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【書籍化】カバンの勇者の異世界のんびり旅 ~実は「カバン」は何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せができるチート武器でした~  作者: 茨木野
第3部

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18.急襲、ふたりの勇者!


《啓介視点》


 北の街の儀式を食い止めた僕たちは、ジャガーさんに乗って移動。

 東、南の街にいた経験値まぞくを経験値にして、西の街ミョーコゥへとやってきた。


 東、南の街にいた経験値まぞくについては……省略!

 だって特に苦労せず倒せたうえに、経験値もあんまり美味しくなかったんだよね。レベルも1つしか上がらなかったし。


 まったく、もうちょっと経験値を積んでから僕に挑んでほしいなっ。


『勇者様がた、もうすぐミョーコゥの街へ到着しますっす』


 ジャガーさんが僕らにそう教えてくれる。


『む?』


 膝の上で丸くなっていたスペさんが、顔をむくりと起こす。


「どうしたのスペさん?」

『この気配は……勇者じゃ』


「勇者?」

『ああ。ミョーコゥの街に、二人分の勇者の気配を感じるのじゃ』

「遺体じゃなくって?」

『ああ。どちらも生きてるな』


 ふむ……とオタクさんが顎に手を当てて言う。


「鞭と銃の勇者の可能性が高いでござるな」


 鞭と銃の勇者……?


「どうしてそう思うのですか?」

「我らが行く先に待ち構えているから、でござるかな」


 シズカさんが同調するようにうなずく。


「……たしかに。おれたちが儀式の邪魔をしようとしていることは、向こうにバレてる状態ですからね。儀式場で待ち構えてる勇者、となると……やはりおれらの命を狙うために、そこで待っている勇者たち……と考えるのが筋ですね」


 なるほどぉ。

 うん!


「つまり……敵ってことですよね? じゃあ、殺しても問題ないですよね?」

「……あるわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 うわ、びっくりした、シズカさんってこんな大声出せるんだ。

 普段ボソボソしゃべってるくせに。でも……。


「え? なんでですか。敵なんですよね? なら殺して良いじゃないです?」

「……なぜそうなるんだよっ。敵=殺して良いって、どんな倫理観してるんだよっ! 頭イカレテルのかよ!?」


 頭イカレテル?

 もー、ひどいなぁ。


「オタクさん、僕いかれてないですよねっ?」

「啓介殿。すぐ暴力に訴えるのはよくないでござるよ。我ら人間には言葉という意思疎通の道具があるでござる。暴力よりまずは話し合いからするのがいいと、拙者は思うのでござる」


「なるほど! オタクさんがそう言うんだったら、そうなんですね!」


 なるほど、まずは暴力より話し合いか……。

 めもめも。


『……オタク様がいてよかった。おれにはこの暴走機関車を制御できない』


 うんうん、とヒキニートさんがうなずいてる。

 オタクさんが居て良かったと僕もそう思うけど、暴走機関車ってなに?


 どこにあるのそんなの?


「じゃあまずは話し合って、敵だと思ったらすぐ殺しても良いですよね?」

「「「いやいやいやいや……」」」


 えー。敵なのに殺しちゃ駄目なの?


「スペさんスペさん」

『なんじゃ?』


 僕はスペさんに意見を求めてみることにする。


「敵ってどうすれば良いと思う?」

『殺せ』


「ほらぁ!」


 ね、敵=殺すが正解じゃないかぁ、もぉ~!

 するとシズカさんがヒキニートさんとこそこそ話し出す。


「……完全に思考が魔王だな」

「……同意。もうカバンの勇者じゃなくて、カバンの魔王だよ。それかカバンの魔神」


 うーん、ちょいちょい二人でこそこそ話する。 

 感じ悪いぞ!


『勇者様がた、到着するっすよぉ』


 そのときだった。

 ズドンッ……!


 どこからか発砲音が聞こえてきた。


「あ! 下のやつが、こっちに撃ってきた!」


 神眼が敵の位置を教えてくれた。

 こちらに向かって、下から銃弾が飛んでくる。


 しかも、【そこそこ】速いぞ。

(※↑尋常ではない動体視力をそなえた神眼で見て【そこそこ】なので、実際には光速で、弾丸が飛んできている)


 あれ、皆なんか固まってる。

 もぉ、このままじゃ銃弾がジャガーさんにぶつかっちゃう。


 そしたら僕もスペさんも、オタクさんも落下して怪我しちゃうじゃないかっ。


蠅王宝箱ベルゼビュート!」


 スキルを発動。

 銃弾をカバンが吸い込む。


 ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 しゅぽんっ。


 よし、カバンの中に収納された。

 これで安心!


『け、啓介君いったいなにをしたの? いきなり蠅王宝箱ベルゼビュートなんて使って……?』


 むむ。ヒキニートさんがのんきな発言してますな。


「敵襲ですよ。下から狙撃されてました」

「なんと! そうでござったか。助けてくださり、ありがとうでござる!」


 オタクさんがすぐに僕の頭をよしよしなでなでしてくれるっ。

 わーい! 助けてあげたかいがあったぞ!


「……魔族化してるおれの目でも、敵の攻撃を追えなかった。そうとう強い聖武具を使ってるようだな」

『だね、みんな、気を引き締めて……』


 僕はジャガーさんの上から、ぴょーんと飛び降りようとする。


「「「ちょっと待った!」」」


 三人に引き留められる僕。


「ええ? どうしたんですか? 相手は敵ですよ? 攻撃してきたんですよ? じゃあ殺さなくちゃでしょ?」


 まず話し合いってオタクさんは言っていた。

 でも向こうは、僕らが話し合いするまえに、殺そうとしてきたんだ。


「なら、もう話し合いじゃなくて、殺し合いでしょ」

『考え方が蛮族すぎなんだよ!』


 うーん、そうだろうか……。

 僕は殺した方が良いと思うけどなぁ。じたばた。


 シズカさんが僕を羽交い締めにしてるせいで、動けないでいる。


「皆、ここは拙者が行ってくるでござるよ」

「オタクさんが?」


「うむ。啓介殿と皆はここで待っててほしいでござる」


 オタクさん……大丈夫かな。

 まあオタクさん強いけども。死んじゃったら……あ、死んでも夜王薬箱アスモデウスで復活させられるか。


 僕は友達を大切にする男。

 友達オタクさんの意思をくんであげたいっ。


「わかりました、おとなしくここで待ってます!」

「「おお! さすがオタク君(様)!」」


 二人ともオタクさんを褒めてる。

 だよねえ、すごいもんね。ところで何を褒めたんだろう……?


「頼むよオタク君。この暴虐の悪魔、敵対種族まぞくでもない人間をすぐに殺しかねない」

「……このバケモノの制御しつつ、問題を解決できるのはオタク様だけです。頼みます」


 二人もオタクさんを応援するみたいだ。

 ところで暴虐の悪魔とかバケモノってなに?

(※↑)

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