139.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
岩壁にめり込んで気絶した新キエリュウを放置し、ぼくは軽く土埃を払った。
目的はこんな小者ではない。この冷たく湿った迷宮の最奥でふんぞり返っている魔族王を討伐することだ。
ヒキニートさんたちと共に、禍々しい装飾が施された長い回廊をさらに奥へと進んでいく。カビと微かな硫黄の匂いが鼻を突く。
やがて、玉座の間へと続く重厚な扉が見えてきた、その時だった。
「まてぇい!」
突如として、通路の奥から鼓膜を震わせるような仰々しい大声が響き渡った。
声の主が現れる。だが、それは一人ではなかった。
次から次へと、先ほど倒した新キエリュウと瓜二つの男たちが、物凄い勢いで通路に湧き出してきたのだ。
彼らは皆、全く同じ顔、同じ背格好をしている。しかし、身につけている装束の色や、手にした武器だけが微妙に異なっていた。
「我はコレ・デ・キエリュウ!」
「俺様はホント・ニ・キエリュウだ!」
「まじでキエリュウ、推して参る!」
「絶対ニ・キエリュウもいるぞ!」
「たぶん・キエリュウも忘れるな!」
「「「我ら、キエリュウ親衛隊!」」」
赤、青、黄、緑、ピンク。色とりどりのキエリュウたちが、謎の爆発音を背後に響かせながら五色のポーズを決める。
さらにその後ろからも、無駄にバク転を繰り返す者や、筋肉を見せつける者たちが文字通り無限に湧き出してくる。
通路はあっという間に、暑苦しいキエリュウのクローン集団で完全に埋め尽くされてしまった。むせ返るような男たちの熱気と汗の匂いが漂ってくる。
ぼくはたまらずガックリと項垂れ、深く、深くため息をついた。
先ほどの新キエリュウだけでも十分に鬱陶しかったというのに。まさかこれほどの数の無駄なバリエーションが存在するとは夢にも思わなかったのだ。
彼らの放つ魔力は、先ほどの新キエリュウと同等か、それ以下だ。
ぼくの圧倒的なステータスによる暴力で、片っ端から殴り倒すことは容易い。素手で適当に暴れ回るだけでも、三分もあれば物理的に全滅させられるだろう。
だが、この大群を一つ一つ律儀に相手にするのは、あまりにも時間がかかりすぎる。何より精神的に酷く疲労しそうだった。
「君たちそんなに居るのぉ……一つ一つ相手にするの、めんどうさいな」
ぼくは心底うんざりした声で呟き、肩から提げていた愛用のアイテムを前に構えた。
それは、どんなものでも際限なく吸い込む規格外のチートアイテム。聖武具『勇者のカバン』である。
ぼくはカバンの口を大きく開き、短いコマンドを唱えた。
「収納!」
ごぉおおおおおおおおおっ!
その瞬間、カバンの口からブラックホールのような凄まじい吸引力が発生した。
周囲の空気が悲鳴を上げ、猛烈な突風が通路を吹き荒れる。
カバンの口という小さな入り口に向かって、空間そのものが削り取られるような理不尽な暴風だ。肌を刺すような冷たい風が、キエリュウたちを襲う。
「な、なんじゃこりゃあああっ!」
「体が、体が勝手に引き寄せられるぅぅ!」
「助けてくれええええ!」
ドヤ顔でポーズを決めていたキエリュウ軍団の顔が、一瞬にして絶望と恐怖に引き攣った。
彼らは必死に床にしがみつこうと、武器を地面に突き立てる。膝から崩れ落ちて必死に抵抗する者もいる。
だが、聖武具の絶対的な力に逆らうことなど不可能だった。
「ぎゃああああああ!」
「まじで消えるぅぅぅ!」
「いやだ、俺様はまだ自己紹介しかしてないのにぃぃ!」
スポンッ、スポンッ、という間の抜けた音と共に、大量のキエリュウたちが次々とカバンの中へと吸い込まれていく。
「嘘だろ、俺の出番これだ――」
断末魔の叫びを残し、最後のホント・ニ・キエリュウもカバンの真っ暗な奥底へと姿を消した。
ごぉおおおお、という凄まじい吸引音がピタリと鳴り止む。
先ほどまでやかましかった通路は、文字通り一瞬にして綺麗に片付いてしまった。埃一つ残っていない、完璧すぎる清掃ぶりだ。
静寂が戻った回廊には、もはや彼らの熱気すら残っていない。
『相変わらず、理不尽なまでの性能だね』
虚空からヒキニートさんが、呆れ半分、感心半分の声で呟いた。
ぼくはパチンとカバンの口を閉じ、何事もなかったかのように再び歩き出す。
邪魔者はすべて綺麗に片付けた。いよいよ、魔族王との直接対決だ。
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