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第18話〜騎士と僧侶 終〜



「・・・なにが神の登場だ、たまたま不意討ちが決まったからって・・・調子に乗りすぎだよキミ。」



少年は、体を起こしながら言った。



「キミのようなただのヒトが神ならさ・・・僕のマスターが絶対神で、僕はその神に仕える騎士だよ。」



その言葉に、ウェルトはピクッと反応した。




「おいっ、上が出てきたら上だって言い返すって・・・どこのガキの発想だよ!?おれの上はいねぇ!それ以上言い返すなら雲の上からたたき落としてやる!!」



「ウェルトさんのほうも十分ガキの発想ですよ・・・。」


大人気ない・・・今の彼にピッタリの言葉だと、フォルカは思った。



その時・・・




「うおりゃぁぁ〜〜!!」


急に扉を蹴り開け、ユニィが勢いよく出てきた。



「!!ユニィ、まだ動けたか!!」



「まだよっ、まだ私たちの闘いは終わってないわよ!さぁ、クレヨンの良さを思い知れ!!」



「ウルセェ!クレヨンクレヨンって・・・一色しか持ってねぇのに何がクレヨンのよさだ!!」



「一色しかないからこそイマジネーションが発達するのよ!!どうしてそれがわかんないのよ〜〜〜!!」


また始まってしまった・・・僕たちじゃ止められない・・・。



「いい加減にしなよ・・・。」



少年の声が聞こえた。



フォルカとエリアルが少年の方を見ると、すでに少年の左手に緑色の光が収束していた。



そしてウェルトとユニィのいる方に、先程よりも何倍もの出力をした光線を放った。



「・・・っ!」



「うわぁっ!?」



ウェルトは光線に対し、ユニィの体を片手で持ち上げ、地面をジャンプする様に蹴り、上空へ回避。



その後、着地してユニィをそっと地面に下ろす。



「悪ぃが、ケンカはまた後でな。」



「えっ!?あっ・・・うん。」



ユニィの承諾を得た後、ウェルトは少年の方を向く。」



「その胸元の十字架・・・お前、僧侶か?僧侶にしては、よく避けた方だけど・・・次はそう上手く避けれないよ!!」



緑色の光が、今度は両足に収束する。



「僕のスピードについて来れない限りはねぇ!!」



---ビュンッ!!



その音と同時に少年の姿が消える。



フォルカとエリアル、ユニィの三人はは辺りを見回す。



姿が消えた敵・・・いつどこからされるかわからない攻撃。



そんな状況に置かれていると思うだけで、恐怖心が込み上げてくる。



フォルカの頬を、汗がつたう。



ゆっくりと・・・下に向かって汗が流れる。



頬から・・・汗が離れる。




---その時っ!




「遅いよ!!」



少年は、ウェルトの背後に出現。



左手にはすでに緑光が収束していて、いつでも放てる状態になっていた。



「消えろぉぉ!!」



少年はゼロ距離で、緑光の光線を発射。



ウェルトに避ける暇はなかった。




---ドゴオォォン!!




ものすごい爆音と共に、砂煙が上がった。



「ウェルトさんっ!!」



「ウェルトッ!!」



「ウェルト兄ちゃんっ!!」



三人が名前を呼ぶが、返事はない。



「あはははは!!僕の邪魔をするからだよ!!」



少年が笑う。



三人の実力はあの僧侶以下・・・勝つのは確実に自分!!



