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19.はじまる、弓vsムチと銃

 僕たちは西の街へとやってきた。

 そこに、僕らを殺そうとする二人の勇者が待ち構えているという。


 僕らは街へと着陸。

 街は結構ボロボロだった。激しい戦闘があったのだろう。


「ひゃっはー! 飛んで火に入る夏の虫とはてめぇえええええええええええらのことだなぁ……!」


 僕らの前には、勇者が二人。

 ひゃっはーとか頭の悪そうなこと言っていたのは、パンクファッションに身を包んだ、モヒカンの男。


「おれっさまは銃の勇者!【ジューシ・ピストン】様だぁ……! ひゃっはー!」


 銃の勇者は、ヒャッハーさんね。

(※↑啓介は敵の名前を覚える気が無いようです)


 そして、ヒャッハーさんの隣には、ガチムチな勇者さんがたっている。


「むははは! 強い勇者が来ると聞いてきたいに胸を膨らませていたが……。なんだ、ガキに優男か! たいしたことないな! むはははは!」


 ガチムチ勇者の手には、とげの生えた鞭が握られていた。


「我が輩は鞭の勇者! 【ムッチ・コーガン】! ワルージョ様の忠実なるしもべよ! むははは!」


 鞭の勇者ガチムチさんね。

(※↑啓介は敵の名前を以下略)


「ひゃっはー! 待ってたぜえ! このときをよぉ!」

「むははは! そのとおり! 貴様ら二人をボコれば、ワルージョ様にほめてもらえるのだ! むははは!」


 ヒャッハーさんたちはワルージョに惚れてるみたい。

 これってでも……。


「……おれと同じだろう。頭に針を打たれて、ワルージョに好意を抱くよう思考を誘導されてる」


 あらまぁ。

 おかわいそうに。


 まあどうでもいいんだけども。

 さて、ヒャッハーさんガチムチさんを前にする僕ら。


 で、いつもだったら僕が戦うところだけど、今回はオタクさんが相手をするといっていた。

 オタクさんは僕にそこでおとなしく見てて欲しいって言われたからね。

 僕は言われたとおり、おとなしくしてるよ!


 だって友達の頼みだもん!


「……オタク様。相手は二人です。おれも加勢します」


 なにぃ、オタクさんが一人で良いって言ってるのにっ。

 シズカさんってばもうっ。オタクさんの邪魔しちゃだめでしょっ。


 経験値にしちゃうよ?


「申し出ありがとうでござる。ですが、今のシズカ殿では、相手を傷つけず無力化するのは難しいかと思いまして」


 え、どうしてだろう?

 するとスペさんが解説。


『オタクの言うとおりじゃな。シズカは現在、反転魔族であり、そのパワーは人を凌駕する』


 なるほど、人じゃないシズカさんじゃ、人であるヒャッハーさんたちを傷つけてしまうってことなんだね。

 オタクさん……本当に優しい人だなぁ。あんなどうでも良い連中、別に死んでもいいよねって僕なら思っちゃう。


「ぷっ! ひゃっはっはー! おいおいムッチ! 聞いたかい! この優男! おれらより強いって言いたいらしいぜえ!」

「むははは! なんという身の程知らず! 見よ! むぅうん!」


 ガチムチさんが右腕に力を込める。

 そして、手に持っていた鞭を振る。


 鞭は蛇のようにしなると、近くの建物を粉々にした!


「むはは! 一振りでこの威力! 我が鞭は最強、なり!」

 

 一方ヒャッハーさんは両手に銃を構える。

 そして、腕で十時の構えを取る。


「ひゃっはー! おまえらにおれっさまの華麗なる銃捌きを、見せてやんぜえ! ひゃっはー!!!!!」


 ヒャッハーさんは素早く引き金を引く。

 ドパパパパパッ……!


