01.ドラゴンを失神させる勇者
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
《ドレッドノートSide》
おれの名前は、ドレッドノート!
七大魔王がひとり、憤怒の魔王イラ様から名前をもらい、存在進化したドラゴンさ!
今日、イラ様の配下、憤怒の眷属たちが、空中にて一堂に会していた。
空には飛行石っつー、空に浮かぶ不思議な鉱石があるのさ。
その上に、おれたち憤怒の眷属たちがそろっている。
「よぉ、てめえら! ひさっしぶりだなぁ」
おれは憤怒の眷属であるドラゴンたち(みんな古竜以上の強さを持つ)を見渡す。
「ドレッドノートも久しぶりだな」
と、一人のセンパイドラゴンが気安く話しかけてきた。
はぁ~~~~~~~~~~ん?
「センパイ。敬語。敬語わすれてませんかぁ? おれはセンパイより遙かに年下ですがぁ、おれのほうがつえーんすよぉ?」
憤怒の眷属達が怒りの表情を浮かべる。
だが……はん。
どこと吹く風の、おれ。
そうさ、おれは若いけど、この場にいる誰よりも強いのさ……!
「ドレッドノート! 調子乗るなよ!」
「まあ、落ち着け」
そのとき、上空から1匹のドラゴンが降りてきた。
「ジャガーノート先輩! ちゅーっす!」
おれはジャガー先輩に頭を下げる。
邪悪竜ジャガーノート。
おれたち憤怒の眷属のなかで、最も強い漢だ。
おれが唯一尊敬してる先輩である!
「おお、ドレッドノート。久しぶりだな。元気してるみたいじゃないか」
「あざーっす!」
ジャガー先輩はおれの憧れなんだ!
なにせ、イラ様が直々に、ジャガー先輩を一番信頼してるって言ってたしよぉ!
ジャガーノートって名前のほかに、二つ名までもらってるのは、憤怒の眷属のなかじゃ、あの人だけなんだ!
おれもいつかイラ様から、二つ名をもらえたらなー!
「憤怒の眷属達よ。よく集まった。今日はおまえたちに、イラ様の現状を伝えに来たのだ」
ジャガー先輩がおれたちを見渡す。
イラ様の現状……。そういえば、イラ様最近(※年単位)で見てないや。
(※長命な竜にとって10年や20年は、つい最近にカウントされます)
「結論を言おう。イラ様は現在、とある強大な御仁の配下となっている」
……意味が、わからなかった。
「じゃ、ジャガー先輩……うそでしょう? イラ様が…配下だって?」
「ああ、そうだドレッドノート。そしてこのおれも、そのものの配下となってる」
「はぁああああああああああ!?」
う、嘘だ!
あの強いジャガー先輩が!?
しかも……おれたちの名付け親であり、竜達のトップである、イラ様まで!?
誰かの配下になった……だとおぉお!?
「い、いったいそいつはどんなやつなんですか、ジャガー先輩!? 天使ですか? それとも、悪魔!? それとも魔族!?」
するとジャガー先輩は首をふるって、言う。
「召喚勇者だ」
……一瞬、何を言ってるのか理解できなかった。
「しょ、召喚勇者って……あれでしょ? 異世界から召喚された、人間ってやつ……?」
「そうだ。イラ様、そしてオレ様は、現在召喚者の配下となっている」
ふ。
ふふ……。
ふはははは!
「冗談キツいですよ先輩! イラ様は、七大魔王! 魔物達の頂点たる、最強の種族ですよ!? そんな御方が……たかが人間の? 配下? ふざけるのも大概にしてくださいよ! 冗談にしてもたちが悪い!」
そうだそうだ! と憤怒の眷属達が声を荒らげる!
一方、ジャガー先輩はなぜだか、おれたちに妙な目線を向けてきた。
哀れみのまなざし、だった。
「なんですかその目は!」
「いや……おまえら、いいなぁって思って」
「いいな?」
「ああ、おまえら、幸せだぜ……。まじで。本物のバケモノにあったことねーんだから……」
本物のバケモノ?
それってさっきの召喚者のことを言ってるのか……?
「イラ様からの伝言をおまえらに伝える。イラ様はしばらく召喚者とともに行動する。その間、自由にしていい。ナワバリを出てもいいし、この際に眷属から抜けてもいいとさ」
イラ様は……何を考えてるのだ?
