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【書籍化】カバンの勇者の異世界のんびり旅 ~実は「カバン」は何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せができるチート武器でした~  作者: 茨木野
第3部

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05.会議からのカチコミ



 僕のスキル、■庭(ハコニワ)の中にて。

 露天風呂につかるヒキニートさん、ヘルメスさん、スペさん……。

 と、僕。


「オタクさんも入らないんですか?」

「はいでござる。女子たちの中に、おっさんが入ったら、嫌でござろう?」


 うーん……さすがオタクさん、紳士だなぁ。

 

「啓介君は若い女と一緒に風呂入ってるのに、なんとも思わないのかい?」


 とヒキニートさん。

 今は進化して、爆乳エルフになってる。


「うーん……特に。姉ちゃんと結構大きくなるまで、一緒に風呂入ってたんで」

「へえ、お姉さんと風呂に。いつまでだい?」


「中三くらいですかね」

「つい最近じゃないかっ!? ちなみにお姉さんはおいくつ?」


「社会人ですよ」

「お、おう……お姉さんと仲が良いんだね」


「そうですね。姉ちゃん、ショタコン……? ってやつみたいで、小さな男の子が好きなんですって。だから僕とも風呂に入りたがるっていうか」

「さ、佐久平さくだいら家大変そうだね……あんまり深くは聞かないでおくよ……」


 で、だ。


「そろそろ教えてほしいでござるな」


 風呂の近くで、目隠しして、背中を向けながら……オタクさんが言う。


「セーバー殿が、拙者と啓介殿を、呼び出した理由」


 そうだった!

 僕この人に呼び出されてたんだ。そういえば、なんでだろう……?


「理由は大きく2つあるんだ」


 ぴっ、とヒキニートさんが指を二つ立てる。

 ちなみに湯船は乳白色してるので、大事な部分は見えなかったりする。


「2つか。聞いてあげましょう」

「ナチュラル上から目線だね……まあいいや。1つ目」


 ぴっ、とヒキニートさんが僕に指を向ける。


「カバンの勇者、および、弓の勇者。君たちは今、命を狙われている」

「なっ!? 拙者たちが……命を狙われてる!?」


 オタクさんが驚愕する。

 僕は……どうだろう。ここに来る前だったら、ヒキニートさんの言葉、全く信じなかったと思う。変な人だし。


 でも、ここに来て考えが少し変わった。

 ヒキニートこと、セーバーさんは、ミサカさんの仲間だった。


 僕は、セーバーさんを信じられない。でも、ミサカさんのことなら信じられる。

 だから……僕はセーバーさんの言葉を信じてあげることにした。


「命狙われてるって……誰にです?」

「あっさり信じるね」


「ミサカさんに感謝してくださいよ?」

「お、おう……そっか。ありがとアイちゃん……」


 ふむ、とスペさん(人間バージョン)が、神妙な顔つきでうなずく。

 ちなみにスペさんは人間になると、プロポーション抜群の巨乳美女になるのだ。


 姉ちゃんよりナイスバディお姉さんなので、その、目のやり場に少し困る。

 え、ヒキニートさんはって?


 中身ヒキニートだからドキドキしない。


「ゲータ・ニィガのワルージョ女王かの?」

「正解だよ、スペルヴィア。そのとおり、ワルージョが君ら二人の命を狙っている」


 なんてこったい。

 あの女王め!


 勇者を捨てただけでは飽き足らず、僕らを殺そうとするなんて!

 ふてえやろうだ!


経験値くび取ってやろうかなっ」

「啓介君おちついて……」


 しかし、ふぅうむ……。

 ワルージョが僕らをねえ……。


「どうして、我らを殺そうとするでござるか?」

「新たなる勇者を召喚するためさ」


 んん?

 新たなる勇者の召喚……?


「なんで新しい勇者を召喚するのに、僕らを殺さないといけないんです?」

「勇者召喚をするためには、今の四大勇者、全員が死亡してる必要があるのさ」


 四大勇者。

 儀式によってこちらの世界に呼び出された、四人の勇者。


 剣。

 槍。

 弓。

 そして……この僕、鞄。


「このうち、剣の勇者チャラオの死亡が確認されてる」


「ええー! そんな……女王がもう勇者を殺してるんですね! くそ……このままじゃ大事な友達であるオタクさんまで殺されちゃう……!」


 ヒキニートさんが「お、おう……」となんだか微妙な表情をする。

 え、何そのリアクション?

