16.偉大なる勇者の偉業
魔族を倒して経験値ゲット!
北の町にて。
「ありがとうございます、勇者さま……いや、救世主さまっ!」
街の人たちが【僕らを見て】そう言ってきた。
救世主? 大げさだなぁ。
「救世の勇者様とそのお仲間様たちのおかげで、我らは助かりました。本当にありがとうございます!」
なんか街の偉い人が、【僕ら】を見ていった。
勇者様とお仲間たち?
ああ、勇者オタクさんプラスお供(僕ら)ってことだね。
(※↑勇者ケースケ+その仲間です)
街の人たちはわかってるなぁ~。
「……救世の勇者だって。【あれ】が」
「……まあ、結果的に見れば、街を襲ったやばい魔族を倒し、死者を蘇生させたからな」
「……結果的に見れば救世主的行いだけど、近くで見たぼくらからすればヤバい悪魔が好き勝手暴れただけだもんね」
ヒキニートさんとシズカさんがなんかボソボソ言ってる。
なんだろう?
「本当にありがとうございました。お礼をしたいところですが……街はこの有様でして……」
建物ぶっ壊れてるし、お礼なんてできる余裕も無いもんね。
うーん。
「わかりましたっ、街を修復してあげます」
「「えーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」
と、町の人……ではなく、ヒキニートさんとシズカさんがものすっごい驚いていた。
え、え? なんで驚いてるんだろう……?
「どうしたんだい啓介君!? 頭でも打ったのかい!?」
「おまえが人助けなんて!? 何を考えてる! 裏の目的はなんだっ!?」
ひどいなぁ~二人とも。
まあね、確かに今までの僕だったら、すぐ次の街へいっていたことだろう。
でも僕は学んだのです。
「啓介殿っ、さすがでござるよっ。弱い者のために力を振るう、まさに勇者的行いでござるよー!」
「えへへっ。オタクさん、僕が勇者的振る舞いして……うれしいですか?」
「もちろんでござるよ!」
「わーい!」
良いことすると、オタクさんがほめてくれるんだっ。
だから……良いことをする!
「……なるほど、オタク君に褒められたいからか」
「……納得した。どうやらオタク様のこと、本当に好きらしいからな、あの悪魔」
「……ねー。けどほんとオタク君いてよかった……」
「……まったくだ。オタク様がいなかったらどうなっていたことか……」
またヒキニートさんとシズカさんがボソボソ話してる。
仲いいね二人とも。まあどうでもいいけども。
「じゃあ、僕壊れた建物をなおしますね。これをつかって……じゃーん!」
カバンから取り出したのは、勇者の鎚。
鎚の勇者さんの聖武具だ。
「壊れ建物も、こっつんこっ」
こつんっ。
ズォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
「おお! まるでビデオを逆再生してるかのごく! 壊れた建物が元に戻っていくでござるよ! すごいでござる! 啓介殿っ!」
「わはは~い! オタクさんにほめられた~!」
やっぱりオタクさん好き~!
で、一方ヒキニートさんたちはというと……。
「……ナチュラルに二つ目の聖武具使ってるな。あれはどういうことなんだ? ヘルメス」
「……君が知ってるとおり、聖武具は一人につき一つ。けど、勇者の死骸を聖武具に収納することで、所有権が移り、結果聖武具を複数所持できるみたいなんだ」
「……なるほど。というか……今更だがあんなバケモノに聖武具を複数集めちゃだめだろ」
「……ほんとそれね。でもぼくが会ったときにはもう9つも聖武具持ってたよ……」
「……よく世界が無事だよな」
「……ほんとそれね」
もぉ~!
「ちょっと二人ともっ。口ばっか動かしてないで、手を動かしてくださいよっ。オタクさんは街の外の魔物を倒しに行きましたよっ」
二人ばっかりサボってもうっ。
皆でこの国を救おうって、オタクさん言ってたのにっ。
「いやすまないね」
「……ちょっと話し込んでてしまってな」
「もうっ。ちゃんと言うこと聞いてくれないと、経験値にしちゃいますよっ。なーんて……ってあれ? いない?」
二人が消えていた。あれれ?