人間とともに行動するだって……?
「ジャガー先輩……いや、ジャガーノート。嘘言ってるんじゃないのか、おまえ?」
「嘘?」
「そうだ! イラ様が人間たちの配下になるなんてありえない! 配下になったのは、ジャガーノート、あんただけなんじゃないか!」
そうだ、そうに決まってる!
つまり、こういうことだ。
ジャガーノートは人間に敗北→人間の配下となる。
その人間は憤怒の魔王イラ様討伐をもくろんでいる。
まともに戦ったら、人間じゃイラ様に勝てない。
そこで! 配下たちを人質にとって、イラ様を殺そうとしてる!
「だろう!?」
「………………」
ジャガーノートに、なんか哀れみの目を向けられた!
「ドレッドノート。おまえ……若いな……」
「なんだよバカにしてるのかよ?」
「いや、うん。まあ、いいよ。おまえの主張は理解できた。そりゃそうだな。急にイラ様やオレ様が人間の配下になったっていっても信じられないだろう」
「そうだ!」
「じゃあ……会わせてやるよ。その召喚者にさ」
「おうよ! ぜひそうしてくれ!」
他の眷属達もグルルウ……とうなっている。
人間ごときに負けるなんて、みじんも思っていない!
姑息なその人間なんかに、我らが人質にとられてたまるものか!
こちらから出向いて、消し炭にしてやらぁ……!
「言っとくがおまえら、これからおまえらに会わせるやつは、人間であって人間じゃない」
ジャガーノートがなんかほざいてる。
人間であって人間じゃない?
「あれは、本物の怪物ってやつだ」
「はんっ! 何が怪物だ! おれたちゃ魔王の眷属だぜ! 一般魔物からすれば、おれたちだって十分怪物の分類だぜ!」
「あ、うん。まあ……あれだ。失禁しないようにな」
「失禁だぁ? はん! するわけねーだろぉ! なぁみんな!」
★
「あ、イラさんのお友達? こーんにちわー」
「「「きゃいぃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!」」」
お、おれ……おれたちは、す、砂浜に来ている。
す、す、砂浜には、ひ、ひ、一人のに、人間のガキがいた!
黒髪で、10代前半くらいの、幼い見た目の男だ。
一見すると人間だが……わかる。
あれは、人の形をした、何か別のものだ!!!!!!!!!!!
「あれ、どうしたの皆さん?」
人間が語りかけてくる。
それだけで、何匹もの眷属達が気を失った。
じょばーーーーーーーーーー!
じょばーーーーーーーーーーー!
眷属達が気絶したうえに、失禁していた!
かくいうおれも、気を抜いたらすぐに気絶してしまいそうだ!
「あいやー、みんなどうした? パンパ●ス、使う?」
「ケースケの兄貴。どうやらみんな、あんたにびびっちまってる見たいっす」
ジャガーノートが人間に敬語を使っている……。
あいつのほうが格上だと思ってるようだ。
……そのとおりだった。
あの人間のガキからは、異様な魔力が漏れている。
あの魔力の感じ……イラ様の魔力に似ているんだ。
例えるなら、巨大な山を見たときに、圧倒されちまう。あの感覚。
それをあの小さなガキから感じるのだ。
目の前に居るのは小さな、脆弱な存在だというのに……。
おれは、超巨大な何かに見下ろされてる、そんな感覚を覚えた!
ドラゴンが!
憤怒の魔王の眷属たる、このおれが、だぞ!?
「あれ、君は失禁してないね」
てこてこ、とガキが近づいてくる。
ひぎぃい!
近寄らないでくれええ!
漏らしちゃいそうだぁあああああああああ!
「あ、あのケースケの兄貴……あんま近寄らないであげてくださいっす……」
「え、どうして? 初めましての人には、ちゃんと挨拶しなきゃでしょ?」
ガキが近づく都度、おれの体がガクガクと震え出す。
そして、目の前にやってきた。
……瞬間。
おれは、首だけになった。
首をいつの間にか切り取られ、そして、皿の上にのせられている。
「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
おれはひっくり返って、小便を漏らす!
ジョバァアアアアアアアアアアアアアア!