(※↑反転魔族化した剣の勇者を殺したのは、啓介本人です。セーバーはそのことを知ってます)


「ま、まあ何にせよ、四大勇者は残り三人。女王は必ずこの三人を殺そうとしてくる」


「しかしヒキニートよ」


 スペさんが手を上げる。


「なぜ、女王は今になって、勇者を殺そうとしてるのじゃ? 確かケースケたちを呼び出したのが15年ほど前じゃったのだろう?」


 あ、そっか。

 最初から僕らを殺すつもりだったなら、もっと早い段階で殺せたはずだ。


 オタクさんも僕も、今は呼び出したときより強くなってるわけだし。

 殺すつもりで呼びだしたんだったら、早いうちに殺せば良い。


 なぜ、今になって殺そうとするんだろう?


「女王に、勇者抹殺の命令がでたのが、ついこないだだったからだよ」

「ふむ? 命令が出た……? 誰が命令してるのじゃ……?」


 スペさんからの問いかけに、セーバーさんは答える。


廃棄神はいきしんから、さ」

「はいき、しん……?」


 知らない単語が出てきたぞ。


「なんでござるか、その、廃棄神はいきしん……とは?」

「現在、魔族等を率いてる、悪の親玉の名前さ」


 なるほど……悪の親玉……。

 しかも魔族を率いてるって……。

 ん? んんっ?


「あれ、ヒキニートさん……今、変なこと言いませんでした? 廃棄神はいきしんは、魔族などを率いてるって」

「言ったね」


「でも、ワルージョ女王は、廃棄神はいきしんに命令されて動いてるって……」

「言ったね」


 あ、あれ……?


「じゃあ……ワルージョと魔族って……仲間?」

「啓介君、珍しく鋭いね。正解だ」


 珍しくって……。

 蠅王宝箱ベルゼビュートっていいかな……?


 しかしまさか……ううん、ワルージョが悪いやつと内通してたなんて!

 ワルージョが、悪い女だったなんて……意外だ。

(※↑啓介はあくまで真面目です)


「……やはり、そうでござったか」


 一方でオタクさんは、どこかわかっていたような感じでうなずいた。


「ワルージョは最初から変でござった。魔族と戦うため、我ら勇者を呼び出したといった。しかしこの世界ではすでに、魔族は大昔に滅ぼされていた」


 確か魔族がそんなこと言っていたような。




「他にもおかしなところが多々あったのでござるが……まさか、魔族と内通していたとは」


 オタクさんはワルージョが悪いやつって言う、確信はなかったけど、疑念は抱いていたんだね。

 すごい! 察しがいいな! かっこいい!


「廃棄神は魔族や、反転魔族等を率いて、この世界を支配しようとしてるのさ」


 なるほど……。

 つまり、廃棄神は悪いやつで、他にも悪い魔族がいるってことだね!


「わくわく!」

「え、啓介君、なんでわくわくしてるの……?」


 若干引いてるヒキニートさんに僕は言う。


「だって、敵がいっぱいいるんでしょ? なら、経験値クビ取り放題じゃないですか!」


 今僕がしたいことは、聖武具のレベルを上げて、ミサカさんの呪いを解除すること。

 レベルを上げるためには、魔族の経験値クビがいる!


「勇者の敵ってことは……そいつらの経験値くび、全員分奪ってもいいってことですよねっ」

「お、おう……ま、まあ……いいんじゃない? 敵だし」


 やったー!

 よぉし、全員ぶっ殺してやる!


「で、その廃棄神はどこにいるんですかっ?」

「さ、さぁ……」


「さぁって?」

「廃棄神は滅多に姿を現さないんだよ。自分で動くタイプじゃないんだ」


 人に命令して、部下にやらせる……みたいなタイプなんだね。

 なるほどぉ~。


 ううむ。


「あれ、でもワルージョ女王は、知ってますよね? 廃棄神の居場所」

「そりゃ……まあ、ワルージョは廃棄神の命令で動いてるし……」


 なるほどなるほどっ。

 いよぉっし!


「わかりました!」


 ざば!


「ステイ! ステイ啓介君! 何する気!?」

「え? ゲータ・ニィガ王国に、カチコミに行こうかなって」


「はぁあ!? か、カチコミぃ!? 君状況理解してるの!?」

「はい、命狙われてるんですよね? なら、命狙ってもいいですよね?」


 撃っていいのは、撃たれる覚悟があるやつって言ってたもんね!


「いやいやいや! 君、今お尋ね者なんだよ!? ゲータ・ニィガ行ったら、つかまっちゃうよ!?」

「望むところですよ! 捕まれば、逆にワルージョのとこいけるでしょうし。ならボコって廃棄神の居場所を吐かせればOKじゃないですか!」


「やだこの勇者、る気満々なんですけど!?」


 そりゃね。だって廃棄神とかいう悪いやつの首をとれば、経験値たまるだろうし、そうすれば……ミサカさんの呪いを解けるじゃないか!