『ケースケよ。外の魔物はあやつらに任せ、今は街の修復をするのじゃ』
「そうだねっ」
どうやら魔物が街の外にいるみたいだ。
でもでも平気。なぜなら、オタクさんがいるからねっ。
僕はひたすらに、建物をこっつんこしてなおしていく。
こつんっ。
こつんっ。
こつんっ。
……ふぅ。おっけー。
「おおすごい! 壊れた建物が元通りです!」
街の偉い人が僕のなおした建物を見て驚き、そして頭を下げてきた。
「ありがとうございます、勇者様!」
「いえいえ。お礼ならオタクさんに言ってください」
僕は別にこの街直す気とくになかったですし。
「おお、なんと謙虚なおかただ! 仲間たちに手柄をお譲りになられるなんて!」
手柄?
譲る……?
どういうことだろう。ま、どうでもいいや。
街も直ったしもういいでしょ。
『オタクたちに合流するのかの?』
「うん。僕も加勢しにいこーっと。あ、でも僕が行かなくても戦いは終わってるかも~」
オタクさんいるし、まあ苦戦することは無いだろうね。
ややあって。
「終わりましたか~?」
僕は街の外へとやってきた。
オタクさんたち三人の前に、魔物はいなかった。
おおー! さっすがオタクさん!
「もうみんな倒しちゃったんですねっ!」
「いや、まあ……う~……ん。倒したというか、逃げ出したというか……」
逃げ出した?
どういうことだろう。
「まあ、簡単に言うとだね。啓介君。魔物はこの町に入ってこなかったのだよ」
「入ってこない? 結界まだ作ってないですけど?」
絶対結界を張ってないのに、魔物が近づいてこないって、どういうことだろ。
「まあ、魔物たちもバカじゃないってことだろうね」
「……より強いバケモノがいるなかに、飛び込むバカはいないってことだ」
シズカさんが言う。
え、ええー!?
「より強いバケモノっ? どこどこっ?」
「「…………」」
え、なんでヒキニートさんたちじとっと僕を見てくるんだろう?
「まさか!」
「「やっとわかったか……」」
「スペさんのこと言ってるんですか!?」
「「わかってない……!!!!!」」
そんなっ。
スペさんのこと、バケモノなんて酷い言い方するなんて!
「僕怒っちゃいますよ! スペさんは大事な友達なんだからっ!」
「まあまあ、啓介殿。落ち着くでござる。スペルヴィア殿のことではござりませんよ」
「え? そうなの?」
ぶんぶん! とヒキニートさんたちが強くうなずいた。
あ、なーんだ。違うのかぁ。
ならよし!
「スペルヴィア殿は啓介殿の大事な友達ですものな。侮辱されたら怒ってしまうでござるよな?」
「そうなんですっ! さすがオタクさん、よくわかってますねっ!」
やっぱオタクさんしか勝たん、だよ……!
「……オタク様がいなかったら今頃街滅んでたな」
「……うん、本当にオタク君には感謝だよ」
「……というか、本当にオタク様がいなくなったあとあのバケモノどうする?」
「……アイちゃんがなんとかしてくれることを……祈ろう」
「……そうだな」
ヒキニートさんたちがなんかお祈りのポーズを取っている。
なんだろ?
「オタクさんが偉大ってことにようやく気づいたんですかっ?」
「「はい、そりゃあもう。オタク様は偉大です」」
だよねー!
初めてこの二人と、わかり合えた気がする~!
「……このバケモノを制御してるんだから、ほんとに偉大だよオタク君は……」
「……オタク様はすごい。おれだったらこのバケモノの隣にいるだけで、胃が痛くなるのに……」
「……オタク君も苦労してるみたいだからね。このくらいのストレスじゃへこたれないんだろう」
「……ああ、もうほんと、オタク様々だな」
「……うん、オタク様々だよ」
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