30.呪いでワルージョを封印する
30.呪いでワルージョを封印する
憤怒の魔王イラさんを取りこんで超巨大化したワルージョを、ミサカさんの奥義で消し飛ばしたぞ!
僕らは地上へと戻ってきた。
ゲータ・ニィガ上空にて。
僕の目の前に人魂が浮いてる。
【手間ぁ……かけさせちまったな……ありがとよぉ、カバンの坊主】
魂だけとなったイラさんが僕に謝ってくる。
「いえいえ。当然のことをしたまでです」
ミサカさん曰く、悪い人を懲らしめるのは、勇者の仕事だからね。
『悪いやつもぶっ殺したし、これでハッピーエンドだね、けーすけくんっ』
ミサカさんがうれしそうに言う。
でも、うーん……なーんか、忘れてるようなぁ。
『げひっ、げひゃひゃ! これで終わりだと思ったかぁ、魔神ぅう!』
うげ、どっからか、ワルージョの声がするぞ?
「どこだ、ワルージョ!」
『げひひひ! ここだよぉ』
目の前の、イラさんの魂から、ワルージョの声がする。
え、なんでここから……?
『まさか……!』
ヒキニートさんが何かに気づいた様子。
『憤怒の魔王の魂と、ワルージョの魂が、一体化してるのかっ?』
「一体化……? え、混ざり合ってるってこと!?」
なんてこったい!
『げひひひ~! そのとおりだよーん! 今イラとわたくしは同一の魂! つまりどういうことかわかるかぁ~?』
そんな……!
「どういうこと?」
『『『わからねえのかよっ!?』』』
ヒキニートさん、シズカさん、そしてワルージョがツッコむ。
なんかワルージョにツッコまれるの凄い不愉快。
「魂しまっちゃおうかな」
カバンを黒い獣に変えて、魂を食らおうとする。
『駄目でござるよ啓介殿! イラ殿とワルージョの魂は同化してるでござる。ワルージョを食べると、イラ殿の魂も消滅するでござる!』
なるほど……!
じゃあだめじゃん。
『チクショウ……! ワルージョのやつ! なんて生き汚いんだ! 自分が助かるために、鞄の魔神の仲間と同化するなんて!』
ちょいちょい出てきてるけど、カバンの魔神ってだれなんだろう……?
(※↑啓介です)
『ぎゃはっはっは! 今は負けちゃったけどよーん、最終的に、勝てば良かろうなのだぁ~~~~~~~~~~~~~!』
うーん、このくそ野郎。
しかしうーん、どうしよう。
ワルージョの魂はイラさんと同化してる。
ワルージョを蠅王宝箱や狼王の暴食で食べたら、イラさんまで死んじゃって蘇生できなくなる。
『うーん……ワルージョもイラちゃんも殺さないで、ワルージョだけ、封じることができれば……』
とミサカさん。
封じる?
……封じる。なるほど。
そうかそうか。
「じゃ……こうします。久遠封縛の匣、オープン!」
『な!? く、久遠封縛の匣だってぇ!?』
僕の魔神器の蓋がひらいて、巨大な、光る箱が出現した。
『あ! これ知ってる! わたしを封印していた、ちょーヤバいすごい呪いの箱だ!』
『……語彙力なさすぎだろ』
『アイちゃんちょっとあほの子だから……』
ヒキニートさん、シズカさんがツッコミを入れる。
ええい、いいとこなんだから邪魔しないでよね。
『そうか! 久遠封縛の匣に、ワルージョの魂を封印するのじゃな!』
「うん。この箱、対象を殺すことなく、永久に封印することができるからさ」
この箱にワルージョの魂だけぶっ込んであげれば、イラさんを殺さずにすむかなって。
「久遠封縛の呪いを解いたことで、僕、この呪いをコントロールできるようになったんです。任意の魂だけを、閉じ込められるように」
『任意の魂だけ……ま、まさか……!』
「はい。たとえ、イラさんの魂と同化してたとしても、分別して、ワルージョだけを閉じ込めることは可能です」
なるほど、とヒキニートさんが納得いったように言う。
『啓介君は久遠封縛の呪いを解いたことで、呪いを扱うレベルがあがったんだ。結果、最強呪いすらも、自在に、対象をいじれるようになったと』
『……それ、冷静に考えて、ヤバくないか?』
『うん。とんでもないやつに、とんでもない力が渡っちゃったね。でもまあ、今更って言うか……』
『……そうだな……今更だな……』
なんだかヒキニートさんたちが、遠い目をしてるのが幻視できた。
なんなの?
「ま、ということで、ワルージョ。さよならのお時間です」
光の箱が6つにに分解される。
6つの箱は、ワルージョたちの魂から少し離れた空中にとどまる。
箱同士が光の線で結ばれ、六芒星を描く。
ワルージョの魂だけが、六芒星に縛られる。
1つだった魂が、二つに分かれた。
『イラの魂だけを分離できたみたいだね』
とヒキニートさん。
よし!
「じゃ、あとは箱を閉じるだけですね」
すると……。
『いやぁ! いやぁああああああああああああ! やめてぇぇええええええええええ! たすけてぇえええええええええええええ!』
ワルージョが泣きわめき出す。
『いやだぁ! この箱はいやぁ! 永遠に、死ねない状態で、暗い場所にいれられるなんていやぁあああああああああああ!』
うん?
なんでこのおばさん、呪いのことについて、詳しいんだろ?
『アイちゃんを久遠封縛の匣にとじこめたのが、他でもない、ワルージョだからだよ』
とヒキニートさん。
あ、そうですかそうですか。
「じゃ、もう同情の余地無しです!」
『待って待って! 聞いて、わたくしがこんな風になってしまったのには、理由があるのぉ!』
「理由?」
『そう! わたくしが悪に落ちてしまったのは、遙かいにしえの時代……』
「久遠封縛の匣、起動!」
6つに分離した箱が、1つに合体する。
ばちん!
そして、空中には小さな箱だけが残される。
「ワルージョ、封緘!」
『『よ、容赦ねえ……!』』
「え、悪党に容赦なんて必要なんですか?」
『ないね!』
ミサカさんが即答。
ですよねー!
ということで……ワルージョ封印したし、これにて一件落着!
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