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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
二章:道中
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熊と蛇

モモちゃんが先導してくれて森の中を進んでいく。

途中で木苺を見つけたので少しばかり収穫しておく。旅の途中では貴重なビタミン源だ。


「もう少しで河に出るかと思うのでそこで休憩にしましょうか」


河か、魚とか居ないのかな。と、のんきに釣りする余裕はないか。

次の休憩で今度こそパウンドケーキを・・・。

昨日はサンドウィッチが見えてついそっちにしてしまった。サンドウィッチは日持ちしないからね。忘れてた訳じゃないよ? 少しだけサンドウィッチの事忘れてたけど・・・少しだけだよ。


しばらく歩くと河に出た。でかっ!

夏なら泳げそうなくらいに水が澄んでて綺麗だった。いわゆる清流ってやつかな?

流れは荒いけど。 なにかしらの魚も住んでそうだよね。

手頃な流木に腰掛けて休憩を取る。

皆にパウンドケーキとオレンジジュースを配って行く。

アルとルークは食べた事があるので嬉しそうだ。


「これはほのかな甘みがちょうどいいですね。腹持ちも良さそうですし」


「でしょ?ある程度の日持ちもするから便利なんだよ」


ダルクくんもコレットも気に入ってくれたようだ。

儂としてはドレンチェリーやオレンジピールが入って居るヤツが好きなんだが無いんだよなぁ。落ち着いたら作ってみてもいいかもしれない。


休憩が終わり河上を目指す、浅瀬になっていて渡れる場所があるんだそうな。

しかしこう景色がいいと ハイキングかピクニックに来たような錯覚をおこしそうで困る。ついついキノコや木の実に目が行ってしまうじゃないか。


「おかん、景色を楽しむのもいいが足元に気を付けてくれよ」笑


「はいよ~。解っちゃいるんだけどね」


アルに注意されてしまった。気を引き締めようと思う。

そして歩き続ける事1時間、浅瀬になっている場所に到着した訳だが・・・


『 グォ? 』


熊、たぶん熊。が河のど真ん中で魚を獲っていた。

頭に浮かんだのは北海道とかアラスカの熊。 どっちも羆じゃんか!

こういう時は焦ったら駄目なんだよね。目はなるべく合わせないように・・・

無理!バッチリと目が合ってる!

目が合ったら反らしたら駄目なんだよね確か。


「これは・・・どうしますかね」


「えーっと、まずは落ち着いて騒がずにゆーっくりと後退して」


そう言って手で後ろへと促す。儂? 目が合ってるから動けないね・・・


「おかんはどうすんだ」


「なんとかしてみるから、大声は控えてと言うか声出すな」


なんとかしてみると言ったもののどうすっかな。

熊なんて元の世界でも遭遇した事ないしなぁ。

でも警戒してはいるけど殺意はなさそうなんだよなぁ。人間と遭遇した事がなくて戸惑ってるんかもしれんね。


「えーっとね、儂等そこ通りたいんだけどちょっとだけ道譲ってくんないかな?」


話しかけて見たものの通じる訳ないよなぁ。

あ、モモちゃんあんま前にいくと危ないよ・・・ってあれ、会話してるし。


モモ『 クォーケッ ケケケッグォックォ?』(通りたいんだけどいい?)

熊 『 グァ? グォガグァ 』(痛い事しない?)

モモ『 クォッケ ゲケッグォ 』(しない。心配ない)

熊 『 クゥオン グァグォ 』(魚横取りしない?)

モモ『 クォッケクォッケ クォーケッコゥ 』 (しないしない、通るだけ)

熊 『 オンオン クゥー 』(じゃあいいよ)


『 クォッケィ 』


通れと・・・交渉成立? すげぇなモモちゃん。


「なんかモモちゃんが交渉したらしくて通してくれるってー。

 だから熊さん驚かせないように静かにねー」


「「「「 マジか!凄いなモモちゃん 」」」」


1人ずつ順番に驚かせないように、それでも素早く渡って行く。

さすがに真横を通る時はドキドキした。

ちょっと触ってみたいかもと思ったのは内緒。へへへ・・・

最後に私が渡り終わって熊に礼を言う。伝わるかは解らんけど気持ちの問題よね。

さっき採った木の実を少しだけ河縁に置いておく。熊も冬眠の準備だろうから頑張ってしっかり食べてねー。この世界に冬眠あるんか知らんけども。


「ありがとねー。人間には気を付けるんだよー」


儂も人間なんだけどね。ホラ他の人間だと一方的に攻撃してきそうじゃん?


そして今度は河下に向かって歩いて行く。

今度は河の真横ではなく 見える位置ではあるけど森の中。

黙々と歩く、喋ると余計な体力使うしね。


「おかん」


「どした?」


「リュックの上に蛇が乗ってる」


は? ええ?! なんの蛇よどんな蛇よ?! 毒の有無は?! 背中だと儂見えん!


「ちょ・・・誰か蛇に詳しい人は?」


「「「「 ・・・ 」」」」


おらんのかーい! まぁ城勤めだとしゃーないのか。

仕方が無いので立ち止まってゆっくりとリュックを降ろす。

ふぉぉぉ、なにこれ。真っ白にブルーアイで可愛い!え、種類はなんだろう。ヤマカガシかなアオダイジョウかな、コーンスネークかも。いやこっちの世界の固有種かもしれないし。

何にせよ毒は無さそうだ。 いつからリュックに乗っていたんだろう・・・


「えーっと。君は誰かな?」


つい出てしまったこの言葉。

畑仕事の時にも遭遇した獣達にはまずこう問いかけていた。

害がなさげならそのままニラメッコだし、作物荒らしたりこっちに向かってきたりしたら格闘開始である。勿論なるべく殺さずに撃退できるようにはしていた。え? 格闘すんなって? だってねぇ・・・僻地なんだからしゃーない。ちなみに害獣駆除資格は持って居たよ。罠師のだけど。


「毒は無さそうだし無害っぽいから森に放してあげよう」


そっと手に乗せたら 皆してドン引きしてるんだが何故に?・・・

ほらほら、スリスリして可愛いじゃないか。

仕方が無いので皆とは離れた場所に降ろしてやる。蛇はスリスリした後森の奥に消えて行った、たぶん。いや小さいからすぐ見失ったんだよ。


その後は何事もなくて今日の野営地場所まで進んだ。このままずっと平穏だといいんだがなぁ。



で、見張り交代の時アルが爆弾発言しやがった。


「おかん、昼間の蛇だが。あれホワイトマンバと言う毒蛇だぞ」


なんだとぉぉぉぉ!! はよ言えや。思い切り触ってスリスリと・・・

しかもホワイトマンバってなにさ、ブラックマンバの親戚か?

ブラックマンバってあれだよな世界最速の猛毒蛇・・・名前からして似てるって事だろぉ?! ぬぁぁ噛まれなくて良かった。てか全然攻撃的じゃなかったし懐っこかったし。えぇぇ・・・・

だから皆引いてたのか・・・(チーン)

Σ(・ω・ノ)ノ! リアクションが増えてまして嬉しくもビックリ!ありがとうございます!!


読んで下さりありがとうございます。

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