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第17話〜騎士と僧侶 3〜

更新がかなり遅れてしまい、申し訳ないです。



「「「・・・・・・。」」」



三人は、唖然としていた。


「神様は子供の嫌がる事はしないってシスターが教えてくれたの、ウェルトが神様なら私たちの嫌がる事はしないよね?」



「おっ、おう・・・なんだって俺はゴッド様だからな・・・そんな些細なことで子供に手を出したりは・・・しないぞ。」



子供(しかも女の子)にいいように言いくるめられている、二十代後半の男を見て・・・。



「でしょ?・・・さっみんな、お絵描きの続きしよ〜!」



「「おおぉ〜〜〜!!」」


多分ウェルトを言いくるめた女の子は、この子たちのボス的存在だろう。



フォルカは、ふと横を見る。



横では、ユニィが無言でプルプルと震えていた。



「・・・ユニィ?どうしたの。」



フォルカがユニィの肩に手を置こうとすると、ユニィはいきなり子供たちの方に歩きだした。



「ちょっとユニィ、どうしたのよ!?」



「・・・大丈夫、用があるのは『レ・陰謀・アート』ただ一つだから・・・。」


そういって、子供たちが集まっているところに、無理矢理割って入った。



ユニィは子供たちなど目にも止めず、『レ・陰謀・アート』の前に立った。



次の瞬間・・・




「どりゃぁぁぁ〜〜〜!!」



「「「うわあぁぁぁぁ〜〜〜!!」」」



急に『レ・陰謀・アート』を掴み、おもいっきり振りかぶってぶん投げた。



『レ・陰謀・アート』は、天井に叩き付けられた。




「ああぁぁぁ〜〜!!俺の『レ・陰謀・アート』がぁぁ〜〜!!」



「こんなものっ、脳によくないっ!子供の想像力が伸びないっ!クレヨンにしろぉぉ〜〜〜!!」



ユニィの急激な変貌に、フォルカとエリアルはただ見ていることしか出来なかった。



「おっ、お姉ちゃんだ〜れ!?新しく来た人!?」



「じゃかしい!あんたらみたいにお絵描きするのにこんなもの使う奴らに名乗る名はなぁ〜〜〜〜い!!」


あのボス的女の子も、変貌ユニィの威圧感に逆らえずにいた。



「いいっガキ共!?クレヨンはねぇ、あんたらの貧相な想像力を・・・私と比べて〜・・・私の五億分の一まで引き上げてくれる伝説かつ庶民派アイテムなんだよ!わかったか!!」



「「「はっ・・・はいぃぃ!!」」」



ユニィの一喝に、子供たちが思わずビシッと気を付けをした。




「ちょっとまてぇぇい!!」



「・・・何、ウェルト兄ちゃん?私はこのガキ共の再教育で忙しい・・・」



「ユニィ穣ちゃん、いやユニィ!!よくも俺の『レ・陰謀・アート』を天井に叩き付けやがったな!?あれを扱ってる店はこの辺で『ゴッド商店街』しかないんだぞちくしょ〜〜〜!!」



「ウェルト兄ちゃんが、こんなお絵描き界のルーキーを持ってくるのが悪いんでしょ!?しかもこのルーキーがレアいの!?うわぁ・・・どおりでこの町のガキ共がバカっぽいわけだぁ〜・・・。」



「「「うわあぁぁぁぁ〜〜〜んっ!シスタァ〜〜あのお姉ちゃんに町ごとバカにされたよ〜〜〜!!」



変貌ユニィの、いちいちグサッとくるトゲのような暴言に、ついに子供たちの何人かが泣き出してしまった。



「ユニィィィ、てめえよくも未来の俺の信者たちを泣かせたな!!」



「「「うわあぁぁんっ!シスターァ〜〜、私たちなりたくもない奴の信者候補にされてるよ〜〜〜!!」」」



ウェルトは気付いていないようだが、ユニィの暴言で精神的にズタボロにされた子供たちにとって、ウェルトの発言も子供たちの目に涙をうかばせるキーワードになっているのだ。



