第8話〜闘いの唄 中編〜
「あんたはっ!」
エリアルが驚く。
声の主は・・・
「ドール・リオネット・・・。」
クラス達を襲ったクロムだった。
「クラスは、渡さない・・・。」
エリアルが素器を構える。フォルカも、つい最近使えるようになった素器を構えた。
「・・・フォルカと言ったか、武器を下ろせ。お前を傷つけるわけにはいかない。」
「なっ、なんで・・・僕を?」
ドールの目的は、クラスの捕獲だったはず。
それなのに・・・なんで・・・。
「お前を・・・助かるためだ、フォルカ。」
ドールの後方から聞こえた・・・とても懐かしい声。・・・忘れるわけがない、この声の主は・・・。
「兄・・・さん。」
「久しぶりだな、フォルカ。」
大好きで・・・憧れの兄、フィニカ・ティールがいた。
「どうして兄さんがここに?兄さんは大都にいるはずじゃあ・・・。」
「本日から、俺はそこにいるクロムの捕獲を命じられたんだ。」
兄さんが・・・クラスを捕獲しにきた?
そして僕を・・・。
「ちょっと、フォルカの兄かなんだか知らないけど・・・2人を連れて行かせないわよ!!」
エリアルが叫ぶ。
フィニカはドールの方を向いて、
「あいつは?」
と聞いた。
「あのクロムを連れ去った博士の娘とのことです。」
「ライシェス博士の娘か・・・放っておくのは少々危険だな・・・。」
フィニカは少しの間考え、ドールに命じた。
「・・・ドール、あいつも保護だ。」
「・・・了解・・・。」
そういうと、ドールが視界から消えた。
探そうとエリアルの方を向いたとき、
「あぁっ!!」
エリアルがドールに殴り飛ばされていた。
「・・・!!エリアル!!」
クラスがドールの方に走る。
「待ってクラス、僕も一緒に・・・。」
フォルカもクラスについて行こうとした。
ーーーしかし、
「・・・フォルカ。」
「・・・兄さん。」
槍型の素器を構えた兄が目の前に立っていた。