛みも転移させられるんだぁ・・・ハハハ(トオイメ)

遠いお山の誰かだか何かだか解らないけど生き物さん、ごめんなさい・・・

5人分の痛みだし? 痔にならないでね?・・・ 

読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