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05.魔王を収納、超レベルアップ



 僕、佐久平さくだいら 啓介は、ダンジョンで高慢の魔王スペルヴィアさんと出会い、友達になった。


「それで、これからどうする? スペルヴィアさん」

『スペでよいぞ♡』


 菓子パンをたらふく食べたためか、すっかりご機嫌の魔王スペさん。


『そうじゃのう……我としては、ケースケとともにここをでたい……が、我は封印されておるでな』

「その封印っていつ、誰がしたの?」


『遠い昔に、勇者が……な』


 僕らとはまた別の、異世界から召喚された勇者が、スペさんを封印したみたい。


『あやつは凄い力を持っておってな。【絶対結界】の力で、我をこの地に封じよったわ』


 そう語るスペさんは、なんだかさみしそうだった。

 勇者と魔王がどういう関係なのか……今の僕にはわからない。


 だから、今の僕ができることをしよう。


「封印って壊せないの?」

『何度か壊そうと思って、試したのじゃ。しかしこの結界、堅牢でな』


 鑑定スキルを使ってみる。


・絶対結界

→物理、魔法等、どんな手段を用いても、決して壊れない結界。


 ううん、どうやら何をやっても壊せないようだ。

 ……ん?


 壊せないなら……。


「ねえ、スペさん。君は僕と一緒に外に出たいんだよね?」

『うむ。もうひとりは嫌じゃ……』


「じゃあ、スペさんがよければだけどさ、このカバンの中に、入ってみない?」


 勇者のカバンは、モンスターを収納できた。

 スペさんは魔王、モンスターだ。


 なら、魔王を収納できるかも知れない。


『そ、そのようなことが可能なのか……?』


 僕は簡単に、勇者のカバンについて説明。


『し、しかし絶対結界があるから……』「絶対結界は壊せないってだけ。収納は、できるかもしれないじゃん?」


『! ……なるほど。………………わかった。おぬしのカバンに入れておくれ!』


 よし。

 僕はカバンをガバッ、て開く。


 すると……。

 ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!


 カバンからまた突風が吹きすさぶ。

 スペさんがカバンに引き寄せられる……。


 けど。


 バチィッ!


『くっ! やはり結界が我を阻むのじゃ!』

「そっか……」


『……ありがとう、ケースケ。我を連れ出そうと、努力してくれて。その気持ちだけで嬉しいぞ』


 ……だめだ。

 ぜんっぜん嬉しそうじゃない。


 僕は……諦めない。

 独りぼっちは嫌だもん。


「待てよ? スペさん単体だけを収納して、失敗した。なら、結界を取り込むのはどうかな?」

『どういうことじゃ?』


「つまり、絶対結界ごと君を取り込むの」


 結界内のスペさんを取り込もうとすると、結界に阻まれる。

 スペさんを包み込む結界ごと取り込めば、中のスペさんも、カバンの中に入れられるのではないか……?


 毒大蛇ヴァイパーに襲われたとき、溶解毒を取り込めたように……。

 結界も取り込めるんじゃないかって……


「上手く行くかはわからないけど」

『やっておくれ、ケースケ!』


「わかった。いくよ……収納!」


 ゴォオオオオオオオオオオオ!

 スペさんを包み込んでいる結界が、ずずずずう……とカバンの中に吸い込まれていく。


『なんということじゃ! 結界が吸い込まれていくぞ!』


 スペさんごと、結界がカバンの中に収納された。


『【絶対結界】を収納しました』

『【魔王スペルヴィア】を収納しました』


 やった!

 成功だ!


 スペさんを収納できたぞ!


『聖武具のレベルが上がりました』


 ん?


『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』


 え?


『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』……


「ちょ、ちょちょっと! どんだけレベルあがるの!?」


 そう言えば、毒大蛇ヴァイパーを収納したときも、聖武具のレベルが上がったって言っていた気がする。


 勇者のカバン(聖武具)って、もしかして、収納するモノがすごければすごいほど、レベルが上がるのかな……?


『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』

『聖武具のレベルが上がりました』


 ……アナウンスはしばらく続いた。


「と、止まったぁ……超うるさかったんですけど……」


 一体どれくらい、聖武具のレベル上がったんだろう……?


「鑑定」


・勇者の鞄(Lv103)

固有スキル:(ボックス)

派生スキル:

魔物モンスター(ボックス)

魔法マジック(ボックス)

■庭(ハコニワ)


「れ、レベル……103!?」


 ……。

 …………。

 ………………って、どんなもん?


