第3話~変わるもの~
---昨日はいろいろなことがありすぎた。
クロムと出会ったり、女の子に声をかけられたり・・・、
兄さんを知っている人に襲われたり・・・。
フォルカは横を見る。
エリアルが寝ていた。
そしてその隣では・・・
「・・・、エリアル・・・。」
エリアルの名前を呼ぶクロム・クラスがいる。
「怪我もしてるし、起こさない方がいいよ・・・え~っと・・・」
「・・・?」
フォルカが何か言いかけたのをやめたので、クラスはきょとんとした。
「・・・どうかしましたか、フォルカ?」
「・・・ごめん、名前が出てこなかっただけ・・・。」
フォルカは、顔を赤らめていった。
「ああ・・、そういえば自己紹介がまだでしたね。・・・私は『№6502153』です。よろしくお願いします。」
「なっ、なんばー65・・0・・??」
「№6502153です・・・。」
「ううぅぅ~~~。」
覚えられる訳がない。
・・・、長すぎる。
(彼女のこと・・・、なんて呼べばいいんだろう・・・。)
いまさらだが・・・クロムはナンバーで管理される。
ほとんどの人はクロムを道具としか思っていないため、名前をつける人は相当の物好きという扱いを受けるらしい。
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・、あの・・・。」
「!!」
フォルカは、はっとしてクラスのほうをむいた。
「覚えられないのでしたら、エリアルのように『クラス』とおよび下さい。」
「あっ、うん・・・よろしくねクラス。」
「こちらこそよろしくお願いします、フォルカ。」
クラス・・・、それが彼女の名前。
・・・、んっ?
「あの~、クラスはどうして僕の名前を?」
「・・・、エリアルに名乗っていたでしょう?」
「あっ・・・。」
昨日エリアルに自己紹介したとき、警戒していたとはいえクラスは僕の名前を聞いていたのだ。
そういえば、エリアルにも『クラスを助けて』って言われたし・・・名前知ってるじゃないか・・・僕。
その時、クラスは立ち上がり、
「・・・、少し外を歩いてきます。」
といった。
「あっ、僕もいくよ。エリアルを起こしちゃいけないからね。」
「・・・、わかりました。」
そういうと、クラスは扉を開けて部屋を出た。
僕も置いていかれないように、そっと部屋を出た。
-----------------------------------------------------------
外に出るなり、フォルカとクラスは村の人に囲まれた。
フォルカの村にはめったに客がこないため、客が来るなり村の人の質問攻めにあうのだ。
「どこからきたの?」
「お客は二人って聞いているけどもうひとりは?」
「あなたとってもかわいいわねぇ、なまえは?」
などなど・・・。
ありきたりすぎる質問が乱れ飛ぶ。
しかしクラスは・・・、
「・・・すいません、どいてくださいませんか?・・・私はフォルカと二人きりでお話がしたいので・・・。」
といった。
「「「「なぁっ!!!」」」」
村の人は一斉にフォルカのほうを振り向いた。
クラスはクロムだが、『美人』の二文字が似合うほどの外見をしている。
そんな彼女にフォルカは、個人指定されたのだ。
「ちょっ、クラス!!なにいってるんだよぉ!!」
「?、何って・・・フォルカと話がしたいと・・・。」
「~~~~(照)!!」
フォルカは顔から湯気が出そうな気がした。
彼女に恥じらいはないのだろうか・・・。
「・・・それでは皆様、私たちは行く場所があるので・・・。」
クラスはそういうとフォルカをお姫様抱っこして歩き出した。
いろんな意味で、・・・目線が痛かった。
-----------------------------------------------------------
フォルカはクラスに(お姫様抱っこされ)村はずれの丘につれて来られた。
着いたと同時に、クラスはフォルカを下ろした。
(おっ、女の子にあんなことされるなんて・・・。)
フォルカは、よくわからない敗北感を感じた。
