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第27話〜Trick or・・・〜

ハロウィン企画です。



本編と少しズレるので、気楽に読んで下さい。


今日のユニィは何だか変だった。


スキップしながら先頭にいたと思ったら、エリアルの隣で鼻歌をしていた。


そして、暗くなったのでテントを張り、一晩を過ごそうとした矢先に事件は起こった。



「・・・ユニィは?」



なんと、ユニィは姿をくらましたのだ。



「そういえば・・・先程から見てませんね」


「・・・しょうがない、私が近くを探して来よう」


そういってドールがテントの外に出ようとした時・・・、



「問題でぇ〜す!今日は何月何日でしょうか?」


ユニィの声が、どこからともなく聞こえる。


辺りを見回しながら、ウェルトが答える。



「今日、確か10月31日じゃ・・・はっ!?」



そういった瞬間、ウェルトは何かに気付く。


皆さんはわかっただろうか、今日10月31日に何があるのかに・・・。



「そうっ!今日は10月31日、つ・ま・りぃ〜・・・『トリックオアトリート』!!お菓子くれなきゃユニィファイアをお見舞いしちゃうぞ☆」



そういって、勢い良くユニィがテントに入って来た。

・・・コウモリ型の(つぎはぎだらけの)を背中に装備して。



「・・・ユニィ、どうしたのそれ?」


「これはねぇ〜・・・私が作ったんだよ☆」



ユニィはその場で2〜3回くるくる回り、お手製の羽を見せ付けてくる。


しかし、止まったかと思ったら、急に頬っぺたを大きく膨らませてこういった。


「でもショックゥ〜・・・皆が揃いに揃って『ハロウィン』という神聖なる行事を忘れてるなんてさぁ〜・・・」


「えと・・・ごめんねユニィ」



別に悪い訳ではないが、フォルカはユニィに謝った。


「まぁいいけどね・・・んじゃあさっ!!」



突然ユニィが開き直ったのか、高いテンションに戻る。



「せっかくなんだからさ・・・皆で仮装くらいはしようよっ!!」



とてつもなく強引なアイディアを提案してきた。



「貴様はともかく・・・私達は衣装なぞ用意してないぞ?」


「大丈夫っ!こんなこともあろうかと、私が皆の分を作っといたから!!」



次の瞬間、どこからともなく巨大な袋を取り出した。

その袋の中には、様々な衣装がこれでもかというくらい詰まっていた。



「ですが・・・私達に着れるでしょうか?」



クラスの疑問に、ユニィはすんなり答える。



「そこも大丈夫っ!腰や太ももがどれだけ太かろうが、すんなり着れちゃう様に作ったから!」



右手の親指をビシィッと立て、誇らしげな顔をしてユニィが言った。



「・・・それが入らなかったら、私達立ち直れないわよ・・・」


「はい・・・」


「ああ・・・」



女性陣は、少々乗り気ではなかった。



男二人はというと・・・。


「僕・・・ハロウィンはお菓子を食べるだけだと思ってたから、何か楽しそうかも・・・」


「ボウズッ!ハロウィンで楽しめねぇ奴は負け組だ!!だからちゃっちゃと着替えてエンジョイしようぜ!!」


「はいっ!」



そういって二人はユニィの元に 、衣装を貰いに行った。



「は〜〜いっ!そっちの三人も早くぅ〜!!」



ユニィの手招きに、三人は仕方なく衣装を貰いに男性陣のいる方へ向かった。





「・・・おまたせ」


「フォルカお兄ちゃんっ、早かったね・・・って着てないし」



なぜかフォルカは、いつもの服装で帰ってきた。



「どうしたの?まさか・・・入らなかったの、服」


「違うよ・・・用意してある服のほとんどが女性ものだったよ。とてもじゃないけれど、僕には着れないよ・・・」



フォルカの言い訳に、ユニィは優しい目をしてこういった。


「フォルカお兄ちゃん・・・長い人生の中、ほんの一日女装するくらいは時間で言うと一瞬でしかないんだよ。だから・・・Let's女装☆」


「ううっ・・・・・・」



今日のユニィは、本っ当にやりずらい。


お祭り的行事になると、一部の子供は凶悪になるというのは本当らしい。


「ユニィ、お待たせしました」


「あっ!クラスゥ〜!!サイズは大丈夫だった?」


「はい、問題ありませんでした」



クラスが仮装したのは、大きな黒い帽子とローブ、手に持ったホウキが印象に残る『魔女』の格好だった。


「どうですか?」



クラスは、フォルカに似合っているかを聞いてきた。


正直言うと、黒い帽子から覗く鮮やかな緑色の髪がとても綺麗で・・・似合っている。



