21.勇者たちの治療(物理)
オタクさんの大活躍により、鞭と銃の勇者さんたちを、無力化に成功したぞ!
やっぱりオタクさんはすごいなぁ!
で。
ガチムチさんたちはオタクさんの麻酔によって動けないでいる。
スペさんが彼らの頭の上に乗っている。
『やはりこやつらも、そこのシズカ同様に針を打ち込まれておるな』
「……くそっ。ワルージョめ。おれらの心をもてあそびやがって……!」
シズカさんが切れている。
まあそうだよね。自分の感情を他人にコントロールされてるのって、良い気がしないもんね。
『こやつらの針は、脳のそうとう深い部分に刺さっておるのじゃ。これはただ抜くだけだと死ぬやもしれん』
シズカさんときみたいに、すぽんっとただ抜けば良いだけじゃないみたい。
オタクさんは僕に頭を深々と下げてきた。え、ええ!?
「ど、どうしたのオタクさんっ?」
「すみませぬ、啓介殿。どうか、ルクスリア殿にもお力を貸してほしいと、頼んでいただけないでしょうか?」
ああ、そういうことっ!
「うんだいじょうぶ、全然大丈夫だよ! 頭なんて下げなくていいですからっ。オタクさんのためなら、なんでもしちゃいますもんっ!」
「ありがとう、啓介殿。やはりあなたはお優しい御方でござる」
えへえへ♡ 優しいって言われちゃったな~。
「ギリギリんところで善性を保ってるよねこの子」
「……オタク様のおかげでな」
しゃらっぷ二人とも!
僕はカバンをパカッと開く。
色欲の魔王ルクスリアさんが登場。
エロ堕天使の格好をした彼女が僕に問いかけてくる。
「けーちゃんこれからどうするの?」
「僕が蠅王宝箱で針を抜くんで、この人らが死なないように治癒を施してあげて」
「OK~♡ お安いご用~」
ってことで、僕は蠅王宝箱を発動。
カバンの中から黒い触手が出てきて、二人の頭にズブリ……と入っていく。
個人的な感想としては、倒したんだから経験値として、首もらっておきたかったなぁ。
ぐぐっ!
「あれ?」
「どうしたのでござるか?」
ぐっ、ぐっぐっ!
「針が抜けないです」
「なっ!? なんですとぉっ!? どういうことでござるかっ?」
僕もわからないけど、いくら抜こうとしても抜けないのだ。
するとヒキニートさんが言う。
「おそらく、針が魂と同化してるのかもしれない」
「魂とどーか?」
どういうこと~?
「針がこやつらの脳の深い部分、しかも魂にまで到達してる。肉体の一部という判定をされているんだろうね」
「……そうか。蠅王宝箱は無生物しか取りこめない。針が生物判定されてるから、取れない……と」
なるほどねえ~。
うーん。
「これは参ったね。啓介君の蠅王宝箱でも無理となると、もうお手上げ……」
「え? ヒキニートさん何言ってるんです? 簡単な方法あるじゃないですかぁ~」
「え? なに?」
僕はカバンから勇者の短剣を取り出し、「聖剣技:迅雷!」しゅぱーん!、首ゲット!
「「「え?」」」
「じゃ、ルクスリアさんは首を生やしてあげて」
ルクスリアさんが「お、おう……」となんかドン引きしながら、二人に治癒術を施す。
失った首がニョキッ、と生えた。
そこに僕が神の右腕で命を吹き込む。
「「かはっ!」」
「目覚めた!?」
二人が問題なく目覚めたようだね。
「スペさん、どう? 針は?」
『うむ、見事になくなっておるな』
よしよし。
「こ、ここはどこ……?」
「我が輩たちはいったい……?」
ぽかんとしてる二人。
オタクさんは一瞬呆けていたけど、すぐに言う。
「正気に戻られましたか? お二人は……」
と二人に事情を説明している。
さすがオタクさん、事情説明なんて面倒なことを、率先してやってくれるなんてねっ。
「いやぁ、びびったね」
ヒキニートさんが戦慄の表情を浮かべて言う。
「あまりにも素早い首狩り、ぼくらじゃないと見逃してるね」
「……首を刈ることに躊躇がなさ過ぎて怖いわ」
えー、何言ってんだろう。
「今のが最適解じゃないですかぁ」
針が肉体の一部である以上、ああやって回収するしかない。
「あ、二人分の経験値いれておかないと~」
よいしょよいしょっ、と。
『聖武具のレベルが上昇しました』
よしよし! レベルあがったぞい!
で、ちょうどオタクさんの説明も終わったみたい。
「ゆ、ゆるせねえ! あのワルージョって女!」
「我が輩らもワルージョ討伐に、協力するぞぉ!」
ヒャッハーさんとガチムチさんは怒っていた。
まあそりゃそうだよねー。
「お二人も協力してくれると心強い。では、ワルージョのもとへ……」
と、そのときだった。
『上から来るぞ、気をつけるのじゃ!』
スペさんが警告する。
勇者たちはいち早く、その場から飛んで離れる。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
何かが上から落下してきた。
土煙が消えると、そこには……。
『見つけたぁあああああああああああああああ! 勇者ぁあああああああああああああああああああああああああ!』
全身真っ黒の、変なやつがいた。
どことなくシズカさんや、剣の人みたいなフォルムしてるな。
「……ワルージョ!」
シズカさんが黒い人物を見て言う。
え、あれワルージョなの?
「……おれにはわかる。あれは、ワルージョだ!」
『そぉおおよぉおおお! 私はワルージョ! おまえたち全員を、始末しにきたのよぉお!』
飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ!
あいつは悪だし、じゃあぶっ殺してもいいよね!
『レベルが上昇しました。まもなく、久遠封縛の呪いが完全解除されます』
【★大切なお知らせ】
好評につき、連載版をスタートしました!
『【連載版】スキル【無】の俺が世界最強〜スキルの無い人間は不要と奈落に捨てられたが、実は【無】が無限に進化するSSS級スキルだと判明。俺をバカにした奴らが青ざめた顔で土下座してるけど、許すつもりはない』
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