「・・・、フォルカ?」
「あっ・・なに、クラス?」
クラスがいる方をむく。
彼女はまっすぐこちらを見ていた。
「・・・、ありがとう。」
「えっ・・!?」
突然言われた感謝の言葉に、フォルカは戸惑った。
「・・・昨日エリアルから聞きました、私を守ってくれたんですよね。」
クラスの一言で思い出す。
女性を・・・兄のことを知っていたあの女性を・・・。
「・・・、クラス・・・。」
フォルカはクラスの名を呼んだ。
「何でしょうか?」
「聞きたいことがあるんだ・・・、答えてくれる?」
「・・・、はい。」
胸にしまっていたこと・・・それが晴らせそうな気がした。
あの女性のことを・・・。
「君を狙った女性のこと・・・、知ってる?」
「・・・。彼女は『№4790084』というクロムです。彼女のマスターと思われる人物からは『ドール・リオネット』という名前で呼ばれています。」
ドール・・・、兄・フィニカの事を知っているクロムの名前・・・。
「・・・、どうしてエリアルと一緒にいるの?」
「私はクロムとして欠陥があり、廃棄処分されそうになりました。そんなとき、エリアルのお父様が助けてくださいました。そしてエリアルのお父様に言われたのです・・・『お前は今日からクロムではなく人として生きろ』と・・。そのときに『クラス』という名をもらいました。そしてエリアルのそばにいてくれといわれたので、一緒にいます。」
フォルカは信じられなかった。
クラスはクロムの中でも・・・、失敗作なのだ。
「廃棄処分するはずのクラスを・・・、どうして連れ戻そうとするの?」
「・・・私にも・・・、わかりません。」
そういうと、クラスは自分の胸元に手を置いた。
「私には・・・、スティアセイヴとマスター用のブレスレッドがないのです。」
「それって・・・!?」
「クロムでは・・・、ないですよね。・・でも私は正真正銘のクロムなのです。」
そう言ってクラスは前髪を軽く上げ、クロムの象徴である赤眼を見せた。
「それは・・・、わかっているよ。」
フォルカはクラスに前髪を下ろすように言った。
クラスは、言われたとおりに前髪を下ろすとフォルカの方に歩き出した。
「・・・そろそろ帰りましょう、エリアルが心配です。」
フォルカとすれ違ったときに、
「どんなにクロムらしくなくても・・・、クラスはクラスだよ。」
とフォルカは言った。
クラスは足を止めた。
「私は・・・私・・?」
「うんっ、それにさ・・・エリアルのお父さんにクロムじゃなくて人になれっていわれたんでしょう?なら、なっちゃえばいいんだよ。」
フォルカは手を差し出した。
昨日のエリアルのように・・・。
「なれるでしょうか・・・、変われるでしょうか・・・『ヒト』に・・・。」
クラスは、差し出された手に戸惑う。
「なれるよ・・・、クラスなら・・・。」
「・・・、フォルカやエリアルのように・・・?」
クラスは、フォルカの目の前にたった。
身長は、ほんの少しだけクラスのほうが大きかった。
「なれるよ・・・、きっと。」
その一言をきっかけに、少しの間・・・静寂な時間が流れる。
そして・・・、
「・・・、変わりたい。」
クラスが口を開いた。
「・・・、『ゼロアーク』。」
「・・・?」
続いてフォルカの口から、一つの単語が出てきた。
クラスは、聞いたことのない単語に首をかしげる。
「テュルキュミアの古い言葉で、『変わるもの』って意味の言葉だよ。」
「・・・、『変わるもの』?」
「うん、今のクラスにぴったりでしょ?変わるにはまず名前からだと思うから・・・・今日からきみの名前は『クラス・ゼロアーク』だよ。」
フォルカはそういうと手を引っ込めようとした。
その時、
手にぬくもりを感じた。
「・・・?」
手に目をやる。
・・・、クラスが手を握っていた。
「クラス?」
「・・・、名前をありがとう。」
クラスは、そのままフォルカの手を握り・・・エリアルとフォルカの母の待っている家へ向かって歩き出した。
読んでいただきありがとうございます。
今回は長いセリフもあってので、読みづらかったらすいません。