・・・そう思い込んでいるから。



「さぁ、キミたちも、僧侶と同じところへ行かせてや・・・。」



少年の動きが止まる。



「「「??」」」



三人は、少年の動きが止まった理由が・・・すぐにわかった。





「それで終わりかよ?ガキ・・・。」



少年の背後には、先程しとめたと思われたウェルトが立っていた。



「くっ!」



少年は再び、左手に緑光を収束させる。


「遅せぇよ!くそガキッ!!」



ウェルトの右手が輝く。



その右手は、少年が使用した『炎打』の如く、光と共に拳が少年の腹部を襲う。


「うわぁぁぁぁっ!!」



少年の体が、一気に上空へ飛ばされた。



とっさに、少年は緑光を集め、風を飛ばされている方とは逆に発生させ、体を止めた。



少年が着地した時、膝を地面に付く。



「くっ・・・あ・・・。」


体の内側に、響きわたる様な痛みが、治まらない。



その痛みをこらえて、何とか立ち上がるが、すでにウェルトが目の前に立っていた。



「うっ・・・なぁ・・・。」



「いいか、くそガキッ!!光線ってのはよぉ・・・。」



ウェルトの右手に、再び光が集まる。



「こうやるんだよ!!」



右手を突き出し、少年と同様にゼロ距離で、白光の光線を発射。



少年の光線との威力の差は・・・歴然だった。



数秒の間、砂煙が上がる。


砂煙が止んだ時には、少年がその場に立っていた。



しかし、身体中がボロボロになっており、とても戦える状態ではなかった。



「くっ・・・お前、何者だよ!?ヒトのくせに・・・スティアを変換するなんてさ・・・。」



「いったろ?俺は神だってな!!」



そういうと、ウェルトは懐から何かを取り出した。


「なっ・・・何だそれは?」



「これはな・・・お前の様な悪ガキを再教育するにはもってこいの神具、『レ・陰謀・アート』だ!!これで遊ばせてお前のそのひんまがった根性をたたきなおしてやる!!」



「なっ!?だっ・・・誰がそんなもので遊ぶもんか!!」



「フッフッフッ・・・口ではそういってるが目が輝いてるぞぉ〜、本当は遊びたいんだろぉ〜。」



「そっ・・・そんな事!!」



先程までのシリアスな空気が、音を立てて崩れ始めた。



しかもあの少年が・・・あんな年相応の子供じみたことを言うなんて・・・。



「ウェルトって・・・絶対に敵にまわしたくないタイプね・・・。」



「うん・・・。」



そんな二人を押し退けて、ユニィがウェルトの方に走りだした。



「そんなルーキーよりも、イマジネーションUP間違いなしのクレヨンを使いなさい!!」



「ユニィ!てめぇ、またしても俺の邪魔をするつもりか!?」



「邪魔も何も、その子を私は一時間前から目を付けてたんですよ〜だ!!」



「何を!俺はこいつが生まれた時から目ぇ付けとったわ!!何せ、ゴッドだからな!!」



二人がまた、ケンカを始めてしまった。



その隙にと言わんばかりに、少年はその場から離れていた。



そして、両足に緑光を収束させて・・・




「覚えてろよ僧侶!次はお前を原子レベルに分解してやるからな!!」



といって、一気に姿が消えた。



「あっ!あのガキ・・・にげやがった!!」



「ちょっと〜!帰って来てよ〜!!」



二人が、少年が先程まで立っていたところを怒鳴っていた。



「・・・ったく、これだから物分かりの悪いクロムのガキは!!」



「全くだね!!ブレスレット付けた奴出てこぉぉ〜〜い!!」



そんな事を言ってると、教会の方から誰が出てきた。


見た目は、太り気味の男性で、何かと偉そうなヒトだった。



「ウェルトッ!お前また教会に傷を付けよって!!」


「げぇっ!!司祭!!」



「・・・ウェルト、あの人が怖いの?意外な弱点だね。」


「違ぇよ・・・司祭はな、説教がバカみたいに長いから嫌なんだよ・・・そんだけだ!!」



「自信満々に言うことじゃないですよ・・・。」



そんな事を言ってると、目の前に今にも血管がブチ切れそうな司祭が立っていた。



「確かにお前は強い、ミセットタウンに来た魔物を一人で倒せるほどな・・・だがな!魔物と一緒にこの町を廃墟にするつもりか!修理費だけでいくらかかると思っとるんだ!!」



「すいませんでしたもういたしません司祭。」



句読点なし・・・つまり棒読みで、ウェルトは司祭に許し(?)をこった。



そんな時、ブチンッと何かが切れる音がした。



「もう我慢できん!!ウェルト・レクセール!お前をこの教会から追放する!!」



「ちょっと司祭・・・それは言い過ぎでは・・・。」


「シスターは黙っといてください!!これは決定事項です!!」



シスターの抑えも、今の司祭には全くの無意味だった。



「ごめんなさいウェルト・・・司祭を止められなくて。」



「いいってシスター、適当にその辺をぶらついて、ほとぼりが冷めたら帰ってくるさ。」



「ええ・・・では皆さん、ウェルトと仲良くしてやって下さいね。」



「「「えっ!?」」」



今・・・シスターは何て言ったの?



「皆さんはウェルトのお友達なんですよね?でしたら少しの間だけ・・・ウェルトのことをよろしくお願いします。」



シスターは、深々と頭を下げた。



そんな事されたら、断わる訳にはいかない。



「・・・よろしくお願いします、ウェルトさん。」



「おうっ、しっかり面倒見てやるから覚悟しとけよ!!」



「・・・はぁ。」



僕の口からは、ため息しか出なかった。










「くぅ・・・。」



少年は、元居たクロム研究施設に帰って来たが、入り口に倒れ込んでしまう。



「何だよ・・・あいつは・・・。」



少年の傷が、徐々に塞がっていく。



「自然回復が追いつかないなんてね・・・ビックリしたよ。」



少年は、両手に力を込めた。



「だけど・・・次は確実に仕留めてやる・・・。」



少年の声が、廊下に響いた。



・・・近くにあった時計に目をやる。




時刻は午前四時・・・。




「・・・マスターに報告したら、ちょうど良い時間になるな。」



少年・・・ナイトは、体を起こして歩きだす。



「・・・クラス・・・。」


彼女の名前を呟き、ナイトは早足でマスターの元に向かった。

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