「基準がわからない……。レベル103って結構高い気がするけど」


 レベル上限が4桁だったら、僕はまだまだってことになる。


 こういうとき、他の勇者がいれば、これがどんなもんなのかわかるのにな。

 ああ、早くオタクさんに会いたい……。


「って、そうだ! スペさんどうなったんだろう? カバンの中に収納できたけど……」


 モノを収納することはできた。

 なら、取り出すこともできるはず……。

 でも、どうやって取り出すんだろう。


魔物モンスター(ボックス)から、【魔王スペルヴィア】を取り出しますか』


 またあの女の人の声が聞こえた。

 なんなんだろう……。


 まあ、今は考えてもしょうがない。


魔物モンスター(ボックス)から、【魔王スペルヴィア】を取り出しますか』


 YES。

 すると……カバンから、小さな黒い箱が出てきた。


 僕は箱を掴む。

 ええと……。


「ゆけ、僕のポケ●ン! なんちって」


 ぱかっ! 

 箱の蓋が開くと……。


 カッ……!

 まばゆい光が箱の中からあふれ出る。


 そして目の前には、あの、大きなフェンリルが姿を現したではないか!


『信じられぬ……封印が、解けたのじゃ……』


 スペさんは目を剥いていた。

 解けるとは思ってなかったのかな。


「良かったね、これで君は自由だよ」


 友達が自由になれて良かった良かった。

 するとスペさんは涙をボタボタとタラシながら……。


『ウォオオオオオオオオオオン! 自由だぁ……! ウォオオオオオオオオオオオオオオオオン!』


 スペさん、歓喜の遠吠えがダンジョン内に響き渡る。

 よっぽど嬉しかったんだね。助けて良かった。


『ありがとう! ありがとう、ケースケよ! 心から、感謝するぞ!』


 気が遠くなるくらい、長い間、地下に封印されていたんだ。

 自由になれて嬉しかったんだね。

 

「いえいえ。どういたしまして」

『これより我は、おぬしの従魔として、側にずっといよう!』


「従魔?」

『使い魔のことじゃ』


 使い魔……。なんとなく、魔法使いの側にいる黒猫的なものをイメージする。

 

「別に使い魔じゃなくて、友達でいいんだけど……」

『まあ良いではないか。ほれ、動くでないぞ』


 スペさんが僕の額に、鼻先をちょん、とくっつける。

 瞬間……。


 カッ……!!

 またしても、スペさんの体が輝いた。


 ぐんぐんとスペさんの体が縮んでいき……。


「おお、人の姿になったのじゃ」

「ええええ!?」


 そこには、爆乳のお姉さんが立っていた!

 紫がかった、銀の長髪。


 メリハリのきいたボディ。

 頭からは犬耳、お尻からは犬尻尾……。

 グラビアアイドルも裸足で逃げ出すほどの、美女がそこにはいたのだ。

 一糸まとわぬ姿で!


「な、なんで人間!?」

「従魔は契約主に奉仕するのに、最も適した姿に変身できるのじゃ」


 ほ、奉仕って……。

 え、えっちぃこと!?


「そういうのいいから……。服着て」

「ふむ? そうか。では……」


 ぽんっ、とスペさんが姿を変える。

 今度は手のひらに乗るくらいの、子犬になった。


『これでどうじゃ?』

「ああ、うん。これなら……まあ」


 スペさんが僕の体を伝って、肩に乗っかる。


『これよりこの、高慢の魔王スペルヴィア、我が主に寄り添い、あらゆる敵を排除してくれよう』


 なんとも頼もしい限りだ!

 勇者の鞄もあるし、スペさんもいる。これなら……外に出れるぞ!


『む? さっそく高い魔力反応が近くにあるぞ』


 スペさんが鼻をクンクンさせながら言う。


「高い魔力反応? どういうこと?」

『我は魔力感知といってな、周囲にある魔力を帯びたモノを、感じ取ることができるのだ』


「魔力を帯びたモノって?」

『たとえば人間、魔物モンスター、アイテム……などじゃな』


 なんと。

 レーダーみたいな機能が、スペさんには備わってるのか!


 すげえ……。


『どうする? 避けるか?』

「ちょっと気になるから、様子を見にいこうかな」


 それに、勇者の鞄レベル103が、どれくらい強くなったのかも気になるし。


 ということで、スペさんに案内してもらって、魔力反応がする方へとむかうと……。


「あ、白骨死体だ」


 そこには、白骨死体。

 ……あれ? もしかして……。


「この人も、勇者……?」

『かもしれぬな。ケースケと、似たような魔力の反応を示しておるのじゃ』


 そんなことまでわかるなんて!

 スペさん凄い……。


 僕と同じ、廃棄された勇者は、やっぱりいっぱいいたんだね。

 ……放置するのも、可哀想だ。


「スペさん、他にも勇者の遺体って、ありそう?」

『うむ。この近辺に、いくつもあるな』


「じゃあ、全部の場所教えて。全部回収したいから」

『心得た』

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― 新着の感想 ―
最初は各キャラの名前がなんだかな~と思ったけど、だんだん面白くなってきた。 続きが気になる
[一言] 転スラ+とんスキ+ブレバン=さす啓
[一言] 悪辣女王の寝室に忍び込み死体をばらまいて嫌がらせするのですね?分かります(違うわw
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