 ガチムチさんが壊した建物の破片すべてに、銃弾が当たる。

 破片はすべて粉々になった。


「ひゃっはー! みたかいおれっさまの早撃ちぃ! すごいだろぉ!?」

「むははは! 我が輩の怪力のほうがすごいだろう!?」


 僕は首をかしげる。

 うーん……。


「ねえシズカさん、あの人たちってバカなのかな? 全然すごいように見えないんですけど?」


 するとシズカさんが変な物を見る目で僕を見てくる。


「……いや普通にすごいから」

「どこが? 片手で建物を軽く破壊して、砕け散った破片が地面に落ちる前に全部壊すことって、勇者ならできて当然ですよね?」


「……いやできないから! できるおまえがおかしいから!」


 えー、そう?


「スペさんできるよね?」

『無論じゃ』

「ほらぁ……!」


 シズカさんが大きくため息をついて言う。


「……魔王基準で物を考えるなよ」


 別に魔王を基準にしてないし。

 勇者ならこれくらいできますし。


 まあいいや。今はオタクさんの活躍に注目だい。


「ムッチ殿。ジューシ殿……」


 オタクさんが二人を見ながら言う。


「まず、お二人に感謝申す」

「「は? 感謝……?」」


 どういうことだろう?


「この街を占拠していた魔族を、倒したのは……お二人でござろう?」


 オタクさんが隅っこを指さす。

 あ! 経験値まぞくが転がっている!


 しかも死んでるじゃん!


「ひゃっは、そうだが?」

「むははは! 弱すぎて相手にならなかったがなっ!」

「ひゃは! 10分で倒しちまったぜぇ!」


 え、10分もかけてるの? 魔族なんて相手に?

 え、よわー……。


 まあ別にいいや。

 それよりこの経験値、どうするのかな? まさか……放置?


 ええー、もったいない。もらっちゃおー。

 ざくっ、ぶしゅっ、かぽっ。


「……嬉々として魔族の首をかってカバンにしまってやがる」

「こわぁ……」


 シズカさんとヒキニートさんがなんかドン引きしてた。

 えー、なんでだろ。


 もったいないから、経験値ひろっただけなのに。

 さて経験値ゲットしたので、オタクさんに視線を戻す。


「魔族を倒し、街に平和を取り戻してくれたこと、まずは感謝いたします。が……どうして、街の人たちが、傷ついてるのに放置してるのでござるかっ」


 びっ、とオタクさんが今度は、別のほうを指さす。

 そこには……人間たちがいた。


 みんな怪我してる。あらまあ。


「ひゃっは? おかしなこと言うなぁ」

「むはは! 我が輩たちの仕事は悪を討伐すること! それのみ!」


「ひゃっはー! そうだぜ、おれっさまたちはちゃーんと仕事したしぃ? まあちょっと周りを巻き込んじゃったけどもよぉ、助けてやったんだから感謝してもらいてえもんだぜえ! ひゃっはー!」


 ヒャッハーさんに共感しちゃう僕がいた。

 うん、普通に助けてあげたんだからそれでよくない?


「使命を果たすためなら、どんな犠牲も仕方が無い、と?」

「そのとおり! ひゃっは!」

「……そうでござるか」


 ふぅ、とオタクさんがため息をつく。


「……ふざけるなよ、おまえたち」


 あ、お、怒ってる!

 

 オタクさん的に、今のは怒っちゃうことなんだ!

 

「そうだそうだー! ふざけるなー! 自分のやりたいことだけやって、あとはどうでもいいとか、最低だぞ! 周りに迷惑をかけるおまえらなんて勇者じゃない!! ですよね、オタクさん!」


「啓介殿の言うとおりでござる!」


 よしっ!

 そんな僕を、シズカさんたちがジト目で見てきた。

 

「……なんというダブスタ」

「オタク君がいなかったら君も向こう側なのにね……」


 さて。


「ひゃっはー! さぁて、おしゃべりの時間はこれくらいにしてぇ、これからは楽しい狩りの時間といこうぜえ!」


 ヒャッハーさんはもうやる気満々のようだ。

 ガチムチさんも同様。


 オタクさんはふるふる、と首を横に振る。


「その前に、けが人の保護と治療を行いたいでござる」

「はぁあああん? やなこったぁ! おれっさまは戦いたくってうずうずしてんだよぉ!」


 オタクさんが小さく息をつくと、弓を構える。


薬の矢(ヒール・ショット)


 オタクさんが緑色の光の矢を放った! 

