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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
二章:道中
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閑話:久々に夢

いつものように畑仕事をしていた。

山間の僻地なので獣が多く、畑は一応金網で囲ってあるけど鹿は飛び越えるし猪は掘ってくぐるし、猿は乗り越えるしで余り意味がないような気がする。

それでも突進予防にはなっていると思いたい、信じたい。


ずっと中腰だったので立ち上がって腰を伸ばすと・・・

金網越しに鹿と目が合った。

金網の外側の一角に間引いた野菜や雑草が積んであるのでたまにそれを食べに鹿が来る事もある。たぶんこのしかもそうなんだろう。


「やあ、君は誰かな?」


最近は虫だろうが獣だろうが第一声はこれである。

年を取ると独り言が多くなるというが、まさしくって感じだ(苦笑)

繁殖期でなければ人を襲う事はまず無いらしい。驚いて反射的にってのはあるらしいけど。

儂的にはまず声を掛けて認識させるって意味もある。

儂だって山菜とか採ってるんだから間引いた野菜ぐらいはどうぞって感じだし。

お互いに見つめ合う事しばし・・・

フンッ と鼻息だか溜息だかをついて鹿は立ち去った。


(あ、あのお尻の模様は何度か来てる子だな)


そう段々と顔なじみが出来てくるんだよね。

そしてまた畑仕事を再開する。


「おかーん!」「ばぁば~!」


娘と孫だ。

ん?・・・

て事はまさかまた夢これ!!


「おかん元気なん?兄ちゃんとは仲良うしちょん?」


うわぁやっぱ夢だ。あ、今度こそ聞かなきゃ。


「元気元気。ちょっとムカつく事もあるけど。

 ちょい聞きたい事があったんよ、鶏はどうなった?」


「なんなんムカ付く事って。

 あー、鶏も畑も心配しんさんな。うちあの家に引っ越したけぇ」


は? マジで? あんだけ僻地は嫌じゃいいよったのに。


「引っ越したってあんた仕事はどうしたん、大丈夫なん?」


「3人で話し合って決めたん。

 おかんがせっかく叶えた夢じゃけぇ家も畑も残そうやって。

 うちの仕事は週3に変更して貰ってパート扱いにしてもろうたん。

 んで姉ちゃんと冬依が少し援助してくれよるんよ。

 後はおかんの保険金がおりたけぇそれも使いよる」


「そうなん。まぁ3人で相談して決めたんならええわ。

 保険金おりたんじゃ、って儂そっちで死因は何になっちょん?」


「それがさ、逃亡中の殺人犯と揉み合いになったて事になっちょんよね。

 しかもおかん、その犯人が逃げれんように虎バサミで足をぐちゃって・・・」


「えぇー・・・なんでそねぇな事になっちょんよ」


「私が知りたいんじゃけど」


「おかん一躍時の人になっちょったよ」笑


「うげぇ くそ迷惑」苦笑


「まぁこっちの事は心配しんさんな。

 こうやって時々夢で会えちょるし。ぶち不思議じゃけど」


「ほんまいーね、不思議よのぅ。

 まぁ安心したわ」


と、休憩用の椅子にパウンドケーキが置いてあるのに気づいた。


「ゆっちゃんオヤツ食べる?」


「食べるー!」


「あ、ママのはー?」


「だめー、これゆっちゃんのってばぁばがゆうたもん。

 ママとばぁばには飴あげるー」


ゆっちゃんからチュッパ〇ップスを渡される。儂の好きなチェリー味だやったぜ。


「おかん。次来る時は私の分もよろしく」


「持ってこれたらね?・・・」


「私も持って来れるか試してみよう。何か欲しいものある?」


「んー。あ!韓国唐辛子の粗挽きと細粉」


「解った、キムチ用じゃろ?」


「そうそう。あっちじゃないんよね。てかこれホンマに夢?」


「さぁ?・・・」

 

と、ここで視界がボヤけてきた。そろそろ起きる時間なのかもしれない。


「んじゃまたのぅ」


「おかん怪我せんようにねー」




と、目が覚めて儂の手にはしっかりとチュッパチャ〇スが握られていた。


「ぬぉぉぉ、マジかー!嘘じゃろぉぉぉぉ」


「おかん、うるさい!」


あ、はぃ。スマセン・・・

これは・・・プラスチックとかセロハンとか絶対にこっちに無い素材だし見つからないように無くさないようにしとかないと。んでもって次にあの不思議な夢に行く時にあっちでゴミ捨ててもらおう・・・

読んで下さりありがとうございます。

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