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おかんは今日も叫んでる  作者: 猫茶屋
一章:城内
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ストレス発散で バンッ!

悶々 悶々


あ、いや欲求不満とかじゃないよ。 ストレスがだね・・・

煙草が欲しい・・・ なんなら禁煙パ〇ポでもいい。

どっちも無いので今は何かの草の茎をガジガジしてるが物足りない、当たり前だけど。


あの後あまりにもルークが頼み込んでくるから2日だけ待つ事にした。

なので今は地図で良さそうな場所を探している。国内でも国外でもどちらでもいい。

なんならアルの地元である辺境の地でもいいんじゃないかと思ってる。国境に面していて隣は平穏な農業国だとも聞くし。

とにかく、儂は元の暮らしがしたい。

気ままにマイペースで畑仕事して家畜の世話して猫と戯れて、悪天候の日は家でゴロゴロと。

ネットが無いのでゲームや韓ドラは諦めるとしても・・・

あれ? そう言えばこの世界魔獣は見かけるけど普通に犬猫とか馬牛とか家畜はいるんだろうか・・・

うーん、動植物図鑑とかないんかな。玄関の外に立っている護衛に聞いてみる。


「ちょっと聞きたいんだけど。

 動物図鑑や魔物図鑑ってあるんかな?」


「研究者なら持っているかもしれませんが一般的には無いかと思われます」


なるほど。そっか無いのか。不便だ。


「興味がおありですか?」


「いや興味と言うかこの世界に犬猫のような愛玩動物って概念があるのかなと。

 愛玩動物が居るならどのような種類が居るのか知りたいなと思って」


「そうでしたか、我々には解りかねます。申し訳ありません」


無表情なんだよなぁ彼等も。もしかして騎士は無表情なのが一般的だったり?

うげぇ・・・アルがあんなんじゃなくてよかったと思った。


そのアルは今ルークと一緒に陛下の元へ行っている。

さすがに陛下に何も言わずって訳にもいかないだろうから。


「元の世界に戻すか、城と言う名の檻から解放するか選べ。

 儂いい加減ぶちキレて暴れるぞ」


と伝言を頼んでいるので、ルークが上手い事オブラードに包んで伝えてくれるだろう。たぶん。

もっとも前者は無理なのは解っている。解っていて敢えて言っている。

忘れて貰っては困るから。異世界から連れて来られた、誘拐いや違うな拉致被害者なんだぞ儂って事を。

うん、思い出したらムカついてきた。違う事を考えようそうしよう。


再び家の中に引きこもり地図とにらめっこを再開する。

この国は割と北に位置していて、北の国境付近が辺境の地になっている。

西の国境は例の山脈。東は海で南は平野になっている。

うーん、やっぱ北がいいのかなぁ。海は潮風が苦手なんだよなぁ、すぐ車もバイクも錆が出るし。

・・・ ここには車もバイクも無いんだった。

まぁアルが戻ってきたらアルの希望も聞こう。ルークの希望は・・・一応聞くか。

とは言え、本気で宰相辞めるつもりなんだろうか。


コンコンと扉がノックされ


「ジャックと名乗る獣騎士が面会を求めていますがお知り合いでしょうか」


ジャック!煙草の子だ!


「どうぞ入れてあげて」


何故護衛の騎士まで入って来るかな・・・出て行けとも言えないし。ぬぅーん。


「マォ殿、これ町で人気のお菓子であります!差し入れです」


と袋に入ったお菓子を渡してくれる。


受け取る時に護衛騎士からは見えないようにそっと何かを渡された。


「ありがとうジャック。嬉しい」


では失礼しますとあっさりと帰って行ってしまったが、見張られてるんじゃ軽口も叩けないわなぁ。

護衛も外に出て行ったのを確認し、渡された物を確認すると煙草と手紙だった。

手紙には自分達獣人は元々この冬で辞めて祖国に戻る予定だった事が書いてあり、良ければ祖国に一緒に行かないかと書かれていた。

なるほど、ジャックたちの故郷か、獣人の国もしくは獣人への差別偏見が無い国なんだろうな。でもそれだと逆に人族への偏見があったりしないだろうか。そこら辺はルークにでも聞いてみればいいか。

それに冬まであとどのくらいあるのかも確認しないとだな。

では早速煙草を・・・

駄目だ、今吸ったら何処から入手したのか護衛が怪しむだろう、夜まで我慢・・・

目の前にあるのに吸えない・・・ ならば気分転換だ。



バンッ! バンッ! 


家中に響く音に外で待機していた護衛が慌てて駆け込んできた。


「何事ですか!」


護衛の目の前に少しばかり粉を纏った儂が居る。


「ん? パンを作っているだけだが?」


「パン・・・ですか?」


「そうだよ、こうやって生地を台に叩きつけて捏ねる。これを繰り返すんだよ」


バンッ!


生地の中の空気を抜く作業でもあるんだけどね、割と力が必要になって来るのでストレス発散にもいいんだ。疲れるけど・・・

今捏ねているのはハード系のパン生地。強力粉・ドライイースト・塩・砂糖・オリーブオイルで出来る簡単なやつである。

ハード系のパンは日持ちがするのでここを抜け出してからの食糧にもなる。

護衛は納得したのか、チラッと生地を見て外に戻って行った。

ある程度捏ねたら、しばし休憩。生地も寝かせて発酵させなければならないので焼き上げるのは夜になりそうだ。

ついでにシリアルとナッツでクッキーも作っておこうかな、非常食代わりにもなれば行動食にもなるし。混ぜて焼くだけで簡単だしな。ドライフルーツを入れるのもいいから2種類作っておこうか。ナッツの方はしょっぱい系にしてドライフルーツの方は甘い系、よしそうしよう。

クッキー生地をさくっと作ってシリアルやナッツを混ぜ込んでいく。適当な大きさにスプーンですくって並べて焼けば完成。うん、いい匂いだ。冷めたら袋か箱に詰めよう。

今までなら護衛の騎士にもお裾分けするところだが、さすがに今回はしない。護衛と言う名の監視にしか思えんし。無表情だし!


で、お茶を飲んで休憩してたらすっかり忘れていた。

晩飯作ってねぇぇぇぇぇ!

ヤバイ、アル達が帰ってくる前に急いで作らんと。


読んで下さりありがとうございます。

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