 わ! かっけー!


 けどその矢がヒャッハーさんに当たることはなかった。

 分裂し、けが人たちの体にぶつかる。


「ひゃははは! なんだおれっさまたちを非難しておいて! 自分だって矢を外し、それが街の連中を傷つけちまってるじゃねえかよぉ!」


 ふぅ……やれやれ。


「君、バカ?」

「なにぃ!?」


 どうやらわかってないらしいヒャッハーさんに、僕が説明する。


「オタクさんは矢を外したんじゃない。けが人を治療したんだよ」

「はぁ? どういうことだよぉ?」


 僕がけが人たちを指さす。


「す、すげえ……」「痛いのがなおっちまった!」「骨折まで治ってる!?」


 緑の矢を受けた人たちは全員けが人。

 そして怪我が治っている!


『オタクの矢には治癒の力が込められておったのだよ』


 オタクさんは攻撃を外したんじゃなくて、最初から治療行為をしてたんだ。

 そんなのも気づかないなんて。やれやれ。


「啓介殿。申し訳ないが、■庭(ハコニワ)で街の人たちを隔離してほしいでござる」

「OK!」


 僕はカバンを開く。

 触手がカバンから無数に出てきて、街の人たちの体に絡みつく。


「うわぁああ!」「なんだぁ!?」「助けてぇ勇者様ぁあああああ!」


 なぜだかおびえる街の人たち。

 オタクさんはニコッと笑う。


「ご安心を。そこのカバンの御仁は拙者の仲間でござるよ」

「「「な、なるほど……!」」」


 暴れてた人たちがおとなしくなる。うーん、オタクさんの人徳のなせる技だなぁ。

 僕は街の人たちをカバンの中に全員入れた。


 それを見届けると、オタクさんは僕に頭を下げる。


「救助活動、ご協力感謝でござる!」


 わっふー! オタクさんに褒められちゃったっ。


「やっぱり啓介君にはオタク君がいないとだめだね」

「……ああ、やつがかろうじて勇者の体裁を保ってられるのは、オタク様がいるおかげだ」

「いなかったらただの首狩り激やば魔王だもんね」


 だれだよ、首狩り激やば魔王って。

 ガチムチさんはにやりと笑う。


「では始めようか! むははは! 力と力のぶつかり合いを!」


 しかし……。

 オタクさんは、その場に正座する。


「「は?」」

「話し合いを、しましょうぞ。拙者たちには言葉があるので……」


 スパァアアアアアアアアアアアアアン!

 ガチムチさんがオタクさんに鞭で攻撃しやがった!


「野郎ぶっ殺してやる!」「「落ち着け、座れ」」


 でもオタクさんを攻撃したあいつらを許せないー!

 けど……。


「大丈夫でござるよ、啓介殿」

「なっ!?」


 ガチムチさんが驚いていた。

 オタクさんは無事だった。


「お、おかしい……? 手元が狂ったか……?」

「ひゃっはは! ばーか。殺すなら急所を一撃でつぶせよ。こうやってなぁ!」


 ヒャッハーさんが銃弾を、オタクさんの眉間めがけて放った。

 ズガンッ……!


 だが、オタクさんは傷一つついてない!


「な!? ど、どうなってる!?」


 シズカさん、そしてヒキニートさんさえも、何が起きたのかわかってないようだ。

 ふぅ……やれやれ。


「みんな……何もわかってないですね。オタクさんは敵の動きを完全に見切り、最小限の動きで攻撃を回避してたんですよ。座ったママね!」

「「「「なんだと!?」」」」


 あれ?

 なんだ、みんなわかってなかったのか。


 たいしたことないなぁ、この人たち。

(※↑全員人外レベルです。啓介がそれを超えるレベルの人外っぷりを発揮してるだけです)


「話し合いはできぬでござるか……。悲しいでござる」


 オタクさんが弓を構えて言う。


「では……実力を行使させてもらうでござるよ!」


 おぉ! オタクさんの本気が見られる!

 これは……楽しみになってきたぞぉ!


 ポップコーンとコーラ取り出して、準備OK!

 さ、見せてください、オタクさんのかっこいいとこを!

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