「ああっ・・・ほら泣き止んで・・・。」



子供たちを泣き止ませようとしているシスターが、とても大変そうに見えた。



「あの〜、僕たち二人に何か手伝えることはありますか?」



「手伝って頂けるのですか?でしたら・・・子供たちに何か違うオモチャを探してきてもらえませんか?」


そういってシスターは、お金の入った小袋を差し出した。



フォルカとエリアルは、顔を見合わし頷いて、こういった。



「お金はいいわよシスター、そのくらい私たちが払うから。」



「えっ・・・しかし・・・。」



「僕たちはやりたいからやってるんです、だから気にせずに。」



シスターは少しの間悩み、こう答えた。



「・・・すみません、ではお言葉甘えさせて貰います。」



「じゃあ、行ってきますね、行こっエリアル!」



「うんっフォルカ!」



二人は教会の扉を開き、商店街に向かって走り出した。







「ねぇエリアル、これはどうかな?」



「ん〜〜・・・積み木は・・・もうあったからダメだと思う。」



「そっか・・・。」



フォルカとエリアルは、オモチャ屋の前で何を買うか悩んでいた。



「これなんてどう?超イカしてるわよ。」



「おままごとセットって・・・それはちょっと女の子すぎない?」



「そう?最近のおままごとは男の子も巻き込んで、大胆かつデリケートな家族関係を演じるから面白いよ?・・・何ならフォルカやってみる?」



「・・・遠慮しとくよ、そんなことされたら多分立ち直れなくなるから。」



そんなやりとりも含めて数十分、アレでもないコレでもないと話し合い・・・出た結論は・・・


「・・・しょうがない、他の店に行こう。」



「そうね・・・行きましょ。」



そういって振り返ったとき、エリアルの動きが止まった。



「・・・どうしたの、エリアル?」



「・・・あれって・・・。」



エリアルが指を指す方を見る。



「・・・・・・!!!!」


二人の視線の先には、ショートカットの緑髪で黒い服を着た人が、人混みの中に入って行くのが見えた。



「フォルカ・・・今のって・・・。」



「・・・クラス、なのかな?」



確定は出来ない・・・だけど、あんなに鮮やかな緑髪をした人やクロムは、クラス以外見たことが無かった。



「行ってみる?」



「行くしかないでしょ、私たちを捜してるのかもしれないし。」



二人は、クラスらしき人影の見えた方に走った。



人混みの中をかき分け、必死に捜した。



一人一人に、目の神経を集中させ・・・探し続けた。



「フォルカ!あそこ!!」


エリアルが指を差す。



その方向には、先程目撃した緑髪の人が歩いていた。


「クラスッ!クラスなの!?」



緑髪の人は、こちらの声が聞こえたらしく、ゆっくりと振り返る。



その姿は・・・





「残念・・・人違いだよ。」



緑髪のショートカット、黒色の服までは同じだったが、短めのマフラーと膝が隠れるくらいの丈をしたズボンを履いている、『クロム』の少年だった。



「あっ・・・ごめん、僕たち・・・君とある人を間違えちゃって・・・。」



「ううん、気にしてないよ。」



クロムの少年は、こちらに向かってニコッと笑った。


「あれ?フォルカ・・・あのクロム笑って・・・。」


「フフッ・・・そんなことよりもさ、僕は君たちにとても会いたかったんだよ。」



「僕たちに?なんでかな・・・。」




「だって君たち、クラスと一緒にいた奴らでしょ?」



「「!!」」



なんでその事を、この少年が知っているんだ!?



「・・・なんで僕がその事を知っているのかっていいたそうな顔してるね。」



「えっ!?」



「名前は確か・・・『フォルカ』と『エリアル』、クラスから聞いたよ。」



この少年は、クラスのことを何か知っている・・・なら・・・。



「ねぇキミ、クラスのこと知っているんだね!?」



「・・・うん。」



「クラスの様子はどうだった!?何か変なことされてなかった!?」



「そんなことする訳ないよ、クラスは大切な僕とマスターのお姫様だもの・・・。」



少年の一言に、何かひっかかった。



「お姫様?・・・クラスが?」



「そっ、お姫様・・・綺麗で、可愛くて、優しくて・・・まぁそのせいで悪い虫が付いちゃったけどね。」


「虫・・・?」



会話が止まる。



しばらくして、クロムの少年が口を開いた。




「・・・クラスは失敗作なんかじゃなかった、なのに勝手に失敗作として処分されて・・・。 そしてあいつが・・・ライシェスの野郎が、マスターが助けようとしたクラスを、マスターより先に連れていきやがった!!虫のくせに・・・虫のくせにぃぃ!!!!」



ライシェス!?エリアルの・・・お父さん!?