「うぉっと。あぶなー……。いきなりおしっこかけようとするなんて、もー」
はっ!
あ、あれ……? おれ、生きてる……?
「お、おれ……今、首だけになって、皿に載せられてたような……」
「ドレッドノート。そりゃあ、イメージってやつだ」
ジャガーノートが近づいてきて、おれを抱き起こしてくれた。
イメージ……?
「あんまりにも強すぎる捕食者を前にして、食われてしまう。そんな想像をしちまったんだろう……?」
……おれが?
ドラゴンである、このおれが? 被捕食者だって……?
「お、おれ……おれは……おれはぁあああああああああああ!」
おれは、認めたくなかった!
人間が捕食者で、おれが被捕食者ってことを!
振り上げた拳を、思い切り、ガキに向かって振り下ろす。
パァンッ……!
ガキが目の前から消えた!
おれのパンチで消し飛んだんだ! ざまぁみろ!
「うーん、あぶないなぁ」
背後から、ガキの声がした。
避けられたのか!?
おれは後ろを振り返ろうとする……が。
「う、動かない!? 後ろを向けない!? どうなってるんだ!? 麻痺スキルか!?」
「え、ただ首だけ刈っただけですが?」
首を刈った……?
何を言ってるんだ……?
くるん、とおれの頭が回る。回される。
ガキが……おれの頭を持っていやがったのだ!!!!!!!
「お、おれの攻撃は!?」
「え? あれ攻撃だったの? 遅すぎて簡単にカウンターたたき込めましたよー」
カウンター……だと……!?
「つ、つまりあんたは……お、おれが攻撃する瞬間、おれの首を切断したっていうのか!? 憤怒の眷属である、このおれを!?」
信じられない……。
やつの動きが、全く目で追えなかった!
脆弱な人間の動きじゃねえ!
「あ、イラさんのお友達だったね君。戻すね」
ガキが持つカバンの口から、何かが出てきた……!
「ルクスリアさん」
「はーい、けーちゃん♡ 呼んだ?」
あ、
ば、
ば……。
う、うそ、うそだ!!!!!!!
このガキのカバンから出てきたのは……。
「色欲の魔王……! ルクスリア!!!!」
信じられねえ!
このガキ……魔王を従えていた!!!!
七大魔王が一人を! 自分の配下として! 召喚しやがった!?
じゃ、じゃあ本当に……こいつは、イラ様を……?
「この人なおしてあげて」
「OK~♡」
ルクスリアがフゥッ、とおれに吐息を駆ける。
その瞬間、おれの体が元通りになった。
すさまじい快復力。やっぱこいつは本物の大魔王……。
そして、それを従える、ガキ……。
「そんな……」
そんなバケモノが、この世に存在するだなんて……。
認めないと、いけないのか……。
と、そのときだった。
「あー、けーすけくーん! おーい!」
ズォオオオオオオオオオオオ!
……瞬間、海が、割れたのだ。
「ほ……へ……? うみ……割れたのぉお……?」
海が割れて、そこから出てきたのは……。
神。
脳裏に、そんな言葉がよぎる。
「愛さーん!」
愛……? 愛ってなぁに~?
あは、あはははあ!
あ、あの、う、海を割って、こちらにありゅいてくる女のことかぁ!
「あべびゃ……! あびゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
おれはひっくり返って小便をぶちまける!
しょーがないもん!
だってそこのガキと同じ、いや、それを超えるさらなるバケモノが現れちゃったんだもーん!
しょうがないよね★
「愛さんどこ行ってたの?」
「ちょっとマリアナ海溝的なとこ行ってきた! 深海魚とってきたよ! 二人で焼いてたべよう!」
おれはバケモノ同士の会話を遠くに聞きながら思う。
うん……いたわ。
イラ様を超えるだろう、バケモノたち。いたわ。普通に。うん。
さーせん、ジャガー先輩。おれ間違ってました。ほんとごめんなさい……。あと、命だけは助けてくださいほんとマジで……。
【★☆読者の皆様へ 大切なお知らせです☆★】
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タイトルは、
『最強タンクのまったり傷心旅行〜恋人を寝取られ勇者パーティから追放されたけど、【ダメージ蓄積】スキルが進化して無敵になりました。ダメージ全て肩代わりしてた優秀な盾役だったと、今更気づいても遅いです』
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