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第10話〜ある日アルフィに〜

「んっ・・・。」


フォルカは目を開けた。

写った景色は、見たことのないコンクリートのような天井だった。


「ここは・・・いったい・・・。」


辺りを見回すと、エリアルが倒れていた。


「!!、エリアルッ大丈夫!?エリアルッ!」


「・・・うぅ、フォルカ?」


エリアルが顔を上げた。


「フォルカ・・・ここは?」


エリアルも同じ意見らしい。

まず、ここがどこなのか把握しないと・・・。



「ここは大都のクロム研究施設だよ。」



「そうか・・・ならどうして僕達は・・・って。」


聞き覚えのない声がした。フォルカとエリアルは、声がした方を見た。

そこには・・・



「女の子・・・。」



半袖ワンピースで赤茶色の髪の女の子が、こちらを見てニッコリと笑っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クラスを連れて歩く2人。・・・いや、1人の人と一体のクロムである。


「・・・・・・。」


「・・・フィニカ様、どこか悪いのですか?元気がなさそうですが・・・。」


「いや・・・大丈夫だ、気にするな。」


それは嘘・・・ドールには簡単にわかる嘘。


「そうですが、なら行きましょう。」


「・・・すまん、ドール。」


聞こえないくらい小さな声で、フィニカはお礼を言った。


「・・・いえ。」


ドールは短く答えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「君は・・・いったい・・・?」


フォルカの問いかけに少女は、



「ユニィだよ、私はユニィ・エブロズィーク。」



と答えた。


「あっ、僕はフォルカ・ティール。よろしくね、ユニィ。」


「うん、よろしくね、フォルカお兄ちゃん!」


ユニィの何気ない一言に、フォルカは胸を射ぬかれた。

お兄ちゃん・・・いつもは自分がフィニカに対して言っている言葉。

それを今、自分に対して言われたのだ。


「おっ、お兄ちゃん?僕が・・・?」


「??だって私にとっては年上でしょ?だから・・・お兄ちゃん!!」


慣れない感じがして、なんだかむず痒い感じがした。


「フォルカ、なに笑ってるのよ・・・気持ち悪い。」


「!!!ッ」



おもわず顔に手を当てた。・・・そんな顔してたんだ、僕。

「お姉ちゃんの名前は?」

「おねっ!!?」


今度はエリアルが射ぬかれる番だった。

一人っ子だったから、姉と呼ばれたのが新鮮で・・・。


「・・・エリアルも人のこと、言えないじゃないか・・・。」


「だっ、だって・・・しょうがないじゃない!初めて言われたんだもの、お姉ちゃんって。」


エリアルの意見には賛成だった。

自分も初めて言われたことだったから・・・。


「あっ、でもなんでクロム研究施設に私達居るのよ?」


エリアルが話を戻す。


「2人はフォルカお兄ちゃんにそっくりな人と女の人に運ばれてきたんだよ。」


「・・・兄さんが・・・。」


頭の中にある一場面がよぎる。


兄に向けた刃、兄に言った暴言。


兄は・・・どう思っただろう、あんなことしたから嫌いになってしまっただろうか・・・。


「びっくりしたよ、エリアルお姉ちゃんを連れて来た人、2人を簡単に持ってたもの。」


「ドールね・・・あいつはクロムだから私とフォルカを持ち上げるのは簡単でしょうね。」


ううん、と言ってユニィは首を横に振った。



「女の人が持ち上げてたのは、エリアルお姉ちゃんと緑髪の女の人だったよ?フォルカお兄ちゃんは男の人がおんぶしてたし・・・。」


「「!!!!」」


2人は辺りを見回す。

クラスの姿は・・・どこにもない。


「そんな・・・。」


エリアルが、その場に座り込む。

フォルカもつられて座り込む。


・・・守れなかった。

そんな思いが、2人にのしかかる。


「・・・その人、助けたい?」


ユニィの声が聞こえる。

かなり落ち着いた声が・・・。


「できるの!?」


エリアルが、ユニィの元に駆け寄る。


「うん、2人がきてまだそんなに時間は経ってないし・・・だからまだ間に合うと思う。」


「でも・・・どうやってここから出るの?頑丈な扉だし・・・。」


大丈夫、とユニィは言うと手のひらを前に出した。

そして・・・



「・・・えいっ!!」



突如、手のひらの上に小さな炎を発生させた。


「うわあぁ!!」


フォルカは驚いて、おもわず後退りした。


「ユニィ、あんたいったい・・・。」


ユニィは炎を消し、こちらを向いた。



「私・・・アルフィだもん、できて当然だよ。」


「アルフィだって!?」



アルフィ・・・外見はヒトと変わりないが、スティアを術式に変換し『素術』として使用することのできる唯一の種族。

そして・・・そのアルフィに対抗する手段として生まれたのが『クロム』だった。



「ここから出るのは簡単なんだけど、素術を使うための術式変換は時間がいるから・・・1人じゃ捕まっちゃう。」


ユニィは2人に両手を差し出した。


「だから・・・フォルカお兄ちゃん達の力を借りたいの。・・・お願い。」


2人は顔を見合せ、頷く。そして2人はユニィの手を握り、


「こちらこそよろしくね、ユニィ。」


「頼りにしてるわよ!」


「うんっ!!」



3人は笑顔で頷いた。

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