「あんた、お父さんのことも知ってるの!?」



「お父さんだって!?」



少年は黙り込む。



しばらくして、口を開いた。



「データ取得完了・・・なるほど、お前のフルネームは『エリアル・ライシェス』・・・あいつの娘か。全く親子は揃いに揃って・・・。」



少年の左手に、緑色の光が集まる。





「僕とマスターの邪魔ばかりしてさぁぁ!!!!」



少年は光を、例えるなら光線のようにして、こちらに放った。



「「っ!!」」



二人は、即座に光線の右側に回避。



ギリギリのところで当たらなかった。



光線が通過したあとを見て、二人は息をのんだ。




地面が一直線にえぐれていたのだ。



・・・これをまともにくらったら・・・。



「エリアルッ、どうしよう・・・。」



「とりあえず、人気のないところへ・・・。」




「人気のないところへ逃げるの?なら・・・。」



「「!!」」



いつの間にか少年は、こちらの正面にいた。



「手伝ってあげるよ!!」


少年の左手に、今度は赤い光が集まる。



「炎素スティア・・・収束。」



「させない!」



エリアルがナイフ型の素器を展開、少年に向かって一歩踏み出す。



「遅いんだよ!虫がぁぁぁ!!!!」



赤い光が炎に変わり、拳と共にエリアルを襲った。



「きゃあぁぁぁぁ!!」



エリアルが一直線に飛ばされる。



植えられていた木を折り、一気に教会付近まで飛ばされた。



「エリアルッ!!」



エリアルの方に、意識を集中させる。



今の技は以前、クラスがドールに対して使用した、炎素スティアを手に集め、攻撃する『炎打えんだ』と似ていた。



しかし、威力が違った。



クラスの使う炎打は手数があった、しかしこの少年の使う炎打は一撃に特化されており、手数は少ないものの威力はクラスの何倍も上に感じた。




「他人の心配するよりさ・・・。」



フォルカは前をむきなおす。



少年は既に、青色の光を手に収束させていた。



「自分の心配でもしてなよ!!」



光がまだ集まり続けている・・・まだ止められる!



フォルカはエリアルと同じように素器を展開、おもいっきり振りかぶる。



「遅いって・・・言ってるだろ!!」



青色の光は水に変わり、炎打と同じように拳と共に、今度はフォルカを襲う。




「『水打すいだ』!!」



「うわあぁぁぁぁ!!」



フォルカの体は、いともたやすくエリアルの飛ばされたのと同じ方向に飛ばされた。



「くっ・・・あ・・・。」


フォルカは何とか保たれている意識のなか、立ち上がろうとする。



しかし全身に痛みが走り、立ち上がることが出来ない。



「うっ・・・エリアル。」


エリアルの方を見る。



気を失っているのか、動かない。



「弱いね、君たち・・・。」



いつの間にか、少年は二人の前にいた。



「その程度の実力でクラスの側にいたなんて・・・呆れちゃうよ・・・。」



「っ・・・。」



「クラスに君たちは必要無い・・・僕とマスターが居ればね、だからさ・・・消えてよ。」



少年は最初に使用したものと同じ、緑色の光を手に集め始めた。



先程よりも長く・・・時間をかけて。



「フフッ・・・なんならこの町の奴らみたいに神にでも祈ってみれば?苦しまず逝けますようにってねぇ!!」



「・・・・・・。」



光が強くなる。



(神・・・僕が知っている神・・・。)



「さよなら・・・虫共。」


少年が手を構える。



(僕の知っている神は・・・!!)



「消え失せろぉぉ!!」



少年が光を放とうとした時・・・





「おらぁぁ!!」



「なっ!?」



突如出現した脚・・・余りにも突然の蹴りに、少年は対処仕切れなかった。



蹴りが当たり、少年の体が宙を舞う。



フォルカたちの前に立っていたのは・・・




「・・・ウェルトさん。」



ゴッド様・・・参上だ!!」




フォルカがよく知る、頼りになるゴッド様だった。

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