「ということで、ゲータ・ニィガ王都へ乗り込みたいです!」


 ヒキニートさんが顔で手を覆う。


「こいつヤバイよ……」

「よく言った勇者ケースケよ! この高慢の魔王も、お手伝いするのじゃ!」


 ざばぁ! とスぺさんが湯船から立ち上がる!

 わぁ、見ちゃいけないものが!


「うふ♡ じゃあこの色欲の魔王も、お手伝いしちゃおっかなぁ~」


 いつの間にか、湯船にはまた新しいお姉さんが出現!

 色欲の魔王ルクスリアさん!


 しかも全裸! あわわわ!


「皆さんしゃがんで! 見えちゃいけないところが見えちゃう!」


 おとなしく座るお姉さん魔王たち。

 一方、頭を抱えるヒキニートさん。


「うわぁ魔王が3体、ゲータ・ニィガに攻め込もうとしてるぅ~……」


 魔王が……3?

 魔王はスぺさんとルクスリアさんの二人でしょ?


 ヒキニートさん、数も数えられないんだろうか?

 

「啓介殿……」

「よしいいぞ、弓の勇者! もはやあの鞄の魔王を止められるのは、君しかいない!」


「拙者も同行いたしますぞ!」

「止めろよぉおおおおおお!」


 オタクさんまで付いてきてくれるなんてっ!

 心強いことこの上ないよ!


「え、ええ、オタク君……なんで君までカチコミ行こうとするの……?」

「理由は二つ。1つは、純粋に啓介殿の体が心配だからでござる。敵は国レベルの組織を動かす女。啓介殿の身に危ないことが起きるやもしれない。だから、拙者は友を守るために、ついていこうと思ったのでござる!」


 オタクさん……!

 僕のこと心配してくれるなんて! わーいうれしい!


「……二つ目は?」

「帝国を守るためでござる」


「帝国を守る?」

「うむ。ワルージョが拙者の命を狙うということは、帝国の民にも被害が及ぶ可能性が高いのでござる」


 あ、そうか。

 今オタクさんは帝国で暮らしてるんだった。


 確かにオタクさんを狙って、ゲータ・ニィガの騎士たちが、帝国に乗り込むかもしれない。

 そうなると、他の人にも迷惑掛るか。


「拙者が単身で乗り込めば、帝国に被害が出ないと思ったのでござるよ」

「な、なるほど……一か所にとどまって防衛するより、敵陣に乗り込んで、敵の本丸をつぶし、身を守るってことなんだね」


 オタクさんは僕を、そして帝国を守るため、ワルージョと戦う決意をしたってことみたい。

 

「これで魔王が三人、そして勇者が二人」

「……え? これ、もしかしてぼくも行く流れ?」

「行かないのでござるか?」

「いや、ワルージョが狙ってるのは君ら二人だけだし……」


 ん?

 あれでも、じゃあなんで、ヒキニートさん僕らをここに呼んだんだろう?


 僕らに警告するためだけ?

 なんか理由もう一つあるとか言ってなかったっけ?


「まあでも……そうか。うーん…………わかったよ。ぼくも君たちについていく」

「ありがとうでござる! 心強いでござるよ!」


 カチコミに参加するメンバーは、僕、オタクさん、ヒキニートさん、スぺさん、ルクスリアさん。

 以上の5名ってことか。


「ジャガーさんに乗ってけば、結構すぐ到着するね~」

『自分、ケースケの兄貴を運ぶっす! 喜んで運ばせてもらうっすぅ!』


 わぁ、すごい、ジャガーさん協力的ぃ~?

 なんでだろう?

(※↑魔王けいすけが怖いみたいです)


「この戦い……まあ、魔王3、勇者2なら、いけるか……」


 ヒキニートさん相変わらず数が間違ってますよ?

 勇者3、魔王2ですよ?


「ワルージョのもとにも勇者がいるし、魔族もいる。それ以外にもやばいのがいる。……それでも、ほんとに行くのかい?」


 ヒキニートさんが最終確認してくる。

 僕の脳裏には、ミサカさんの笑顔しかなかった。


「行く。ゲータ・ニィガに。そこで大暴れして、ワルージョぶん殴って、いっぱい経験値くびゲットして、ミサカさんを解放するんだ!」


 かくして、僕たち魔王勇者合同パーティは、ゲータ・ニィガ王国へカチコミに行くことにしたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ケースケとその仲間たち、頑張って❗️そしてミサカさんの呪いを解いてね‼️応援してるよ‼️‼️
[良い点] 魔王が三体、くるぞ遊馬!
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