「とても似合って・・・」


「と〜っても似合ってるよクラスッ!!」


予想外にユニィの声が大きく、驚きのあまり感想を言いそびれる。



「そうですか・・・ではエリアルも連れて来ますね」


そういってクラスはテントに戻った。


数秒後、テントから叫び声が聞こえてきた。



「嫌よっ!!この格好は『エリアル』という人の形を完全になくしているじゃないっ!!」


「大丈夫です、どんな格好をしていても・・・声を聞けばエリアルだとわかってくれますよ!・・・多分」



「余計不安じゃあ〜いっ!!」



何というか・・・テントが原型を保てないくらい揺れている。



「フンッ、仮装が出来ないとは・・・エリアルはだらしないな」



そういって、いつの間にか隣にいたドールが鼻で笑った。


・・・猫耳をつけた状態で。



「・・・えっ?それは・・・仮装に入るのドール?」


「もちろんだ、『化け猫』を知らんのか。・・・・・・ニャ〜〜〜ッ!!」


「ニャッ・・・!?」



本当に彼女はドールなのだろうか?


少なくともフォルカの知っているドールは『ニャ〜〜〜ッ!』とは言わない。


「いやな・・・最初はこの『バンパイア』の格好をしようと思ったのだが・・・これをフィニカ様に脳内で着せてみたら、驚くほど似合っておられたのだ。だから私はフィニカ様の好きな猫(真っ白)の化け猫と化して、彼のお側に仕えようと・・・ブハッ!!!」



急に力説を始めたと思ったら、鼻血を吹き出した。



「うわあぁっ!!ドールッ、君ってそんなキャラだったの!?」



フォルカの問いに、鼻栓をしたドールが答えた。



「元は違ったが・・・フィニカ様のおかげでこんなにも人に近づく事が出来たのだ」



「・・・多分鼻血は関係ないと思うよ?」



「ああ・・・フィニカ様、思い出しただけでまた鼻血が・・・」



そういって鼻にささったティッシュ栓を抜き、新しいものに変える。



(ドールは、妄想が行き過ぎた人なのかな?)



その時、急に後ろから足音が聞こえる。


靴が草を踏む様な感じではなく、素足で歩いている様な音が・・・。



(・・・どういうこと?)



ゆっくりと後ろを見てみると、長身で白い着物を身につけ、頭部に白の三角形の布を括り付けた人がいた。


「ひっ!!?」



昔、本で読んだことがある。



“女性の幽霊は、大抵白い着物を着て現れる”と・・・。


その人はゆっくりと近づいてくる。


口元に笑みを浮かべながら・・・。



「うわああぁあぁぁっ!!!」



「・・・ってな!」



着物の人が急に明るい雰囲気で、しかもどこかで聞いたことのある男性の声でしゃべった。



「・・・へっ?」


「気付かねぇか・・・これならわかるだろうっ!!」


そういうと、懐から十字架とメガネを取出し、身につけた。



「ウェルトさんっ!?メガネ掛けてたんですか!?」


「はぁっ!?お前今さらすぎるだろうが!!結構一緒にいただろっ!?」


「だって・・・文章での説明がなかったし・・・」


「???」



本当に今さらだが、ウェルトはメガネをしている。



単なるおしゃれのためか、目が悪いのかは謎ではあるが・・・。



「んで、エリアル嬢ちゃんは?」


「あっ!そういえば」



テントの方を見ると、今だに死闘は続いており、次々とテントの形が変わっている。


しばらくして、クラスが何かを引きずりながら出てきた。


その何かとは・・・。



「ちょっとクラスッ!?」


「・・・何でしょうか」



「何でエリアルが包帯ぐるぐる巻きなのっ!?」



ミイラに仮装した(もしくはさせられた)エリアルだった。



「いえ・・・エリアルがあまりにも抵抗するもので、やっちまいました」


「やっちゃったんだ・・・」



フォルカは身を震わせながら、クラスにいった。



「はい、まぁちょうど包帯があったので手当てのついでに仮装出来ましたし・・・よしとしましょう」


その一言に、皆の顔は一気に青ざめた。





ユニィの様に明るい人も、ドールの様にクールな人もっ!!



皆が仲良くなれる、一日限りの魔法の言葉。



『トリックオアトリート』


ほら、あなたのところにもやってきましたよ。



コウモリ型の羽をつけた、いたずらっ子達が・・・。



読んでいただきありがとうございました!!



ハロウィン企画は一回やりたかったんです!!



次回は本編に戻しますので、読んでいただけたらうれしいです!!

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